2021年05月16日

映画『くれなずめ』の感想〜「思い出に幕をおろす」迄の今までとこれからの間の「暮れなずむ」時間を描いた作品。スクールカーストの下にいた私には、とっても共感できる男性キャラばかりで好き

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●映画『くれなずめ』オフィシャルサイト 2021年5/12公開
https://kurenazume.com/



成田凌、若葉竜也ら出演『くれなずめ』予告編 ウルフルズの主題歌も!



成田凌、高良健吾、若葉竜也ら『くれなずめ』キャスト&監督が集結!公開記念舞台あいさつ【トークノーカット】


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・「暮れなずむ」は、日が暮れかかってから真っ暗になるまでの時間が長いことを表します。


・本作「くれなずめ」は、友人5人が、死んで何年も経った主人公(俳優・成田凌さん)との「思い出に幕をおろす」までの物語です。


・「思い出に幕をおろす」までの、今までとこれからの間の「暮れなずむ」時間を結婚式の披露宴と2次会の間で描いています。


・出演陣は、カメオ出演陣も含めて、テレビや映画でおなじみの面々。
これだけ揃えられたのは、監督の人望なのかなあと思いました。


・浜野健太さんと内田理央さんが夫婦役なのですが、仮面ライダードライブで共演していましたよね。
そういう意味では、キョウリュウジャーに出ていた飯豊まりえさんも出ていてうれしい。
特撮ファン的にうれしい。


・単館邦画作品好き&朝ドラ「おちょやん」好きならば、「成田凌×若葉竜也のコンビ作品は何度目だよ!」とニヤニヤしながら観てしまうでしょう。
(しかも、「おちょやん」好きなら、主題歌をテルヲが歌っているよと突っ込みもできます)
作品によって、成田凌さんと若葉竜也さんは、違うキャラを演じられるのが素敵ですね。
特に最近、若葉竜也さんが気に入っております。
イケメンなのに、たまに声が弱弱しく裏返るのが好き。
「街の上で」では弱弱しい系キャラなのに、本作はガツガツ系キャラです(ただし、ガツガツだけれど強くないのがいい)。


●若葉竜也さん主演映画「街の上で」の感想〜東京だけれど「ご当地映画」としてうまく下北沢を表現した作品です
http://kanzaki.sub.jp/archives/004828.html


若葉竜也、今泉力哉監督と作り上げた初主演作に自信!映画『街の上で』インタビュー


・この作品、ほぼ恋愛とか無関係の内容です。
それゆえ、女性キャラも少ないし出演時間も少ないです。
そんな中、前田敦子さんのキャラが光っていました。
「あ〜いるわ」という、結構、ヒステリック毒舌キャラ。
けれど、主要男性キャラに強キャラがいないから、アクセントにとても良かったです。
前田さんファンは観て価値あるかも。


・役者にパラメーターを全振りしており、その分、舞台となる場所にはお金をかけていません。
ほとんど、どこかの名も知らぬ道端ばかり。
どこかもよく分からない場所を主要陣が転々としながら、会話だけで話しが進むスタイルです。
あまり、それぞれの場所に意味はありません。


・「なんだか舞台の芝居っぽいよなあ」と思ったら、監督の松居大悟さんが劇団の主宰でした。
基本、役者と役者の会話劇です。
基本、立ち話。


・主人公たち6人は、学生時代の仲間です。
スクールカーストの真ん中より下。
目立つグループじゃない方です。
何かに秀でているわけでもないし、目立つ行動をするわけでもない。
リア充なカーストトップには分からない生き方。
しかし、私がまさにそんな学生時代だったので、主人公たちの学生時代の行動がよく分かります。
また、社会人になってから再会した時の、互いに見せる表情や会話が、劇中でリアルに再現しているなあと思いました。
男って再会してもマウントを取らないで、むしろ現状を隠すよね。


・男って基本、中学2年生から思考が止まっています。
あとは、自分が生きる場所や役割が変わっていくだけ。
途中、いくつもの「あきらめ」と「妥協」を繰り返します。
人生の折々で「選択」というものがありますが、スクールカーストの上位にいた人以外は、「選択」というより「あきらめ」と「妥協」の方が多いです。
私がまさにそうですよ。
劇中のキャラに共感できるのは、そういうところなのかもしれません。


・この映画のメイン6人の生き方は、積極的ではありません。
少なくとも、ドラマや映画の原作になるような生き方ではない。
人生を「選択」するという力強さなんてありません。
だから、5年前の「仲間の死」に対してもモヤモヤしたまま。
そんな感情が、死んだ仲間を実体化させてしまったのかも。
最後には、きちんとみんなで「選択」ができたのが良かったです。


・のんびり気ままに鑑賞出来て良かったですよ。
主人公が死んでいるのに、なぜか実体化して現世にいることに対し、誰も不思議がらない・怖がらないのがいいです。
そういう、ゆるい世界が好き。


・惜しむなら、「死んだ主人公が実体化している理由」と「その実体化が消滅するための確定条件」が、今一つよく分かりませんでした。
5年前、主人公が東京でみんなと分かれて仙台へ帰る最中、もし交通事故で死ぬならば、「その時に東京に引き止めていれば助かったのに」と悔やんで、「あの時のことをやり直したい・けじめをつけたい」とつなげられます。
しかし主人公は、仙台に帰ってからしばらく経って病気で死んでいるので、ラストの展開の意味が、ちょっと薄れているように感じました。
まあ、そういうったことも、主人公たちのキャラの良さのおかげで、どうでも良いのかもしれません。

Posted by kanzaki at 12:04
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