2011年05月13日

義肢装具メーカー・中村ブレイス株式会社〜連日、国内外から感謝の手紙が届く企業

She begins to walk toward nature-ver2.JPG
※She begins to walk toward nature.

連日、国内外から感謝の手紙が届く企業。

そんな会社があったら、是非とも知りたいですよね。
実はあるんです。
それは、義肢装具メーカーの中村ブレイスという会社です。

●中村ブレイス株式会社
http://www.nakamura-brace.co.jp/

本社は島根県大田市大森町にあります。
人口約450人という小さな町です。
代表取締役社長・中村俊郎さんの故郷でもあります。
中村さんは、京都とアメリカで技術を学び、1974年に創業しました。
現在、約70名の従業員がいます。


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●患者の尊厳回復の為、喜ばれる製品作り


義肢は、病気や事故で身体の一部を失った人の新しい身体となります。
この会社ではオーダーメイドで、それら義肢を作成しています。

病気や事故で切除した身体の部位を覆うソケットも、独自に開発したものです。
肌への当たりが柔らかく通気性が高いのが特徴。

人工乳房と人工補正具は、一人ひとりの症状、肌の色、身体の形にあわせて忠実に製作されます。
型取りされた透明なシリコンゴムに、裏から筆で色をつけていきます。
血管まで丁寧に描かれており、とても地道な作業が必要となります。

人工乳房と人工補正具は完全受注生産です。
その為、他の製品に比べて、とてもコストがかかります。
しかし中村さんは、事業の利益を世の中のため、患者さんに喜ばれる分野に役立てたいと、意に介しません。

病気や事故で身体の一部を失った方は、身体だけではなく心まで傷ついています。
そうした方々が人としての尊厳を回復し、明るく前向きに生活できるようにお手伝いするのが、私達の仕事だと、中村さんは語ります。

中村さんの志は、ちゃんと患者さん達へ伝わっています。
それを裏付けるように、感謝の手紙や、メールが毎日のように届くそうです。
患者さんと接する機会がある社員の方は、感謝の言葉を直接かけられます。
患者さん一人ひとりに様々な思いやエピソードがあり、社員の皆さんはそこから多くの事を感じ取り、学んでいます。

この会社は「製品を作る人も使う人も幸せにする会社」と言われています。
社員は患者さんの為に一生懸命、誠実に対応しています。
患者さんはそれに応えてくれる。
喜ばれるから、社員はもっといい仕事をしようとして、良い製品も生まれる。
そうするとまた喜んでもらえる。
そんな、幸せの循環が出来ているのです。


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●多岐にわたる社会貢献の会社〜石見銀山の世界遺産登録に尽力


中村ブレイスの社会貢献は多岐にわたっています。

・大やけどで両足を失ったモンゴルの少年を日本に招き、義足を贈った。

・地元の石見銀山とアフガニスタンを舞台にした映画製作に全面協力。
→映画「アイ・ラヴ・ピース」http://www.nakamura-brace.co.jp/topic/movie_01.htm

・市内38軒の古い空き家を改修し、伝統的な町並み保存に努めた。

・夏休み期間に海外の子供達を受け入れる「なかむらスカラシップ」を実施。

・老朽化した大森代官所跡の資料館を全額負担で改修。

・石見銀山に関する研究や文化活動を表彰する「石見銀山文化賞」の創設。(この町は、世界の銀の三分の一を産出した銀山として世界的に有名)

2007年、石見銀山は世界遺産に登録されました。
登録にいたるまで、社員一丸となって尽力しました。
中村さんは様々なところで世界遺産になる意義を語り、県や市の活動に協力しました。
長年収集してきた石見銀山に関するコレクションも、登録に大きな役割を果たしました。


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●中村社長のこれからの夢

社会保障制度も整っていない途上国の人々や子供達に、義肢装具を作ってあげたい。
現地の文化である竹細工や木彫の技術と、自社の技術・ノウハウをミックスして、竹や木の義肢を作りたい。(お金もかからないし、子供の成長にあわせて作り直しできるから)


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以上、日本電信電話ユーザー協会の広報誌からの抜粋です。
なんて素晴らしい会社と、そこで働かれている方々なのでしょう。
これから、日本の企業が進むべき姿を具現化しているように感じました。
そんな素晴らしい会社の社長ですから、その表情も素敵なんですよ。

・中村社長のインタビュー記事(写真あり)
http://www.chosakai.or.jp/excellent/nakamura/index.html

広報誌に掲載されていた従業員の皆さんも良い表情でした。
誰かの為に役に立ちたいという献身的な心が、顔にあらわれているのでしょうね。

企業という立場から、地元の活性化に貢献しています。
個人や団体、県・市等ではなく、企業が主体になって街づくりに携わるのは、なかなか出来るものではありません。
それをやってのけるには、トップの考え・志が大切です。

新潟から遠くの地域にある企業ですが、もっと沢山知りたいと思いました。
地方の企業が進むべき道、姿勢のヒントがあるのではないでしょうかね。
いつか取材したいものです。

Posted by kanzaki at 2011年05月13日 23:54