2004年03月02日

ゼブラーマン【3】

新市さんが幼少の頃に見た、憧れのヒーロー「ゼブラーマン」。
彼の名台詞は、「俺の後ろに立つんじゃねぇ」「白黒つけるぜ!」
主題歌はご存知、水木一郎。
♪ゼブラー、ゼブラー、白黒つけろー、今日がお前のーららら命日だああああ♪
葬式の垂れ幕のようなマントをひるがえすゼブラーマンに相応しい歌詞。
バイクに乗って敵の手下どもを蹴散らし、果敢に攻めて行きます。
しかし低視聴率故、僅か数話で打ち切りになってしまった不運なヒーロー。
そのゼブラーマンが今、現実の世界で目覚め始めます・・・・・・。


前回の続き


それからというもの新市さんには不思議な力が、じょじょに備わりつつありました。
遠くで事件が起きると、身体が反応し、髪の毛が馬のたてがみのようになってしまうんです。
新市さんは、それが学校の授業中であろうと、いてもたってもいられなくなり、ゼブラーマンのコスチュームを詰め込んだカバンを片手に現場へ急行します。
悪の酒屋、悪の土建屋。
そんな見た目はただのオッサンが、街の中で大暴れをしています。
実は身体の中に、宇宙人が寄生しているのです(この前のカニ男も)。
しかし、そんな事は知らない新市さん。
街の迷惑になる悪人達をこらしめて回ります。

新市さんは自分の中で何かが覚醒していることなんて気づきません。
だから、本物のヒーローのようにカッコよくありません。
ポーズをとったり、アイテムを使って変身する訳ではなく、こっそりと茂みに隠れてコスチュームに着替えるのです。
ある時、爆弾魔が、こっそりと爆弾を仕掛けようとしていた時です。
爆弾魔が何かに気づいて見上げると、アパートの二階の手すりのところに、さっそうと立つゼブラーマンがいました。
かっこいい!
普通のヒーローならば、そこから地面へ、サッと飛び降りて着地するところでしょう。
しかし中身は新市さんです。
そんな事をしたら怪我をしちゃうと思い、よっこらしょと手すりから降り、階段を一段ずつトコトコと下りて行きます。

防衛庁の及川さんも現場に駆けつけます。
しかしそこにあるのは、いつも宇宙人に寄生された人達の変死体です。
じょじょに、彼よりも一足先に宇宙人を倒している怪しいゼブラ柄の男の存在に気づきます。
そしてそれが、冴えない小学校の先生だと知るには、そう時間を必要としませんでした。

浅野さんのお母さんである可奈さんは、新市さんの心の支えとなっていきます。
看護婦である彼女は、危険に立ち向かっていく新市さんがゼブラーマンだと知った後も、心身ともにサポートをしてくれます。
浅野さん親子と接しているうちに、自分の家庭には無かった幸せみたいなものを感じていきます。

そんな可奈さんへの想いが、ある時、新市さんが見た夢の中で、もの凄い姿で現れます!
ゼブラーマンに変身した新市さんが、敵の攻撃で負傷をしてしまいます。
ゼブラーマン、ピンチ!
そこへ爆発音と共に、向こうから現れる一人の女性の姿・・・・・・ゼブラーナース!
♪ゼブラーナース ゼブラーナース♪ バックには、水木一郎が歌う、ゼブラーナースのテーマ。
手には巨大な注射、胸の谷間を強調したコスチューム。
見ている方が、これを見ることに何というか罪悪感というか何というか、気まずいものを感じさせる凄い格好。
何と、鈴木京香さんご自身がコスプレをしているのですよ!
さすが、元キャンギャル。
スタイル抜群です。
ゼブラ乳の大地震並みの揺れ具合に、観客はノックアウトですよ。

宇宙人たちは小さくて、スライム状の身体に手と足が生えた姿をしています。
「マーズアタック」に出てきた宇宙人達みたいに、可愛くも憎たらしい。
そんな彼らの住処は、新市さんの通う学校の体育館だったのです。
彼らはついに、本格的に地球の侵略を開始します。

新市さんは、ふとした事から、打ち切りの為に放映されることのなかったテレビ版ゼブラーマンの脚本を発見します。
そこには、この八千代区で起きた怪事件とゼブラーマンの活躍が、まるで預言書のように記載されていたのです。
今までの出来事だけではありません。
これから起きることも書かれています。
恐る恐る最終回のページをめくります。
そこには、悲惨な結末が書かれてありました。
ゼブラーマンは敵に倒され、地球は侵略されてしまうのです。
ゼブラーマンが負けた理由・・・・・それは、「空を飛ぶことが出来なかったから」
新市さんは、「空を飛ぶ事」が出来るように、山奥で修行をする決意をするのでした。
旅立ちの時、家には息子だけがいました。
彼は頭に怪我を負っています。
この前、宇宙人に寄生され、危ういところをゼブラーマンに変身したお父さんに助けられたのです。
家を後にする新市さん。
自分の父親の今までの活躍、そしてこれからやらなければいけない事。
その後姿は、昔の情けないダメ教師、ダメ父親ではありませんでした。
「お母さんとお姉ちゃんをよろしくな」と新市。
いじめられっ子になって以来、殆ど口に出して喋ることの無かった息子がぽつり話しかけます。
「おとーさん、頑張って・・・・・・」

続く

Posted by kanzaki at 2004年03月02日 23:05
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