週刊少年誌漫画で最大発行部数を誇るのは、「少年ジャンプ(集英社)」です。
現在、集英社の専務をしている鳥嶋和彦(とりしまかずひこ・59歳)さんも、ジャンプ名編集者の一人でした。
鳥嶋さんは、「Dr.スランプ」「ドラゴンボール」の作者・鳥山明先生を発掘した人です。
鳥嶋さんと言うより、「Dr.スランプ」の悪役「Dr.マシリト」と言った方がわかりやすいかもしれませんね。
実は、新潟県の出身なんです。
新潟の地方紙にてインタビューに答えていました。
●鳥嶋和彦さんのプロフィール
1952年生まれ。
新潟県小千谷市出身。
小千谷高校、慶応大学卒。
1976年、集英社入社。
週刊少年ジャンプ編集部、Vジャンプ編集長、週刊少年ジャンプ編集長などを経て、2010年から専務取締役。
東京在住。
※
【鳥山明先生は新人賞落選組】
担当した作品で最初に大ヒットしたのが「Dr.スランプ」でした。
鳥山明先生の初連載作品です。
則巻千兵衛(のりまきせんべえ)博士が発明したロボット少女「則巻アラレ」が主人公のギャグ漫画です。
「んちゃ」「ほよよ」などの言葉が流行りました。
鳥山明先生は23歳の時、少年ジャンプの新人漫画賞に投稿しました。
鳥嶋さんが入社3年目の時のこと。
実は鳥山さん、賞はとれませんでした。
先輩編集者も興味を持ちませんでした。
しかし、鳥嶋さんは違いました。
絵のうまさもさることながら、特に感心したのが、擬音の描き方でした。
鳥嶋さんは、彼を担当したいと思いました。
その年、読み切りを掲載しましたが、人気はぶっちぎりのビリでした。
今に至る人気は、鳥山&鳥嶋コンビの苦労から生まれたものだったのです。
※
【Dr.スランプの主人公はアラレじゃなかった】
連載漫画について二人で考え、ようやく形になったのが「Dr.スランプ」でした。
連載前のアイディアでは、千兵衛というおじさんが主人公の漫画でした。
しかし鳥嶋さんは、鳥山さんの描く女の子がかわいいので、それを強みにしようと思いました。
鳥嶋
「アラレを主人公にして」
鳥山
「少年漫画で女の子を主人公にするのは恥ずかしい」
鳥山さんはなかなか譲りません。
そこで賭けをしました。
女の子が主人公の短編を描き、アンケート結果が良かったらアラレを主人公にするというもの。
1979年、増刊号にて女性刑事のギャグ漫画「ギャル刑事(デカ)トマト」を掲載。
アンケートで3位になりました。
鳥嶋さんが賭けに勝ち、主人公がアラレになりました。
※
【Dr.マシリト誕生秘話】
「Dr.スランプ」が連載スタートして半年後のこと。
鳥山さんが連載をやめたいと言い出しました。
1話完結で毎週15ページを描くのが大変だったからです。
そこで、運動会とかの話しを3回、5回と続けることで、アイディアを考える負担を軽くする等しました。
だんだん、鳥山さんの疲れもピーク。
「Dr.スランプ」には鳥嶋さんがモデルの悪役「Dr.マシリト」が登場します。
鳥嶋さんは、鳥山さんが描いた悪役にインパクトが無いと指摘しました。
「悪いやつが平凡な顔しちゃ駄目だよ。嫌いなやつの顔を思い浮かべて描いて」
そう言うと鳥山さんは、鳥嶋さんの顔を描いてきました。
さすがに鳥嶋さんも、それは嫌だったのですが、描き直す時間がなくて、やむやむ掲載しました。
すると驚いたことに、Dr.マシリトが大人気。
その後、鳥嶋さんは街を歩いていると、見知らぬ人に「マシリトですか?」と言われるようになりました。
※
その数年後、鳥山さんが引越しをしました。
その時、連載の形になる前のボツ原稿が500枚出てきたそうです。
漫画家と編集者の二人が一人前になる迄に、それだけの努力と時間を費やした証でした。
※※※
なんだか、テレビドラマで再現してもらいたい面白エピソード満載ですよね。
鳥山さんは、なにも彗星のごとく現れた天才作家ではなかったのです。
鳥嶋さんが発掘しなかったら、Dr.スランプやドラゴンボールがこの世に無かったかもしれません。
新米作家と平編集者。
若い二人による二人三脚の歩みは、ここからスタートしたのです。
どうやらこのインタビューは、あと7回やるようなので、また機会をみてご紹介したいと思います。
●【次回の記事】元少年シャンプ編集長・鳥嶋和彦さん(Dr.マシリト)は新潟県出身(2)〜打ち切り寸前だった「ドラゴンボール」が人気浮上した理由
http://kanzaki.sub.jp/archives/002606.html
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