2021年01月13日

「『……と考えた』技法」とは〜マイナスの感情が発生した際にストレスを軽減する方法

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日々の生活の中で、発生してしまうマイナスの感情。
このマイナスの感情が発生した際に、ストレスを軽減する方法をご紹介します。


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●「『……と考えた』技法」をする


具体的なやり方


怒りや悲しみ、嫉妬などのマイナスの感情が芽ばえたら、意識的に「……と考えた」という言葉を最後につけ加えます。


やり方としては、これだけです。


・同僚に嫌なことを言われて腹が立った……と考えた。

・相手に言い過ぎてしまって落ち込んだ……と考えた。

・仕事が全然終わらなくてイライラしている……と考えた。

・私の言うことがまったく伝わらず悲しい……と考えた。

という感じです。


みなさんは、「メタ認知」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。


「自分が感じていること」そのものは認知ですが、「自分は今、こんなふうに感じている」と客観的に認知することを、心理学では「メタ認知」といいます。


この「メタ認知」ができれば、それだけで感情が収まっていきますし、少なくともその感情に振り回されなくなります。
無理矢理でも、強引でも何でもいいので、とにかく「……と考えた」という言葉をつけ加えてしまう。


私はこれを「『……と考えた』技法」と呼んでいるのですが、なかなか効果的なので、ぜひ実践してみてください。


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たとえば、「仕事が全然終わらなくてイライラしている」という状況のとき、「怒りたくない」「イライラしたくない」「そんな自分は嫌だ」と評価し、打ち消そうとすると、マイナス感情はよけいに大きくなっていきます。
心理学では、これを「思考抑制の逆説的効果」といいます。


その点、「『……と考えた』技法」がいいのは、「評価しない」というのはもちろん、「とりあえず肯定してあげる」というニュアンスを含んでいるところです。


「仕事が全然終わらなくてイライラしている……と考えた」というときには、ぜひ「仕事が全然終わらないんだから、イライラするのもしかたないよね」という気持ちを持っていただきたいのです。


「とりあえず肯定する」とは、そういうことです。


「友だちに言い過ぎた」という状況になってしまったのなら、「いろいろ後悔して、落ち込んじゃうのもしかたないよね」。
まさに、「アウェアネス」(気づき)と「アクセプタンス」(受容)です。


こうやって自分の心を受容してあげることができたとき、初めてそのマイナス感情を手放すことができるようになるのです。


とはいえ、最初から「手放そう」なんて意識は持たなくていいので、まずは「……と考えた」という言葉をつけ加えて、「○○なんだから、腹が立つ(嫌になる)のもしかたないよね」と自分の感情を受容し、肯定してあげてください。
それだけでも、ストレスはぐっと軽減するものです。


(『「精神科医の禅僧」が教える 心と身体の正しい休め方』(川野泰周 著)より)


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割と昔から西洋の書籍にて、感情を「受け入れる」「手放す」ということが書かれていました。
けれど、日本人に合ったやり方が、いま一つ説明されていませんでした。


「『……と考えた』技法」という技法は、やり方がとても簡単ですね。


問題は、マイナスの感情、ネガティブな感情というものが出た際、冷静に『……と考えた』と付け加えることができるかどうか。


これはおそらく、毎日使っていくしかないのでしょうね。
マイナスの感情だけでだなく、冷静になっている時にも、意識的に使ってみると良いのかなと。


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精神的に立派だなあと思う方に、元メジャーリーガーの松井秀喜をあげたいです。


松井選手だって人間です。
現役時、バットをへし折ったり、ベンチを蹴っ飛したくなる事もあったそうです。
しかし、それを表には出しません。


「腹が立ったり、不満が出てきたりするのは、仕方がありません。
思ってしまうのだから、自分にも止められない。
でも、口に出すか出さないかは、自分で決められます。
そこに一線を画した方が、自分をコントロールできるような気がします」


「悔しさは胸にしまっておきます。
そうしないと、次も失敗する可能性が高くなってしまうからです。
コントロールできない過去よりも、変えていける未来にかけます」


自分の運命を変えるため、まず心を変える。
松井選手の考え・生き方には、学生時代の恩師の言葉が根底にあります。


以前、それについて書いたので、下記をご参照ください。


●松井秀喜選手が恩師・山下智茂監督から授かった言葉〜心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる。

Posted by kanzaki at 06:40
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