2021年10月13日

「安閑無事」〜淡々として安らか平穏な状態こそが幸せなのかも

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●『寂しさや不安を癒す 人生のくすり箱 (中経出版)』(枡野 俊明 著)より


ある小春日和の日。


境内を歩いていると、お墓参りにこられたご老人に出会いました。
境内のベンチに腰かけ、ゆったりと世間話をしました。
私はまったく無意識に、ご老人に聞きました。


「幸せって、何なのでしょうね」と。


いつもなら私がされる質問です。
私はふと、それを聞いてみたくなったのでしょう。


ご老人は私のほうを向き、ニッコリとほほ笑んで答えました。


「さあ、そんなことを考えたこともあったかな。
でも、もう忘れてしまいました」


「幸せ」とは何か。
誰もが考えることです。
しかし、その答えを見つけた人はいません。


もし見つけたとしても、その幸せはすぐに風のように去っていく。
そしてまた「幸せ」を探し始める。その繰り返しの中で人間は生きている。
そのご老人はきっと、そう言いたかったのだと思います。


※※※


幸せの基準として、大きな変化や刺激を強く求めるのは、あまり好ましくないようにも思うのです。
どんどんエスカレートしていく一方で、いずれ爆発しますから。
そういう人達とは、距離を置くようにしています。


「安閑無事」という禅語のとおり、淡々として安らか平穏な状態こそが理想なのかなと。


誰かと比較せず、焦りと嫉妬で辛い思いを自らに課すことなく、静かに生きたいものです。
Posted by kanzaki at 06:41
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