2004年11月09日

映画「いま、会いにゆきます」を観て【2】

前回の続きです。
今回もネタバレ満載なので、これから観に行く人は観ない方が良いですよ。

前回の記事:映画「いま、会いにゆきます」を観て【1】
http://kanzaki.sub.jp/archives/000440.html

今回は、細かいところの感想なんかを書いてみようかと思います。

この映画、映像としてもなかなか奇麗でした。
雫と巧が抱き合う”ヒマワリ畑”は、絵画のような美しい黄色で画面が埋め尽くされていました。
二人が抱き合っている姿を画面の端に置き、ピントをヒマワリに持っていっているのが、やけに印象的でした。
ヒマワリって、夏の植物ですよね。
さんさんと降り注ぐ太陽を一杯に浴びて成長する植物。
一方、このお話しは、その夏を迎える前の雨が降りつづける間のお話しです。
雫は、このヒマワリを見ること無く、巧や祐二と別れなくてはいけないのです(20歳の時代へ戻る)。
このお話しとは真逆にあるヒマワリが、劇中で印象的に使われているのが、色々と考えられているなあと思いました。

小道具にも凝っていましたね。

20歳の雫が事故にあった際の服装は、ピンク色のカーディガンでした。
そして、28歳の時代にタイムスリップして、廃屋に現れた時も同じピンク色のカーディガンでした。
更に6週間の時が過ぎてお別れする際も同じ衣装でしたね。
ちゃんとストーリー・設定上、つじつまが合うようになっていて、それに気づくと「そういう事だったのか!」と驚かされます。
そういや、ヒマワリ畑の時の衣装が思い出せません。
ひょっとしたら、同じ衣装だったかなあ・・・(誰か覚えています?)

映画冒頭、18歳に成長した祐司が向かったトンネルは、通行止めになっていました。
幼い頃、家族3人で手を繋ぎ、しりとり等をして通り抜けたトンネルだったのに。
また雫は、祐司が18歳になる誕生日までのバースデーケーキまでしか予約をしていません。
過去を引きずらず、ここから先は自分の力でしっかりと生きていきなさいと云う暗示なのでしょうかね。
雫は、自分が死ぬと云う運命を分かった上で、しっかりと生きてきました。
そんな自分と同じように、息子にも生きていって欲しいと思った・・・それが映像として、こういう形になったのかな?

また、巧と祐司が窓から夜空を見上げているシーンがあるのですが、その画面の左下に、小さなテレビがあります。
そこには、生前の雫の姿が映されたビデオが流れています。
その画面の中の雫も、巧と祐司と同じ方向へ振り向き、家族全員が見上げる姿になっている所が、ちょっと凝っているなあと思いました。

20歳の雫が通う大学の建物入口に「蹴りに酔いしれろ」という巨大な看板があったのには笑いました。
あれは何だったんでしょうか?
とても気になります(大学のサークルの勧誘看板なのかな?)。
この映画の謎の一つ(お。

この映画って、一度観てから再度見直すと、色々と細かい所で「なるほど、そういう事だったのか!」と思わせるものがあり、リピーター率が高い映画です。
観る前は、20歳の雫が事故をきっかけに未来へタイムスリップし、自分の運命を知り、そしてその運命を知った上で強く生きていくというストーリーだったなんて、まさか思いもしませんでしたから。
そういう雫の運命を知ってから見直すと、色々と発見がある訳です。
前半部分、退屈になりそうな場面も、そういう雫の運命を知った上で見直すと面白い。

この記事の前半で書いた小道具もそうですし、台詞なんかにも、そういう「隠し」が一杯あります。

例えば、雫を撮影したビデオの中で、「ママの病気が治りますように」「ありがとう」「澪大丈夫?」「うん、大丈夫」なんていう会話があります。
この「大丈夫」と云う言葉が胸に来ますね。
自分の運命を知った上で云っているのですから。
この「大丈夫」という言葉は、ヒマワリ畑の場面でも使われています。
雫が巧に話し掛ける際に「バカね。大丈夫よ。大丈夫、私達は。私とあなたはずっと一緒なの。そう決められているの。たった一人の相手なのよ。好きよ」と。
こんなに短い言葉なのに、それを語る人によって、とても胸に来ますね。

短い言葉と云えば、YOUさんが演じた祐司の学校の先生。
登場シーンは3回。
しかも台詞は、ほんの一言二言なのですが、とても印象的。
祐司が作成した、逆さまに吊るされたテルテル坊主。
みんなが非難するのだけれど、それを「カワイイじゃん」と云ったり、
他にも「秘密っていいモンだよ」とか、短い言葉なのだけれツボにきます。
とても理解力のある素敵な先生だなあって。
左手首にサポーターを巻いていたのですが、私にはあれが何となく、包帯に見えました。
「手首に包帯」→「自殺の跡」なんていう連想が沸いてきて、この先生の懐の広さは、何か人には云えない過去があるからなのかなあとか思ってしまいました(勘違いなのですが)。

何度も見直すと、色々な発見が出来て、一昔前に流行った「謎本」が作れそうですね。

また次回へ続きます。

次回の記事:映画「いま、会いにゆきます」を観て【3】
http://kanzaki.sub.jp/archives/000442.html

Posted by kanzaki at 2004年11月09日 07:04 | トラックバック (1)