2011年03月26日

何故、フリージャーナリスト・池上 彰(いけがみ あきら)さんの解説は分かりやすいのか?〜「分かりやすさ」の指標は、伝える相手に想像力を持って接すること【3】

前回の続きです(今回が最後)。

●前回の記事: 何故、フリージャーナリスト・池上 彰(いけがみ あきら)さんの解説は分かりやすいのか?〜メディア・リテラシーが欠如した時代【2】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002315.html

(説明責任)

今、上に立つ人達に求められているのは「説明責任」です。
どうやってこれを部下や若い人達に伝えるか。
それを自分自身で考えることによって、リーダー自身の己の仕事に対する自覚や理解が一段と深まります。

面倒くさがらず、部下にちゃんと分かりやすく説明できるように頭をめぐらし、工夫を重ねてください。
「伝える力」を日々磨くことによって、あなた自身の成長にきっと繋がります。

池上さんが、それらを考えた日々というのは、「週刊こどもニュース」の11年間にあたります。
ニュースで当たり前に使われているフレーズってありますよね。
その意味を教えて欲しいと子供たちに聞かれると、多くの人が答えに窮します。
自分が二段も三段も高いレベルで理解していなければ、大人・子供に関わらず、他人に本当に分かるようには教えられません。

(新聞情報活用術)

池上さんは、小学生の頃から新聞を読むのが好きでした。
新聞の一番の魅力は、各紙が行う「独自取材」「独自調査」だそうです。
スクラップ歴は40年以上。
気になる記事があると、一面丸ごとを破り、項目別に分けたA4クリアファイルに突っ込んでいきす。
ストックした記事を一ヶ月後にチェックします。
改めてニュースとしての価値を計り、振り分けていくそうです。

(インターネット活用術)

池上さんは、ネットのキーワード検索について、こう考えています。
「精密ではないけれど、大雑把な地図」
全体像を頭に留め、有料の新聞・雑誌記事の検索サービスで更に調べを進める。
特に重視するのは、NHKのニュースサイト。

・NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/

なぜならNHKは民放に比べ、事実関係の特定に慎重だからです。
NHKは裏の取れだものだけしか放送していません。
情報の羅針盤と成り得るのです。

(分かりやすさの指標)

池上さんが「週刊こどもニュース」を担当して愕然としたことがあります。
子供たちや視聴者が何を知りたいのかを伝え手側が全く知らなかったことです。
当たり前に使っていた用語が、視聴者には理解不能だったのです。
「分かりやすさ」の指標は、伝える相手に想像力を持って接することだと考えています。
こんな言い方で伝わるのか。
ひょっとすると相手はこれを知らないのではと考えを巡らせるのです。


(おしまい)

※※※

以上がインタビューのまとめです。

私の仕事は、専門的な業界の人と、社内の人を繋ぐバイパスだと思っています。

パソコンを組み立てられなくても、パソコンを使って仕事はできます。
エンジンの構造を知らなくても、自動車の運転は出来ます。
ユーザーは理屈の部分ではなく、自分の仕事や生活に役に立つかどうかを知りたいのです。

専門的な業界の人は、理屈の部分ばかりを数字等でアピールしてきます。
ユーザーの知りたい部分は、「知っていて当然」という感じで接してきます。

私は専門家の話しをユーザーの立場で聞きます。
自分なりに理解した上で、社内の人達へそれを説明します。
説明の内容は、会社にとって、それはどんな風に役立つのかを中心にまとめます。
理屈の部分は大幅にカットします。
専門家が作成した資料は、理屈の部分が多いので、そのままでは用いません。
かなり噛み砕いた表現に資料を作成しなおします。

ウル覚えなのですが、確か人が一度に理解できる項目は「四つ」が限度だと聞いた事があります。
沢山の情報の中から、本当に必要な部分を選択する際、それを指標としています。

単に四つを羅列するのではなく、起承転結という文章構造で説明するのが望ましいとも考えます。
ストーリー仕立てにすることで、短時間に理解してもらうのです。

四つというのが曖昧ならば、A4版の用紙に書ける文量というのはどうでしょうか?
これも、かなり限られたスペースですから、要点を絞って書く必要があります。
ワードを使って文章を作成するならば、自分への足かせとして、文字の大きさを「14」にしています。
初期設定ですと、文字の大きさは「10.5」ですが、それでは小さすぎます。
文字が小さいから、文章の量も余計に多くなります。
最低でも「12」の大きさにした方が良いと思います(弊社の規定では、11以上となっています)。
「14」にまで文字を大きくすると、文章を書く量が相当限られてくるので、書くのに知恵を絞ります。
それが結果として、分かりやすい資料になっているように思います。
実際に好評です。

役員に決裁してもらうのは、会社の方向性を決めてもらうことです。
何も一から十まで理解してもらう必要はありません。
それは、担当者が行えば良いことです。
要点だけを理解してもらい、方向性を決めてもらう為にも、なるべく文章量は少なく、専門的な言葉は使わないでまとめる必要があります。

神ナナは個人が好き勝手にやっているサイトですから、ダラダラと多めの文章で書いていますが、仕事はその対極的な書き方をしています。

池上さんが書かれている著書を読み、自分の仕事にいかしていきたいと思いました。

この震災を通し、相手に分かりやすく解説する事の大切さを感じました。
自分には、その能力がまだ足りないとも感じました。
やらなければいけない事は山積みです。
一つ一つを丁寧にやっていくことで、被災した地域の力になりたいと思っています。

Posted by kanzaki at 2011年03月26日 22:12