2012年09月30日

デジタル時代に、アナログな文房具が人気になる3つの理由

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(新潟総踊り2012の1シーン)


文房具売り場の売り上げが、前年比でも増えて好調だそうです(NIKKEIプラス1より)。

100円ショップの中国製ボールペンのコストは、日本製の4分の1。
国内メーカーは価格ではなく、品質や機能で勝負するようになりました。
そして5、6年前から、全く新しい商品が相次ぎました。

2011年度の事務用品全体の市場規模は前年度比1.3%減。
しかし、ノートとボールペンに限ると1.1%増です。
ペン類の出荷額は2009年の990億円から、2011年には1085億円に持ち直しています。

勤労者世帯の消費支出に占める筆記用具の比率は、2008年を境にほぼ右肩上がりです。

2010年頃から文房具ブームになり、雑誌やテレビが大きく取り上げ、手帳術やノート術を扱う書籍がたくさん出版されました。
ドラッグストアや書店でも文房具を取り扱う様になりました。

文房具への関心の高まりの理由は3つあります。

(1)企業ではなく、個人が自分で買うようになったから
(2)デジタルとアナログの融合
(3)女性の就業率上昇

【(1)企業ではなく、個人が自分で買うようになったから】

理由の一つは、企業ではなく、個人が自分で買うようになったからです。
景気低迷により、企業がコスト削減の為、ペン等の備品購入を控えるようになりました。
その為、メーカーの売り上げは大幅に落ち込みました。

メーカーは新機能を持つ文房具を開発していましたが、あまり知られていませんでした。
消費者が自分で買うようになったことで、新機能製品が文房具店で「発見」されるようになったのです。

リーマン・ショック直後は、低価格商品が売れ筋でした。
最近は、女性に人気のカラフルなペンや、長持ちするファイルなどが売れ始めました。
法人から個人へ需要が移ったことで新製品の開発も進み、市場が拡大しました。

文房具に限らず、法人が経費削減によって、賃貸マンション、スポーツクラブ、ゴルフに飲食など、個人が支出するようになりました。
個人需要が無視できなくなりました。

文房具ですと、個人需要が増えれば、好みに合わせて色や機能で選ぶようになります。
男性だって、色は必ずしも黒を選ぶわけじゃなくなりました。
動物の形をしたクリップなど、「女子文具」も売れています。

【(2)デジタルとアナログの融合】

二番目の理由は、デジタルとアナログの融合です。
例えば、テプラで有名なキングジムは、スマートフォン用メモ帳「ショットノート」を発売し、大ヒットしました。

●手書きメモをスッキリデジタル化「ショットノート」 | KINGJIM
http://www.kingjim.co.jp/sp/shotnote/

メモ帳に書いた内容をナナメから撮影しても、正面から撮ったように補正できます。
デジタル機器の普及が、新たなアナログ文具を生み出しました。

【(3)女性の就業率上昇】

三番目の理由は、女性の就業率上昇です。

単身世帯の女性の可処分所得(手取り収入)は、2009年に男性を抜きました。
女性の社会進出が目覚しい。
また、医療・介護業界などで女性が働く比率が高く、製造業が多い男性に比べ景気後退の影響を受けにくいのもあります。
今後、商品開発の上で、女性需要の開拓が重要になります。

※※※

【文房具業界のヒット商品】

●エアペン(ぺんてる):http://www.airpen.jp/
専用ペンで紙に書いた文字など、同時に受信機で読み取り、記憶出来るデジタル文具。

●ジェットストリーム(三菱鉛筆):http://www.mpuni.co.jp/product/category/ball_pen/jetstream/
インクを改良し、ペン先のボールの摩擦を減らし、書き心地をなめらかにした油性ボールペン。

●フリクション(パイロットコーポレーション):http://www.pilot.co.jp/frixion/info/
こすると摩擦熱でインクを消すことが出来るボールペン。

●クルトガ(三菱鉛筆):http://www.mpuni.co.jp/product/category/sharp_pen/kurutoga/
筆圧で芯が少しずつ回転し、芯先を尖った状態に保つシャープペンシル。

●ショットノート(キングジム):http://www.kingjim.co.jp/sp/shotnote/
書いた内容をスマートフォンで撮影すると、ゆがみを自動補正して画像で保存できるメモ用紙。

※※※

最近、神ナナでも、文房具関連を多く取り扱うようになりました。
世間でも文房具ブームが巻き起こっているのですね。

文房具は、一部の万年筆などを除けば、比較的安価に、どこでも入手可能です。
安価故に、色々なメーカーのものを使って比較し、自分に合ったものを探しやすい。
日々の仕事で使うものだから利用頻度も高く、満足度・愛着度も高い。

不景気で収入が減っているからこそ、日常で実用的なものにお金が流れるのは当然です。
高級レストランや海外旅行より現実的。
今後ますます、文房具需要は増えそうです。


【関連記事】

●神崎がガチで使用している文房具(ペン、ケース、ノートカバー)
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http://kanzaki.sub.jp/archives/002684.html

Posted by kanzaki at 2012年09月30日 21:52