2017年04月23日

S・スマイルズ「自助論」〜自己啓発書の古典。この時期、新人向けの1冊

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新人向けの本として「自助論」をおすすめします。
S・スマイルズ「自助論」は、カーネギーの「道は開ける」と同様、自己啓発書の古典。


●スマイルズの世界的名著 自助論 知的生きかた文庫 _ サミュエル スマイルズ, Samuel Smiles, 竹内 均 _本 _ 通販 _ Amazon
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原書は「Self-Help(セルフヘルプ)」。
イギリスで出版されたのは、日本の江戸時代末期の1859年。
「西国立志編」と題して邦訳が出たのは12年後の明治4年。


「天はみずから助くる者を助く。
みずから助くということは、よく自主独立して他人の力によらざることなり。」


セルフヘルプ(自助、英: self-help)とは、専門家の助けを借りず、自身の問題を当事者で解決すること。


人生に成功をおさめる秘訣は、才能や運よりも地道な努力と克己心(こっきしん:自制心のこと)。


人生に対処する姿勢、逆境に際しての心の持ち方、実務能力の磨き方、時間管理のコツ、お金に対する態度、出会いと人間関係・・・。
いわゆる啓発書のほとんどすべてのテーマが論じられています。


翻訳した竹内 均さんは、解説にこう記しています。


「自助とは、勤勉に働いて、自分で自分の運命を切り拓くことである。
つまり他人や国に頼らないことである。
これを現代流にいえば自己実現ということになるであろう。
ただし私の理解では、自己実現とは、
(1)自分の好きなことをやって、
(2)十分に食うことができ、
(3)のみならずその結果が他人によって高く評価されることである」


どうやら、昔も今も、人生の本懐はこうらしい。
そのための基礎づくりが20代なのです。


この本には、フランスの博物学者ビュフォンが登場します。
頭が悪かったので、朝から勉強しようと一念発起。
しかし筋金入りの寝坊助。
召使があの手この手とコントのような試みで起こします。
やがて、規律正しい生活を身につけ、精力的に仕事をこなす人間に変身しました。


たかが早起きひとつにも、先人は涙ぐましい努力をしました。
「だから、できない」と言うか、「だから、なんとかしよう」と言うかの違いが、人生を大きく分ける分岐点となるのです。


自己実現を遂げたければ、自分できちんと将来図を描き、目標に向かって鋭意努力を続けること。
このわかりきった真理を、スマイルズは、これでもかとばかりに畳みかけてきます。


(本田有明さんの解説の要約)



アマゾンのレビューを見る限り高評価ではあるものの、押し付けがましいところがあるようです。
内容も、上記の繰り返し。


ならば、まずは自分がどうしたいのかを具体的に考える方が良いかもしれません。
そして、それを実現するための課題を整理し、粛々と実践する。
なにせ、そういうことをススメる本なのですから。


レビューに、仏教の「自灯明 ( じとうみょう 」) と本質は同じと書かれていました。
釈尊が入滅する前、弟子に示した最後の教えです。
釈尊の死が間近であったときに、師が亡くなったら、何に頼ればよいのかと嘆く弟子のアーナンダに対して諭したもの。


「他者に頼らず、自己を拠りどころとし、法を拠りどころとして生きなさい」と言いました。


「自灯明」の「自」が頭にあるのは、釈尊自らが説いた法ばかりを頼らず、まず「自分自身を拠り所にしなさい」ということです。


社会に出ると、職場には「先生」はいません。
課題解決をする際、他人に頼ってばかりもいられません。
上司が言っていることが正しいとも限りません(専任である、あなたの方が実務面では詳しいこともある)。


糸の切れた凧のような状態と思うこともあり、ゾッとします。
しかし、つながれていないからこそ、自分の意志で、いくらでも行動できるのです。


最初からうまくいく一握り。
失敗を多くできるのも若い人の特権。
どうぞ、いろんなことにチャレンジしてみてください。

Posted by kanzaki at 23:04
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