2012年08月07日

宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」〜宮沢賢治は「みんなのさいわい(幸い)」を願った献身の人

本田コンサルタント事務所の本田有明さんが、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を紹介していました。
「銀河鉄道の夜」は、少年が夢の中で夜の銀河を旅する物語です。

●青空文庫(無料):銀河鉄道の夜(著・宮沢賢治)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card456.html

●銀河鉄道の夜 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%80%E6%B2%B3%E9%89%84%E9%81%93%E3%81%AE%E5%A4%9C

【「銀河鉄道の夜」の台詞】

副主人公の少年カンパネルラ
「ぼくはおっかさんが、ほんとうにさいわいになるなら、どんなことでもする。
けれど、いったいどんなことが、おっかさんのいちばんのさいわいなんだろう」

主人公ジョバンニ
「もうこの人のほんとうのさいわいになるなら、じぶんがあの光る天の川の河原に百年つづけて立って鳥をとってやってもいい」
(銀河の鳥捕(とりと)りを哀れに思って述べた言葉)

主人公ジョバンニ
「ぼくはそのひとにほんとうに気の毒でそしてすまないような気がする。
ぼくはそのひとのさいわいのためにいったいどうしたらいいのだろう」
(銀河鉄道に乗り合わせたタイタニック号の海難被害者に寄せた言葉)

ジョバンニとカンパネルラは、自分の命を犠牲にして他の者の幸せを願うさそりの話しについて、こんなやりとりをします。

「ほんとうにみんなのさいわいのためならば、ぼくのからだなんか百ぺん灼いてもかまわない」

「うん、ぼくだってそうだ」

「けれどもほんとうのさいわいはいったい何だろう」

【みんなのさいわい】

「銀河鉄道の夜」は、少年たちが自分の幸せではなく、あらゆる他人の幸せを祈りつつ星座を旅する哀しい物語です。

文中の「みんなのさいわいのためならば」という言葉は、宮沢賢治が生涯にわたって追求し続けた主題そのもので、さまざまな作品にそのエッセンスが織り込まれています。

有名な「マズローの欲求五段階説」。
人間の最終段階の欲求は「自己実現の欲求」だそうです。
しかし、自己実現の中身は、人によって大きく異なります。
安易に暮らせる事が自己実現という人もいるでしょう。
宮沢賢治の場合、「みんなのさいわい」だったのです。

みんなの幸せを願う心。
現代では、他人の幸せ、奉仕の精神を正面から論じるのはヤボという風潮です。
でも、人前で声たかだかに論じなくても深く考えてみるべきです。
虚心になって人生の課題と向き合う為、「銀河鉄道の夜」のような古典を読むのも良いのではないでしょうか。

【宮沢賢治は献身の人】

宮沢賢治は、
「世界全体が幸福にならないうちは、個人の幸福はあり得ない(農民芸術概論綱要)」
という考えの持ち主でした。

その為に彼は「献身」という美徳を実践していきました。
そんな彼のエピソードは、下記のサイトをご参照ください。

●宮沢賢治 献身の精神
http://www2s.biglobe.ne.jp/~yukiya-s/home-2/miyazawa.htm

●宮沢賢治 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E6%B2%A2%E8%B3%A2%E6%B2%BB

川に落ちた友達を助けようとして死んだカンパネルラが登場する「銀河鉄道の夜」。
主人公が身を犠牲にして冷害を救う「グスリコーブドリの伝記」。
自身の献身という心が、作品に反映されているのですね。

【普段の生活の中で「みんなのさいわい」を実践】

私達が宮沢賢治のように、「みんなのさいわい」を願って献身的な行動をとるには、どうしたらいいでしょう。
行動というと、新聞に取り上げられるような大袈裟な事を考えてしまいます。

そんなんじゃなく、「相手を思う一言」をかけてあげるだけでもいいと思うのです。
その一言は、相手にとって「心のビタミン剤」になります。

また、脳は「あなた」とか「私」という概念がありません。
相手に喜んで貰えるような褒め言葉を言うと、言った本人も喜び、自信がつきます。

精神的にまいっている時こそ、どんどんステキな言葉を使ってみましょう。
人を褒める言葉でも、脳や自律神経系は自分を褒める言葉と解するからです。
脳のプログラム上のバグとも言うべき欠陥が、実は性格向上の切り札になるのです。

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「銀河鉄道の夜」と言うと、猫の擬人化がイメージに強いですよね。

●映画『銀河鉄道の夜』 予告篇 - YouTube

そんな世界観を再び感じる映画が公開中です。
「銀河鉄道の夜」と同じく、宮沢賢治原作、杉井ギサブロー監督作品。

●映画『グスコーブドリの伝記』予告編【HD】 2012年7月7日公開 - YouTube

公式サイト:http://www.budori-movie.com

Posted by kanzaki at 2012年08月07日 22:09