2016年01月24日

図書館は、無料貸本屋なのでしょうか?〜否、図書館は「良心」だと思います

sainokami2016.JPG
(新潟県糸魚川市で、恒例の「さいの神」が行われました。カヤ・わらを積み上げたものを燃やし、無病息災・五穀豊穣を祈ります)


出版業界の一部は図書館を「無料貸本屋になっている」と批判しています。
人気作家の新刊小説など売れ筋の本を大量に購入する図書館が多いからです。


予算が減らされる中、求められる役割は増えるばかりの図書館。
ベストセラーの品揃えとは別の形で期待に応えようと、現場は奮闘しています。

(日経より)



【伊万里市民図書館(佐賀県)】


・日々のニュースに応じた本を機動的に紹介するコーナーを設けています。
展示パネルが50ヶ所ほどあり、14人の司書が独自のテーマで新聞・雑誌・本・資料を展示(定期的に内容見直しあり)。


・同館へ利用登録しているのは市民の6割。全国平均の2倍。


・市民団体が開くイベント、生後3か月の乳児へ絵本を贈る「ブックスタート事業」、ベテラン司書によるビジネス支援などを行っています。



【小布施町立図書館まちとしょテラソ(長野県)】


・町民が自発的に委員会をつくり、2009年にリニューアル。旧図書館の4倍の来館者になりました。


・直近の資料費(図書購入費)は、年300万円。開館初年度の3分の1に減りました。
年2000冊強しか新刊が買えない状況です。


・そこで、旧来の蔵書を掘り起こす展示コーナー「テラソ百選」を設けました。
毎月、司書がテーマを決めて本を選定し、手書きカードで紹介します。



【それぞれの言い分】


・2014年、全国の図書館は3246館。30年前の2倍です。


・年間貸出冊数は約7億冊。30年前の3.5倍です。書籍の年間販売冊数を上回ります。


・昨年、新潮社の社長が、新刊本を1年間貸出自粛をする考えを打ち出し議論を呼びました。


・地方の図書館は、中心市街地活性化のための集客施設として期待が高まっています。


・図書館の予算削減が続いています。利用者が少なければ予算は一層削られかねないうえ、不要論まで浮上します。
存続のためには、集客に奔走するのも当然です。


・集客の施策として、開館時間の延長やカフェの併設、市民からの要望が多いベストセラー本の拡充があります。


※※※


国民に金銭的負担がかかりすぎるのが、今の日本です。
お子さんがいる家庭なら、それが嫌というほど分かりますよね。


今の世の中、給料頭打ちの閉塞感により、約6人に1人の子どもが貧困という現実。
子どもが夢と未来を見る権利を社会は奪っています。


そんな中、図書館は「良心」だと思うのです。
知的好奇心を望む人へ、平等に無料で与えてくれるのですから。
税金が図書館へ使われることに、あまり反発する人は少ないですよね(お子さんがいれば尚更)。


無料貸本屋と揶揄され、現場のみなさんは不愉快でしょう。
もともと本が好きな人が、本に囲まれた仕事を自ら望んで就いたのですから。


誇り高き仕事なのですから、胸をはってこれからも本が好きな人達へ夢を届けてください。


※※※


【図書館・読書 関連記事】


●「読書通帳とは?〜預金通帳のようなものに、借りた本の題名や日付が記録され、読書欲を向上させます
http://kanzaki.sub.jp/archives/003126.html

●「ブクブク交換」とは?〜テーマを決めてオススメの本を持参し、名刺を挟んだ本と本を交換するイベント
http://kanzaki.sub.jp/archives/003121.html

●ブックスタートとは?〜地元の図書館などが協力し、赤ちゃんと保護者が絵本を介して心ふれあう時間を持つきっかけをつくる活動
http://kanzaki.sub.jp/archives/003119.html

●「ブックトーク」とは?〜本のおいしいところだけを紹介
http://kanzaki.sub.jp/archives/003047.html

● 「山鬼文庫(さんきぶんこ)」〜金沢市にて、築100年の町家を改造した私設図書館がオープン
http://kanzaki.sub.jp/archives/003033.html

●大学生の読書離れを防げ!〜図書館と学生による「知的書評合戦ビブリオバトル」
http://kanzaki.sub.jp/archives/003016.html

●広島市まんが図書館〜全国で唯一の公立の漫画専門図書館
http://kanzaki.sub.jp/archives/003000.html

●まんのう町立図書館(香川県)〜図書館が端末ごと、電子書籍を貸し出しています
http://kanzaki.sub.jp/archives/002988.html

●飯能市立図書館(埼玉・はんのう)〜スマホで本を探すことのできる図書館
http://kanzaki.sub.jp/archives/002973.html

●「神田まちかど図書館」は学校図書館と区立図書館が一体化しています
http://kanzaki.sub.jp/archives/002941.html

●佐賀県武雄市の公立図書館「武雄市図書館」はTSUTAYAが運営〜1冊借りるとTポイントカードが3ポイント貯まります
http://kanzaki.sub.jp/archives/002899.html

●日比谷図書文化館では、カツ丼を食べながら読書が出来ます
http://kanzaki.sub.jp/archives/002878.html

●長野県布施町の図書館「まちとしょテラソ」〜会話や飲食がO.K。情報との出会い、人との出会いがある場所
http://kanzaki.sub.jp/archives/002869.html

●かわいそうな本展〜カッターで切り抜かれたアイドル雑誌やファッション誌、落書きのある絵本たち
http://kanzaki.sub.jp/archives/002569.html

●iPadで本を借りる図書館が本格化するかも
http://kanzaki.sub.jp/archives/002330.html

●『ブックシェアカフェ高円寺店』:ブックシェアカフェ(Book Share Cafe)とは?〜意味は、本を介して人をつなげる会員制マンガ喫茶(ネットカフェ)
http://kanzaki.sub.jp/archives/002216.html

●子の読書量は、親の読書量に比例する
http://kanzaki.sub.jp/archives/002130.html

Posted by kanzaki at 22:49
Old Topics