2016年11月30日

台湾映画「私の少女時代−Our Times−」を観た感想〜丁寧に描いており、今どきのドラマや映画は観るのが疲れるという人でも、安心して物語の世界観へ入ることができます

●公式サイト「私の少女時代−Our Times−」
http://maru-movie.com/ourtimes.html

上映日:2016年11月26日
製作国:台湾 / 上映時間:134分



映画 『私の少女時代-OUR TIMES-』 予告編 - YouTube



『私の少女時代-OUR TIMES-』特別メイキング映像---宋芸樺(ビビアン・ソン)編



『私の少女時代-OUR TIMES-』特別メイキング映像---王大陸(ダレン・ワン)編


台湾で2015年興行収入No.1を記録した大ヒット作。
中国、韓国でも大ヒット記録を更新中で、日本でも11月26日より新宿武蔵野間ほかで全国公開。


<あらすじ>
仕事も恋愛も空回りのOL林真心。
ある日、ラジオから聞こえてきたのはかつてのアイドル、アンディ・ラウの歌だった。
あの頃、片思いをしていたイケメン優等生・欧陽、恋のライバルを蹴落とす味方をしてくれたワイルドな不良生徒・太宇。
90年代、何もかも輝いていた高校時代が一気に蘇る。
忘れかけていた純粋な恋と友情を思い出したリンを待っていたものとは?

アンディ・ラウがエグゼクティブ・プロデューサーとして参加し、本人役でも出演。
本作で大ブレイクした次世代イケメン、ダレン・ワン、ディノ・リーに加え、F4のジェリー・イェンも特別出演している。

※※※


公開初日に観てきました。
新潟市で上映しているのは、イオン新潟西店内の映画館のみ。
ここの映画館は最近、マイナーでも良質な作品を上映してくれることで有名になっています。
今回のこの作品も、殆どの地域では来月以降に上映なのに、東京と同じ日に公開しています。


katasumini.JPG
(「この世界の片隅に」をパネルと液晶モニターで、熱烈にアピールしていました)


上映は一日2回。
しかも、昼間は吹き替えのみ。
字幕版はレイトショーのみとなります。
客層は年齢が高めで、しかも映画好き風の人が多かったので、字幕版を日中にやってほしかったです。
新潟駅周辺に住んでいるマイカー無しの私には、夜にあの近辺へ行くのは遠くてしんどいです。



海外作品ですが、昭和時代の日本の少女漫画・アニメのような感じで、まったく違和感がありませんでした。
せいぜい、食文化が違うぐらい。
昭和時代の日本の高校と、雰囲気は同じでした。
舞台が90年台ですから、日本で言えば平成一桁ではありますが、ノリは昭和です。


高校生時代の思い出を現在の大人になった女性が振り返る形で、話しが展開されます。
「世界の中心で愛を叫ぶ」のような形ではありますが、この映画の場合、そんなに大人パートは重要ではありません。
大人になってからの主人公たちも、本編の学生時代編と同じキャストで演じてほしかったです。
どうにも、ルックスは違うし、性格も喋り方も違いすぎるからです。


不良少年と、パシリに使われるさえない少女の物語。
不良少年は実は良い奴というのも王道だし、さえない少女はメガネを外したら美少女だったというのも王道。


ありがちではありますが、登場人物をとても丁寧に描いているので、長時間にもかかわらず飽きませんでした。
今の日本だと、テンプレートどおりに展開する「お約束」を制作側も観る側も分かった上で話しを進めます。
だから、ごっそり途中の展開をそいでしまって、話しをどんどん進めていきます。
テンポは良いのですが、登場人物たちに感情移入がしにくいです。
この映画では、観ている側の感情が、話しの展開に追いつくように調整してあるのが良かったです。


まだ、スマホもラインもフェイスブックも無い時代ならではの、「逢いたいときに逢えない」「相手を待つ時間」を話しの流れに使っています。
学園コメディ(ラブコメ)は、スマホが無くて、便利ではない環境のほうが、面白いよなあと思いました。
その方が、登場人物たちが、それぞれの個性にあわせて努力・工夫するからです。


学校や放課後に立ち寄るお店が主な舞台です。
話しに関わってくる小道具も、われわれにとって身近なものばかり(特に昭和生まれの人には)。
アナログな小道具だからこそ、不器用な登場人物にとって、使い方次第で有益なものになるのです。
スマホで一発解決より、感情移入もしやすいですね。



日本で言うところの平成一桁時代(昭和生まれで、学生時代は平成)。
せいぜい、ポケベルぐらいしか無い時代。
CDではなく、カセットテープが主流。
SONYのダブルカセットデッキや、AIWAのポータブルカセットテーププレーヤーが登場します。


ヒロインの相手役である男の子や、その子分は、カシオの「データバンク」という懐かしい腕時計をしています(2種類確認しましたが、どちらもアマゾンにて安価に買えます)。


●シュー・タイユィ(ヒロインの相手役の不良)がしていたデータバンク
Amazon|[カシオスタンダード]CASIO STANDARD 【カシオ】CASIO STANDARD スタンダード CA-53W-1Z ブラック メンズ腕時計【逆輸入モデル】 CA-53W-1Z メンズ 【逆輸入品】|メンズ 時計 通販

https://www.amazon.co.jp/dp/B000GB1R7S/
(細かい型式は異なるかもしれませんが、ルックスはこのタイプです)


●子分がしていたデータバンク
Amazon|[カシオスタンダード]CASIO STANDARD 【カシオ】CASIO STANDARD 腕時計 DBC-611G-1D【逆輸入モデル】 DBC-611G-1D メンズ 【逆輸入品】|国内ブランド 通販

https://www.amazon.co.jp/dp/B007HHWF0W
(細かい型式は異なるかもしれませんが、オダギリジョーさんが「時効警察」で使用していたもの。
お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹さんも愛用していましたね)


そんな時代のコメディタッチの王道展開ですから、今の若い子が感情移入できるかどうかは分かりません。
小道具も、今の子たちは使ったことの無いものばかりですからね。


40代、50代の人の方が、楽しく鑑賞できるのではないかと思います。
部屋の整理をしていたら、「学生時代に夢中になった漫画」が出てきて、がっつり読み返してしまう感覚です。



映画が終わったあと、引き続き、数分間の動画が上映されます。
日本の20代の女の子が、映画の撮影に使われたロケ地を巡る旅です。
折々で、監督の女性や、主人公の女の子を演じた女優のインタビューも盛り込まれています。
ハッシュタグ「#私の少女時代」を表示していたので、ツイッターにて口コミによる盛り上げをしたいのかなあと思いました。


多分、殆どの人は、この映画が上映されていることを知らないし、現地で大ヒットしたことも知らないでしょう。
現時点で、高評価を与えている人は、国際線の機内映画上映で観たことのある人だと思います。


きっと、地上波で放送することもないでしょう。
あるとすれば、日本人俳優によるリメイクドラマでしょうか。
主人公の名前は「林真心」ですから、日本名でも違和感がありませんね。


レンタル開始してからでも良いので、大人の人に、一度は観てもらいたいです。
今どきのドラマや映画は、観るのが疲れるという人でも、安心して物語の世界観へ入ることができますよ。

Posted by kanzaki at 2016年11月30日 22:40