2021年10月19日

自分にとって必要な本の選び方〜大きい書店でブックアドバイザーに相談する

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●『人たらしの流儀』(佐藤優 著)より


――自分にとって必要な本の選び方はどうすればいいのでしょうか?


まずは大きい書店に行くことです。
具体的に申しますと、東京ならば丸善、八重洲ブックセンター、ジュンク堂書店、さらに、三省堂書店に紀伊國屋書店、ブックファーストなどです。


それで、そこの専門分野を受け持つ書店員(ブックアドバイザー)を最大限に利用するのです。
本をよく知っている、詳しいのは大学の先生ではなく、書店員なんです。


書店員は何が売れるか? ということに関心があります。
そして、自分の受け持っている本棚に関して、それはものすごい知識があるのです。
自分は、あるいは対話の相手は、どんな分野に興味・関心があるのか?
それをはっきりさせたら、その分野が並んでいる棚に行って、その棚の担当の書店員と相談するのです。
そして、「○○問題に関心があります。お薦めの本は何でしょうか?」と訊ねるのです。




重要なコツは、入門書のような、基本書となる書籍を三ないし五冊、紹介してもらうことです。


――なぜ三ないし五冊なんですか?


奇数で買うのは、著者の見解、主張が分かれているときに自分で判断しなくていいからです。
三冊買うと、二冊賛成、一冊反対ならば、その二冊の説を取るのです。


――なるほど。その三冊の内訳を具体的に……。


書店員が一番いいという本と、二番目にいいという本。
それから、その分野で、いま一番売れている本。
この三冊を買います。


――なるほど、売れている本が「いい本」とは限りませんしね。書店には、どのくらいのペースで通えばいいのでしょうか?


週二回書店に行ける人は、相当、時間的な余裕がある人ですね。
第一線のビジネス・パーソンには、それだけの時間を捻出するのは厳しいでしょう。
十日に一回、月に三回程度ではないでしょうか。


そもそも、書店の平積みのノンフィクション、実用系書籍は、十日間で売れなかったものは、移動か、返品されてしまいます。


――だから、十日に一回、書店に足を運ぶ。


いい本は書店員が棚差しにして残しますからね。
大規模書店では書店員の作為が働いているのです。
書店員が、ひどいと思った本は売れないし、その本は、棚差しにも残されないはずです。


――棚に残る本と残らない本。運命の分かれ道ですねー。話題の引き出しづくりにつながる本というのは、図書館よりも、いま売れている本の中から探せと?


そうです。いま流通していない本は、存在していないに限りなく等しいのです。
膨大な数の本が日々刊行されます。
本探し、本選びに慣れていない人は我流で探さないほうがいいと思います。


――永遠に「いい本」に出合えなくなる。


そう思います。また、いい本は、見た目でもある程度、見分けられますよ。 


――ベストセラーに『人は見た目が9割』なんて本がありましたが、本は何割なんでしょう?


さあ、それは、どうかなー(笑)。
私の経験では7割ぐらいだと思います。
まず、本を見る時は、丁寧に作ってあるかどうかを見ます。
装丁、タイトルがいい加減なのは、中身もいい加減に決まっています。


とくにカバーに誤字、誤植があったり、帯の文が変だったりしたら、そんな本はハナからやめたほうがいいですね。


※※※※※


きっと著者は、自宅の書棚が本でぎっしりなのでしょうね。
執筆業ですしね。


買った本に当たりはずれもあるでしょうし、速読だけして精読せずに読み終わることもあるでしょう。


本をたくさん読む人は、アタリの本に100%めぐり合うことを期待せず、どんどん本を購入し、その中からアタリを抜き出す。
1冊丸々がアタリというより、書かれている数行にアタリを見出すこともあるんじゃないでしょうかね。


今、どれぐらいの人が本を1か月何冊のペースで読んでいるのでしょうか?
とあるアンケートによると、社会人の読書量の平均は2.2冊。
あくまで平均。
4割ぐらいの人は1か月に1冊も読みません。


4冊以上読んでいる人は読書家みたい。
それぐらい読まないと、なかなかアタリには巡り合いにくいように思います。
確実にアタリを引きたいなら、本屋でブックアドバイザーに相談するのは良い手ですね。
Posted by kanzaki at 07:00
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