2007年08月07日

「がんばっているね」の一言がもたらす効果

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、誉めてやらねば人は動かじ」

新潟県長岡市出身、大日本帝国海軍の連合艦隊司令長官である山本五十六氏の言葉です。
上司だからと言って、部下にどんな言葉でも言い放ってよい訳ではないようです。
例えば、叱るにしても、他の従業員のいない場所で、一対一で行う等の配慮も必要でしょう。

雑誌「PRESIDENT」の7/16号によりますと、日本GE取締役人事本部長の山下美砂さんは、相手に仕事のやる気を持たせるため、二つの事を行っているそうです。

まず一つ目が、相手が楽しんで前向きな気持ちで仕事を取り組めるように、マイルストーンを設定しているそうです。
つまり、短期で達成できる目標を掲げ、一つ一つ達成し、仕事の充実感を増す方法。

そしてもう一つ重要なのは、本人の感情に訴えかけてやる気を引き出す為、褒めているそうです。
日本人はお世辞は上手ですが、褒めるのは苦手。
「素晴らしい方ですね」とありていな、誰にでも当てはまるお世辞は言えても、「君のあの時の発想は素晴らしかった」と、その人らしさをたたえる褒め方はなかなか口から出ません。

褒めることによって、地味な仕事に向かっている部下も、上司はちゃんと自分の働きを見ているんだなと分かり、安心して仕事に向かうことが出来ます。

柴田昌治氏が代表取締役を務めるスコラ・コンサルトでは、この褒めることに基づいた仕組みとして、「組織貢献賞」を設けています。
これは年に一回、社員全員の投票によって組織に貢献した人物を選び出し、選ばれた人物には金一封が授与されます。
選ばれるのは、スタープレーヤーではなく、地道にコツコツ仕事をしてきた人が多いそうですよ。

柴田氏は、こういった表彰制度がなくても、普段から上司が「がんばっているね」と一声かけるだけで、本人の意識は違ってくると言っています。
大切なのは、みんながいる場で褒めることだそうです。
公の場で行うことによって、地味な仕事にスポットが当たり、その仕事の真の価値を周囲に分かってもらえる効果があります。
それがまた、褒めた上司に対する部下の信頼感にもつながるのです。

叱るのは難しいですよね。
叱るのは仕事に対しであり、決して感情的に相手の人格を攻撃してはいけません。

その点、褒めると言うのは、難しくありません。
難しさよりも、気恥ずかしさでしょうか。
けれど、褒められて悪い気がする人はいません。
お互いの感情が良いほうに高揚し、やる気につながる事でしょうね。

なんでまた、私が上記のような事をつらつらと書いたかと言いますと、ここ数日、仕事で嫌な指示を受ける事が多かったからです。
私がミスしたとか、そういうものじゃありません。
それ故、「なんで私が、こんなテンション低めで仕事をやらなければいけないのだろう・・・」と思ったりします。
それでなくても、今は一年で最も忙しく、そしてデリケートな仕事をしている最中です。
そういう仕事をしている最中に、わざわざ言わなくてもいいだろうに・・・。
そんな訳で、感情がぐちゃぐちゃな中、なんとか仕事をこなしています。

別の部署に、会社のだだっ広いアスファルトの敷地に毎朝、水を撒いている方がいます。
これにより、体感温度も下がりますし、アスファルトの上の油や汚れ等を流す効果があります。
誰もやりたくない事なのに、ひょうひょうと毎日やっています。
たまたま、水を撒いている場面に出くわしたので、いろいろと話しをしました。
聞いたところによると、たまに会長が現れて、その水撒きをしている事を褒めてくれるそうです。
ほんの一言だけなのですが、それが嬉しいのだと。
その人自身は年配の人なのですが、やはり年を重ねても、褒められるのは嬉しいのだそうです。

私は管理職になって数ヶ月が経過しますが、「いったい、何を管理するの?」と自問自答し続けています。
よく分からないんですよね。
やっている仕事が変わったわけじゃないですし。
「管理」なんて難しい単語を目の前にしても、その事を考えても答えは出てこないでしょう。
とりあえず私は、「褒める」と言う単語を中心に据え置いて、実践していこうと思います。

Posted by kanzaki at 2007年08月07日 21:48