ジャーナリズムの考えの一つとして、「マリスの除去」というものがあるそうです。
「マリス」とは「悪意」の意味。
報道する側の人間が、その内容に対して意図的に悪意をこめてないかを倫理規程に基づいて、客観的に修正する作業・方法論です。
江戸川乱歩賞受賞作「破線のマリス」は、それを題材にTV業界を舞台にしたサスペンスです。
この言葉を一般的に知らしめた作品だと思います。
映像の中に悪意的なメッセージを込めて、それを視聴者へ伝えてしまう。
これは恐ろしいことですよね。
具体的には、どのように表現するのでしょうか?
私が想像するに、恐らく下記のようなことだと思います。
画面には、女子高校生の街頭インタビューが映っています。
インタビュアーが、「現在のアメリカの大統領は誰ですか?」と聞きます。
それに対して女子高校生が、「アーノルド=シュワルツネッガー」と答えたとします。
そうすると視聴者は、「今の女子高校生は、みんな馬鹿だよなあ」と思うでしょう。
また、OLに「魚をさばいてみてください」と包丁と魚を渡して料理させてみます。
とんでもない包丁の使い方をする。
そうすると視聴者は、「今のOLは、料理の一つもできない馬鹿ばっかだよなあ」と思うでしょう。
世の中には、たくさんの女子高校生やOLがいて、テレビに映っているのは、その中のほんの一例だというのに、さも全員がそうだと思わせる。
もっと悪意を持って編集するならば、10人の女子高校生に同じ質問をして、9人は正解を云ったのに、実際にテレビで使われたのは、とんでもない答えをした1人だけを放送する。
OLの場合もそう。
伝える側が、「××のイメージは、○○だ」と思って撮影、編集すると、実際に出来た番組は、伝える側の意図に即したものとなります。
バラエティー番組ならば、仮にそういう悪意を持って笑わせているのが視聴者の方で分かったとしても、それほど怒ったりはしません。
「ヤラセ」だと分かった上で見ていますから。
だから「電○○年」・「ガ○○コ」とかも、放映できていた。
まあそれも、視聴者が飽きてしまい、受け入れられなくなったので打ち切りとなってしまいました。
報道の分野で、悪意を込められると恐ろしいことになります。
下手すると、無実の人が犯罪者として取り扱われることがあります。
事実、そういう事があったのをみなさんもご存知のことでしょう。
4月1日はエイプリルフール。
ネット上(特に個人サイト)では、多くの笑えるネタが多かったものの、新聞等ではあまり見かけませんでした。
ジョークによって株価が変動したり、パニックになったりする事が多くなったからだと思います。
つい最近ですが、女子高校生が冗談で作成したメールによって、株価が変動してしまったという事件がありましたね。
インターネットのおかげで、誰でも簡単に情報発信ができるようになりました。
メール、掲示板、ホームページ・・・・。
最近では、blogが流行しています。
どこのプロバイダー、ネットサービス会社でも開始していますね。
かく云う神ナナも、blog形式へリニューアルして2か月が過ぎようとしています。
日記としての利用方法もありますが、個人のニュースサイトとしても利用が可能です。
その場合は、大手の新聞社等が運営するニュースサイトにリンクを貼り、自分なりの感想・意見を書いたりします。
個人的なニュース・作品の発信も可能。
いろいろと融通の効くスタイルなので、流行っているのも分からないでもありません。
実際、使っているし。
誰でも情報を発信できるようになり、それがインターネットですと、ハイパーリンクによって、網の目状に波及していきます。
もしその情報に、悪意を忍ばせていたらどうなるでしょう。
当たり前過ぎるので云いませんが、怖いですよね。
特に個人的情報となると。
皮肉・社会風刺と、マリスの境界線はどこにあるのか?
マリスについて気にしすぎると、気軽に文章が書けなくなってしまいます。
だから、あまり考え過ぎても仕方がありません。
どんな文章・作品にも、何かしらのメッセージが込められているものだし、そうあるべきです。
そのメッセージが、常識から逸脱しないようにする・・・その程度で良いと思いますが忘れるべきではないでしょうね。
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