詩人・小池昌代さんが、日常を支える言葉としてあげたのが下記のセットです。
「いってきます」「いってらっしゃい」「ただいま」「お帰り」
毎朝、小池さんは子供を送り出す際、必ず顔を見て「いってらっしゃい、気をつけてね」と言います。
言ったところで、子供の耳を素通りしています。
でも、それでいい。
この言葉は、意味を超越した、一種の「魔除け」「呪文」なのだそうです。
もし、この儀式を忘れて、子供が事故にでもあったら、一生、自分を責めるだろうとのこと。
これは、子供の安全を祈願するのと同時に、母親自身を安心させるための、催眠的呪文なのです。
生命保険をかけるよりも安い。
そして毎日、言い続ければ、悪魔も必ずや根負けするでしょう。
※
北朝鮮に拉致された曽我ひとみさん。
24年ぶりに祖国の地を踏んだとき、口にした一遍の詩に、このような言葉があります。
空も 土地も 木も 私にささやく。
「お帰りなさい、頑張ってきたね」
※※※
この主語の無い「いってきます」「いってらっしゃい」「ただいま」「お帰り」。
何気なく通りすぎてしまいそうな言葉ですが、これほど日常の中で、心を支えてくれる言葉もないでしょう。
ドラマの名台詞のようなパッションはありません。
しかし、主食のご飯のように、毎日、私達の心に栄養を与えてくれます。
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