2016年10月14日

カシオの初代Gショックの企画書は、「落としても壊れない丈夫な時計」とテーマしか書かれていませんでした

mygshock01.JPG
(私のGショック。赤と黒の反転液晶。いろいろ持っていたのですが、現存するのはこれのみです)


カシオのGショックの生みの親は、同社の伊部菊雄さんです。
当時、薄型時計の設計担当者、現在は、羽村技術センターの時計事業部の主幹。


●G-SHOCK - CASIO
http://g-shock.jp/


・きっかけは、高校の入学祝いに買ってもらった愛用の腕時計を壊したことです。
会社で人とぶつかって床に落ちて、木っ端微塵。
しかし、腕時計は壊れるという当たり前のことに、不思議と感動。


・カシオは技術職の社員に、月に一度「新技術・新商品提案書」の提出を義務付けています。
上記の感動から逆転の発想をして、「落としても壊れない丈夫な時計」とだけ提出。
構造案も、実験スケジュール案も真っ白。
するとなぜか審査を通ってしまい、1981年6月から開発が始まりました。


・ゴムをデジタルウォッチの上下左右につければ大丈夫と甘くみていました。
時計の本体をゴムでカバーして、高さ10メートル3階のトイレ窓から放り投げてみたのですが、何度やっても中の時計は壊れました。
成功したのは、巻いたゴムの大きさが軟式野球のボール大になったころでした。


・落下の衝撃を5段階で吸収する構造にたどり着きました。
しかし、時計の心臓部であるモジュールの電子部品が一つだけ壊れる難題に直面しました。
いろいろ試したけれど結果が出ず、プレッシャーから精神的に追い詰められ退職を覚悟しました。


・小さな女の子の鞠つき(まりつき)を見て、ボールのなかに時計が浮いているイメージがひらめきました。
時計本体の内部で、モジュールが点接触で支えられている中空構造。
これで量産化のめどがたちました。
うれしさより、「これで嘘つきにならずにすんだ」という安心感のほうが大きかったそうです。


・後輩には、「提案はテーマ名で勝負しなさい」とアドバイス。
ポイントは、「25文字以内にまとめること」。
この字数内に収まれば、企画が研ぎ澄まされるから。


・特にキーコンセプトとなる5文字にこだわる。
初代Gショックは「壊れない」であり、ユーザーの心に突き刺さります。
その5文字の前に活用する自社独自の技術を、後に商品名を加えて「○○で□□な××」としたらパーフェクト。


(PRESIDENTより)


※※※


「落としても壊れない丈夫な時計」・・・すごくシンプルで、それでいてみんなが欲しがるコンセプトですね。
今では当たり前になったこの技術が、当時は斬新だったのですね。
後世にまで受け継がれるコンセプトは強いですよ。


「落としても壊れない丈夫な○○」は、どのジャンルでも便利な機能ですよね。
普段、持ち歩いているデジカメも、画質は二の次で、防水防塵耐衝撃仕様です。


大抵、「頑丈=重い」なのが玉にキズ。
tumiのカバンが最たるもの。
やはり、毎日使うなら、軽いほうがいいですよね。


最近、チプカシばっかり買っているけれど、たまにはGショックも買ってみようかなあなんて思いました。

Posted by kanzaki at 23:14
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