前回の続きです。
●前回の記事: 「はじめて講師を頼まれたら読む本(大谷由里子さん)」の感想・まとめ・レビュー【2】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002487.html
●Amazon.co.jp: はじめて講師を頼まれたら読む本: 大谷 由里子: 本
http://amazon.jp/dp/4806134635/
・大谷由里子 公式サイト | ケセラセラ
http://www.yuriko-otani.com/
※
【(2)実践編〜講師になったら知っておきたいスキル・テクニック】
本書の核となる部分です。
ここは全部で7つに分けて書かれています。
・準備
(1)台本を作る
(2)メリハリをつける
(3)ブラッシュアップする
(4)前日までの準備
・本番
(5)当日、本番前にすること
(6)本番中のテクニック
(7)アクシデントに対処する
今回は(3)(4)についてまとめます。
次回は(5)〜(7)を一気に説明します。
※
【(3)ブラッシュアップする】
●ブラッシュ方法
・ほかの講師の話しを自分に生かす。
・アンテナを立てて、移動の時間等の隙間時間も情報収集。
・自分の姿をビデオで撮影してみて、印象や動き・話しのクセ、話しのまとまりの悪さ等を客観的に見てみましょう。
・やっぱり声は大きいほうがいいし、聞いてもらいやすいです。人気講師には声が大きい人が多いです。
※
●「5つのS」を意識する
5つのSとは、「Story」「Simple」「Special」「Speed」「Smile」です。
・「Story(ストーリー)」:
話の中に起承転結があること。
物語があり、裏づけがあると、人は納得して聞く姿勢になってくれます。
・「Simple(シンプル)」:
難しい事をいかに簡単に話すか。
英語の言葉は、できるだけ簡単な日本語にするように工夫しましょう。
難しそうと感じただけで、人は耳を閉じてしまいます。
・「Special(スペシャル)」:
「ここだけの話し」と言うと、とっても得した気分になります。
「ここだけでしか聞けない話し」をできるだけ盛り込んで、「お得感」「満足感」を感じてもらえるようにします。
・「Speed(スピード)」:
ゆっくりと話したほうが伝わりやすいテーマもあれば、一気に話す事によって臨場感を得られるテーマもあります。
速さを調整することで、メリハリがつきます。
・「Smile(スマイル)」:
笑顔になって「損した」と思う人はいません。
楽しかった、なるほど、面白かった・・・参加者が笑顔になった講演は、話しが心に残ります。
※
●小道具を使って聞き手を引き付ける
一方的に話すだけより、ちょっとした小道具を使うことで、参加者の集中力を持続できます。
大谷さんの場合、テレビでよく使われるフリップを用います。
かなり目を引きます。
感動秘話を盛り上げるため、プロジェクターを使って、もらった手紙を見せる人もいます。
ディズニーランドの研修では、小道具として、テーブルにミッキーマウスやドナルドダックの人形や飴を置いてあるそうですよ。そけれだけでワクワクしますよね。
研修・講演を楽しい気分にしたり、聞き手をグッと話し手に引き寄せるのに、小道具は便利です。
※
●本番で使える「3ポイント式アンチョコ」
まだ講演に慣れないうちは、アンチョコ(カンペ)を作っておきましょう。
1項目を5分単位として、90分の講演なら18項目を書いた一枚の紙を作るのです。
更に自信が無ければ、「話す項目」ごとに、「3つの話しのテーマ」、「1テーマにつき3つのポイント」を書き出します。
これを1項目で1枚、合計18枚用意します。
緊張して、話し忘れることもありませんし、時間が足りなくなってきたら、項目を飛ばせばいいのです。
※
●「これが最後の講演」という気持ちで
「講演はワンチャンス。出し惜しみしないで! これが最後の講演かもしれない」
パワーのある講師、売れている講師は、みんなそう言っています。
常に、「この話しと、この話しは絶対に入れる」という、自分の講演の軸を作っておきましょう。
100パーセントでぶつかるからこそ、相手に伝わるのです。
一回に全力投球すると、不思議と次のオファーが来るものです。
※※※
【(4)前日までの準備】
●主催者の意図は、はずさない
講師は、主催者が参加者に何を伝えたいのかという意図を理解し、それを受け止め、代弁者になることが重要です。
事前に、「おそらくこういう意図なのだろうなあ」と、主催者の気持ちになって内容を準備します。
そして、主催者側と打ち合わせの際、確認し、すり合わせする必要があります。
主催者が何のためにお金を使ってくれているのか、意図をよく理解しましょう。
※
●事前打ち合わせは、できる講師の必須事項
講師に慣れていない時は特に、主催者側と事前打ち合わせが大切です。
「なぜ、わたしを講師に呼んでくださったのですか?」
「この研修を通して、参加者に何を持って帰ってもらいたいですか?」
「主催者として伝えたい事は何ですか?」
素直に聞いてみましょう。
明確な答えが返ってくるはずです。
大谷さんは、年間の講演数が多いので、マネージャーが事前打ち合わせするそうです。
そのまとめた内容を大谷さんに報告します。
「事前にわが社のビデオを観ておいて欲しい」「社長の思いを聞いておいて欲しい」という主催者の要望には、できだけ応えることで、先方との信頼関係が生まれます。
話しの内容が期待はずれにならず、信頼に応えるためにも、主催者と何らかの打ち合わせをしましょう。
※
●相手の情報を入手しておくと喜ばれる
インターネットでいくらでも、主催者や参加者の情報を事前入手できます。
また、早めに現地入りして、地元の新聞やタウン誌などを購入すると、地元ならではの情報も手に入ります。
相手が企業ならば「新製品、開発されたんですね」、相手が地方自治体ならば「この町でこんなことがあったんですね」と言うような話しは、とても喜ばれます。
参加者の会社の経営理念を講演に組み込むと、好感を持ってもらえます。
講師自ら、「みなさんにこんなに興味を持っているんですよ」と暗に示すのは大切です。
※
●早めに会場の下見をする
講師として主催者に呼ばれる場合、事前に会場の下見が出来ない事が殆どです。
早めに着いて、下見をおすすめします。
会場までの行き方も、直前で構わないので最終チェックをしておきます。
大谷さんは、主催者に用意してもらった地図が古く、道に迷ったことがあるそうです。
会場のレイアウト、音響設備も事前確認が大切。
「講演形式」だと思ったら、テーブルがひとつの「サロン式」だったことがあるそうです。
テーブルの配置が違えば、やれることも違ってきます。
下見できなければ、事前に会場のレイアウトや音響設備の資料を送ってもらうと良いです。
逆に「こういう準備をしておいてください」と、前もって主催者へ希望を伝えておいても良いでしょう。
※
●健康管理で穴をあけない
風邪を引いて講演に穴をあけるのは、あってはならないことです。
人前で話すということは、人の時間をいただくということ。
万全の体制、ベストの状態でいることは最低限のマナーです。
※
●衣装で聞き手をひきつける
話しをきいてもらってこその講師。
どんな手を使ってでも、とにかく講師に関心を持ってもらわなければ何も始まりません。
専門のスタイリストに頼むのもアリ。
スタイリストは、人前で多くの人を引き付ける衣装を良く知っています。
※
●講演前の「必要なものリスト」
大谷さんの場合、講演が決まると、スタッフが先方に用意してほしいものをFAXやメールで送ることにしています。
おしぼり、水差し、ホワイトボードの位置、希望する会場のレイアウトなど。
図面や文字で伝えると、主催者側も楽です。
道具の確認は、自分の気がかりを減らすのに大切です。
※
●未来へつながるレジュメ作り
大谷さんはレジュメを配りません。
主催者の意向でどうしてもという場合、話しを簡単に箇条書きにした、余白の多いものを配ります。
レジュメを配らない講師が多い理由は、
「気持ち・感覚で持って帰ってほしい」
という本音があるからです。
もし、レジュメを作るとしたら、レジュメそのものが一人歩きするぐらい充実したものを作ると効果的です。
講演に参加できなかった人がそれを見て、興味を持つくらいの内容の濃いものを作ると、講師としての仕事が広がります。
つまり、下記のようなものでしょうかね?
(参考記事)
・伊勢みずほさん(新潟のフリーアナウンサー)による講演〜「まちなみ探訪 食探訪!行ってみずほオススメのまち」〜景観まちづくりフォーラム【1】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002292.html
・伊勢みずほさん(新潟のフリーアナウンサー)による講演〜「まちなみ探訪 食探訪!行ってみずほオススメのまち」〜景観まちづくりフォーラム【2】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002293.html
・伊勢みずほさん(新潟のフリーアナウンサー)による講演〜「まちなみ探訪 食探訪!行ってみずほオススメのまち」〜景観まちづくりフォーラム【3】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002294.html
・伊勢みずほさん(新潟のフリーアナウンサー)による講演〜「まちなみ探訪 食探訪!行ってみずほオススメのまち」〜景観まちづくりフォーラム【4】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002295.html
・伊勢みずほさん(新潟のフリーアナウンサー)による講演〜「まちなみ探訪 食探訪!行ってみずほオススメのまち」〜景観まちづくりフォーラム【5】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002296.html
データをちゃんと示さなければならない講師の場合、データのレジュメがあると、聞き手は嬉しいものです。
しかし、レジュメをもらっても、ゴミになるだけの人も多いのが事実。
大谷さんの講師仲間の一人は、講演の最後にメールアドレスを参加者へ伝えています。
パワーポイントで作ったレジュメが欲しい人はメールを送ってもらうようにして、届いたらデータを返信しています。
紙代も無駄にならないし、必要な人だけ手に入れられます。
メールのやりとりで、コミュニケーションが生まれることもあります。
※
●懇親会からうまく抜け出す方法
どんな懇親会で、どんな人たちが集まるのか主催者に確認しておくと良いでしょう。
その上で出席するか考えます。
大谷さんがよく使う方法は、「一時間ほどでよろしいですか?」です。
気に入った懇親会で、話しが盛り上がれば、そのまま参加。
時間の無駄になりそうならば、「時間なので」と帰るのです。
良い出会いもありますので、最初から決め付けず出てみるのも一つの手です。
※
【続く】
●次回の記事: 「はじめて講師を頼まれたら読む本(大谷由里子さん)」の感想・まとめ・レビュー【4】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002489.html
※※※
●連載記事(合計4回)
・「はじめて講師を頼まれたら読む本(大谷由里子さん)」の感想・まとめ・レビュー【1】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002486.html
・「はじめて講師を頼まれたら読む本(大谷由里子さん)」の感想・まとめ・レビュー【2】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002487.html
・「はじめて講師を頼まれたら読む本(大谷由里子さん)」の感想・まとめ・レビュー【3】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002488.html
・「はじめて講師を頼まれたら読む本(大谷由里子さん)」の感想・まとめ・レビュー【4】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002489.html
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