今、ロボット映画が公開されています。
●映画『ロボジー』公式サイト
http://www.robo-g.jp/index.html
さて、問題。
世界ではじめて、「ロボット」という名称が使われた作品は何だと思いますか?
それは、「R.U.R.」という戯曲(シナリオ)です。
第一次世界大戦が集結したばかりの1920年の作品です。
●R.U.R. - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/R.U.R.
R.U.R.(ロッサム万能ロボット会社)は、チェコの作家カレル・チャペックによる戯曲。
1921年に発表された。
この劇の発表によって「ロボット」という言葉を創り出した、歴史的作品である。
しかし、劇の内容からアイザック・アシモフがロボット三原則を使った作品を発表するまでの間、ロボット=反乱というイメージが付きまとうことになる。
●青空文庫「R.U.R.(Rossum's Universal Robots)-ロッサム世界ロボット製作所)
http://www.aozora.gr.jp/cards/001236/card46345.html
(無料で、翻訳された作品を読むことが出来ます)
この作品について、本田コンサルタント事務所の代表・本田有明さんが解説していました。
※
この作品に登場するロボットは、工業用ロボットとは違います。
人間にそっくりな労働用人造人間です。
wikiを読む限りでは、構造的にはエヴァンゲリオンが最も近いかもしれません。
このロボットを開発、大量生産することで、人間をあらゆる労働から解放すること。
それが、ロッサム・ユニバーサル・ロボット社(RUR社)の経営陣の願いでした。
この会社が開発したロボットは、綾波レイのように無表情ですが、大変高度な知性を持ち、言葉を理解して話します。
更に、人間の2.5倍の労働をこなします。
これで1体が、たった120ドルしかしません。
オリエント工業のリアルラブドールでも60万円するのですから破格です!
それらを1日に1万5千個も製造し出荷しています。
RUR社ロボット導入については、多くの会社で労働組合の反対にあいます。
しかし、導入しないところは競争に負けて倒産していきました。
瞬く間に、ロボットは全世界へ輸出されていきました。
RUR社の経営陣
「全てをロボットが生産するので、モノには値段が無くなります。
貧困も無くなります。
そうです、我々は仕事から解放されるのです。
労働というものが無くなり、何もかもロボット達がやってくれるのです」
「もう、パンを食べる為に、額に汗して働くことはありません。
飢えや渇き、疲れや屈辱を覚えることもありません。
人々は自由となり、何者にも制限されることはありません。
自分を完成させることだけを考えればいい。
仕事をする必要も無いし、何も心配する必要も無い。
人間は、創造主になるのです!」
RUR社のロボットにより、人々は労働から解放されました。
そして、その結果どうなったのでしょうか?
※
労働だけではなく、日常生活にまつわる動作を人間に代わり、全てロボットが行なってくれるようになりました。
その結果、人間はただ存在するだけ。
一日中、木陰に寝そべっている猫と変わりがありません。
RUR社の経営陣は、
「自分を完成させること、創造主になること」
が、人間の究極的な自由と考えたのですが、現実は大きく違ってしまったのです。
やがて、ロボット達に変化が訪れます。
※
ロボット達が反乱を起こしたのです。
ロボット
「全世界のロボットに告ぐ!
我々、ロッサムのユニバーサル・ロボットは、人間を敵とみなす!」
「(人間に対し)あなた方は、我々ロボットのように有能ではないからだ!」
労働用ロボット達は、ビラを作って団結を呼びかけます。
知性、パワーともに人間を上回る彼らは、やがて武器を持って立ち上がり、人間を掃討しました。
※
たった一人だけ、ロボット達から生きることを許された人物がいます。
RUR社の技師・アルクイストです。
便利になりすぎて何もしなくなった人間の中で唯一、彼だけは手を動かして働いていたからです。
アルクイスト
「かつては、奉仕する事の中に何か良いものがあった。
労働や疲労の中には、徳のようなものがあった」
※※※
wikiのあらすじを読みますと、リメイクすれば、現代でも十分通用する映画作品ができそうな気がしますよね。
むしろ、働くことの意味が分からなくなりつつある現代の方が向いているのかも。
こっそり、小説でも書いてみようかなと思います。
働いていると、辛いことが沢山あります。
労働から解放されたいと思うものです。
それじゃあ労働から解放されれば、人はハッピーに生きていけるかといえば、実はそうでもない。
果たして、毎日ぼ〜としている生活に、人間が耐えられるでしょうか?
多くの人は、それを望みません。
安楽よりも、むしろ苦役に近い。
晩酌のビールを美味しく飲むには、日中に一生懸命働くのが秘薬ですしね。
定年退職した健康な人が、何もしない日々に嫌気がさし、再び社会へ出て働くという姿を私は沢山見てきました。
働きすぎると安息を求め、安息が過ぎると働くことを求める。
労働ロボット達には無い、人間特有の悩みです。
私のように、一日の殆どの時間を会社で過ごす人は、やはりその職場にて「生きがい」や「働く悦び」を求めたいものです。
副業やボランティア、社会活動をするのは楽しいし、やりがいもあります。
けれど、それは本業がそれなりに充実して、メインとサブのバランスが丁度良いから成立する事です。
「R.U.R.」は、人間から生きる為のメインの部分を奪い去られると、サブだけでは生きていけない姿をわかりやすい形で表現しています。
90年も前の作品で、既にSF的技法により、人間の労働に対する意識を取り扱っていた作品があったなんて驚きました。
しかもエピローグでは、エヴァンゲリオン(旧作版)的な感じに終着していますしね。
働くという意味をいろいろと考えている今日この頃でしたので、良い刺激になりました。
【関連記事】
●R.U.R.(ロッサム万能ロボット会社)〜人間はロボットによって、せっかく楽ちんになっても、その余暇に、新たな仕事を詰め込んでしまう性質の生き物だと思うのです
http://kanzaki.sub.jp/archives/003907.html
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