2005年11月15日

映画「仮面ライダー THE FIRST」の感想【1】

映画「仮面ライダー THE FIRST」
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「仮面ライダー THE FIRST」を見に行ってきました。
よもや一年に2回、しかも間をおかずに二つの劇場版・仮面ライダー作品を見られるとは思いもよりませんでした。
新潟には、ティ・ジョイ(T-JOY)(http://www.t-joy.net/)と云う東映系列のシネコン型映画館があります。
その中の7番館と云う、収容人数の少ない部類のところで上映していました。
響鬼&マジレンは、その映画館の一番収容人数の多い1番館でやっていたので(深夜0時過ぎの上映だったせいかもしれませんが)、その扱いの違いをモロに感じました。
場内は収容人数が少ないせいもありますが、大体6、7割は埋まっていたかと思います。
観客は30代以上が多かったように思います。
やはり、初代仮面ライダーに思い入れのあるファンに向けた作品なのかなあ。

前評判が良くなかったので不安だったのですが、実際に見たら、非常に面白かったですよ。
正味な話し、劇場版・響鬼より見ごたえがありました。
響鬼も良かったには良かったのですが、それほど登場人物に感情移入が出来なかったんですよね。
登場する鬼が多すぎて、どのキャラも個性が現れるエピソードが少なかったせいでしょうか。
各鬼の初登場シーンぐらいでしか個性が出ていませんでしたよね。
また、戦国時代のヒビキさんが引退した理由の弱さ(猛士は不慮の事故で死んで、ヒビキさんのせいじゃないのに何故引退?)、復帰した際の動機付けも今ひとつピンとこなかったせいかもしれません。
また、ラスボスのオロチ戦において、戦国時代の戦いがいきなりブツ切れになり、現代の響鬼VSオロチ戦になって、エンディングは戦国時代の鬼達が勝利して村を去る場面へ戻るので、燃える部分に関しても感情移入のしようがないと云うのもあります。
戦国時代だけで作品を作れば良かったのにね。
興業収入としては最終的に12億ぐらいは行ったそうです。
前作のブレイドが10億を切ってしまったので、見事な復活劇となった訳ですが、それは「時代劇ライダー&ご当地ライダーと云うインパクト」「細川茂樹さんの数多くのメディアへの露出」が理由であり、内容そのものには満足いきませんでした。

さて、THE FIRSTですが、劇場版・響鬼と同じプロデューサー、脚本家と云う事で、ちょっと不安でした。
白倉さんも井上さんも好きだけれど、このお二方は、自分達が創造した作品では思いっきり才能を発揮するけれど、他人が作った作品のレールでは真の力を発揮できないのではと思った訳です(響鬼は元々、高寺プロデューサーのもの。初代は当然、他の人が作ったもの。脚本は井上先生の父上ですが)。
ところがこのコンビが、ものすごい威力を発揮したんですよ。

テレビ版の特撮作品は、「玩具の売上向上」が大前提になっており、アイテムを駆使した戦いが必然となっております。
仮面ライダーで云えば、「仮面ライダー龍騎」からは特に、アイテムを使った攻撃が顕著になったように思います(やはり、カードを使った攻撃はあざといと云うか・・・)。
他のライダー作品との差別化をはかる為には、こういうのは必要だと思います。
けれどその為、武器を使わずに肉体を駆使したアクションと云うものが減りました。
最近の必殺技は、CGを使った飛び道具系が主流です。
そんな中、今回の作品はCGによるアクションは殆どありません。
思い起こしても、CGを使っているであろう部分は、敵がやられる前の全身を回る電撃みたいなのとか、ワンポイント的なものばかりしか記憶にありません。
本当に手足でなぐったり、蹴ったりして攻撃しています。
合成も殆どなく、ワイヤーアクションを使ったものばかりでした。
合成技術も進化した昨今ですが、やはりワイヤーアクションを使った特撮の場合、「いかにも重ね合わせました」的な違和感がありません。
そりゃそうですよね。
その現場でリアルタイムで撮影しているのですから、背景と本体との間に空気感の違いがありません。
しかしこのワイヤーアクションと云うのは、現実にはあり得ない動きが出来るのですが、やり過ぎると鼻につくものです。
アジア映画で、ワイヤーアクションを多様したものがありますが、あれって「なんだか、プレステの格闘ゲームみたい」と思ってしまい、感動とかありませんでした。
しかし、今回のTHE FIRST の場合、それほど鼻につかないのです。
確かに、ワイヤーアクション独特の違和感が無いわけではありません。
たとえば、斜め上に向かってキックをする際、一度身体が下へ沈んでから引っ張りあげられるような映像でした。
いかにも、「ワイヤーで引っ張ってますよ」みたいな。
けれど、どのシーンも、ただ派手な画面作りをしているだけではありませんでした。
ワイヤーアクションをする際、戦い方に一工夫を凝らしたり、特撮の洗礼を受けた大人達が興奮するような「燃え」を取り込んでいるのです。
それは殺陣や、撮影アングルで表現されています。
一度見ただけなので細かい部分の説明がしにくいのですが、そこはもう一度見に行ったら説明したいと思います。
そういえば、アクションを担当したチームは、響鬼とは違うところだったかと思います(でしたよね?)。
響鬼を見慣れていると、やはり同じようなアクションでもニュアンスが違うようなあと感覚的に思いました。
2号ライダーをマーク武蔵さんがスタントしていたのが嬉しかったです。
マーク武蔵さんは、「シブヤフィフティーン」でピースを素顔出しで演じていましたね。
訳の分からない日本語を喋ってのアクションが好きでした。

「燃え」はやはり、1号と2号によるダブルライダーキックでしょうね。
平成ライダーみたいに、足の裏から特殊な波動が出ているようなCGはありませんが、幼い頃にダブルライダーキックをテレビ画面で見ていた人達には、やはり燃えるものがあるでしょうね。
リアルタイムで見ていない私でも燃えました。

1号ライダーが単独でライダーキックをする際、敵の側から撮影し、どんどん迫り来るようなアングル。
あれも好きでした。
そこに、一号ライダーの気合の入った声がかぶさります。
その声には波動が広がるようなビブラートなエフェクトをかけており、重くて特殊なキックなんだなあと印象に残りました。

1号ライダーと2号ライダーが敵に取り囲まれた際、昔の初代ライダーの変身ポーズを模したような構えをするところは、オールドファンには嬉しいところ。
主人公たちは今回の劇中では、変身ポーズをとっての変身をしません。
腰に巻いたベルトの中心が回転した後、カメラは主人公の顔をアップで撮影(その時点で既に全身はコスチュームに包まれている)。
ライダーのヘルメットをかぶって、顎のパーツをはめ込んで変身完了。
一瞬のうちに変身するのではなく、「スーツを着込む」描写となっております。
こういうアナログな変身が、私のような初代ライダーをリアルタイムで見ていなかった世代にはインパクトがありました。
しかも、首の部分から髪の毛と肌色の首が見えるのが凄い。
敵も、口の部分から素顔が見えたり、指先は生身の指が見えていたりと、わざと中の人の一部が見えるようになっているのが良かったですね。
普通は、見えないようにするのに逆転の発想。
この演出のおかげで良かったなあと思ったのは、「どうして昔の仮面ライダー1号・2号は変身と云うシステムがあるのに、同じショッカー製の怪人は変身システムが無いのだろう」と云う疑問が解決した事です。
今回の敵は全員、仮面ライダー同様、改造された人達がスーツを着こむ事により特殊能力を発揮するようになっています。
敵もまた、仮面ライダーと同じように「変身」するのです。
この変身システムのアナログさが、非常に現実的でかっこいいですね。
ライダーと怪人をデザインしたのは、出渕裕さん。

はてなダイアリー - 出渕裕とは
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BD%D0%DE%BC%CD%B5

アナザーアギトをデザインした方だけあり、非常に現実的、そしてアイディアだけでなく、それを誰が見てもかっこいいラインに仕上げるのが凄いですよね。
なんでも、戦闘員だけはデザインさせてもらえなかったそうですが、出渕さんがデザインしていたらどんな感じになっていたんでしょうね。
予算的に難しいデザインになってしまったかも。
押井監督の実写作品「紅い眼鏡」に出てくるような感じ?

私がその他のアクションで印象に残っているのは、冒頭、まだ仮面ライダー1号がショッカーの手先をしている時、巨大なビルから地面へ飛び降りて着地するところ。
一度着地した後、ポンと軽く上に跳ねてから再度着地するところです。
着地の際、衝撃を吸収する為、いかにもパッタのように軽やかに動く様が印象的です。
後ろの方で、ビルの上から落ちてきた大量のガラスが地面にぶつかって細かく壊れるのも相乗効果で印象に残りました。

アクションとは違うのかもしれませんが、ヒロインに襲い掛かろうとしたスパイダーの前に、颯爽とバイクに乗って現れた1号ライダーがかっこいいんです。
画面上、かなりアップ気味で右側から現れ、ブレーキをかけて停車するのですが、エンジン音との相乗効果により、もの凄い圧倒的な威力・存在感を感じました。

そのスパイダー戦では、バイクの上でのアクションが多かったです。
スパイダーが運転中に上から襲い掛かってきた際、1号ライダーが手放し運転をして、じょじょにバイクの後方へ移動。
しまいには、前走するバイクの後ろに手で捕まり、まるでジェットスキーをするかのように直立で引っ張られました。
あれ、どうやって撮影したんでしょうか?
バイクシーンで「燃え」の箇所と云いますと、1号ライダーと2号ライダーが敵の基地のある島へ上陸するシーン。
戦闘員達が岸壁に近づくと、いきなり大ジャンプして飛び出してくる仮面ライダー達のバイク。
あんな大ジャンプって、現実に可能なんですね!
あれもどうやって撮影したのか知りたいところです。
あの大ジャンプのシーン、かっこいいなあと思いつつも、「2号ライダーは、いつの間にバイクを手に入れたんだ?」と疑問をもったり。
どうやら、バイク入手に関するエピソードは尺の都合上、カットされたようですので、DVDでディレクターズカット版が出た際に補完されるのではないかと(ディレクターズカット版があればの話しですが)。
響鬼ではバイクのシーンが殆ど無く、あっても現場への移動手段程度なので、バイクがアクションに絡んでくると嬉しいものがあります。

わざとなのでしょうが、「いかにも昭和ライダー」的な部分がありましたよね。
例えば、ヒロインの改造手術の際、巨大なドリルで頭を貫こうとしたり、ヒロインが手術台に鉄のワッカで手足を施錠されているのを1号ライダーがチョップで破壊するところ。
また、2号ライダーが、囚われの身になっていた人々の収容されていた牢屋の鍵を破壊し、「早く逃げろ!」と助けるシーン。
昭和テイストで、懐かしい感じを堂々とやっているのが、また良かったりします。
これで、幼稚園児のバスをカージャックしたら完璧です!

今回の映画は90分と短く、その中で二つの恋愛模様も描かなくてはいけなかったのですが、要所要所にアクションシーンを入れてくれたお陰で、最後まで飽きずに鑑賞できました。
ドラマパートも、なかなか良かったですよ。
特に2号ライダーとコブラが。
やはり、井上先生は、ちょっとヒネくれたキャラを描かせると日本一です。
ドラマパートについては次回に書きたいと思います。

続く。

次回の記事:映画「仮面ライダー THE FIRST」の感想【2】
http://kanzaki.sub.jp/archives/000781.html

Posted by kanzaki at 2005年11月15日 20:45 | トラックバック (1)