家族や身近な人に「ありがとう」「ごめんなさい」を言う勇気とプライドを持つこと
●『特殊清掃 死体と向き合った男の20年の記録』(特掃隊長 著)より
あるときタクシーに乗ったら、運転手さんと葬式の話になった。
「じつは同僚が死にまして」と運転手さんがいう。
「うちは浄土真宗だけど、同僚のところは真言宗、珍しいから葬式の一部始終を見てたんですけどね」。
葬儀が終わったら、たまたまお坊さんが近くを通った。
「だから、思い切って訊いてみたんですよ」という。
なにを訊いたのか。
「死んだら、どうなるんですかね」。
「そうしたら、坊さんがこっちをキッと睨んで」、なんといったか。
「死んだら、おしめえよ」。
「ありゃ、できた坊主だね」。
そのていどでいいんじゃないのかなあ。
私はそう思う。
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臨終間際や相手が死んでしまってから気づいたのでは手遅れ。
やはり、お互いに生きているうちに、分かち合いたいもの。
だから、勧めたい。
家族や身近な人に「ありがとう」「ごめんなさい」を言う勇気とプライドを持つことを。
小さなことにもそう思える、謙虚な感受性を育むことを。
愛する家族も仲のいい友人も、そして、自分自身も当り前に存在しているのではない。
縁起でもないことを言うようだけど、次に会える保証はどこにもない。
だから、伝えるべきことは後回しにしないで、今、伝えた方がいいのではないだろうか。
人の幸福は、そんなところから生まれるものだと思うから。
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人は、たった一言で傷つきます。
そして人は、たった一言で救われることもあります。
できれば、良い言葉を伝えたいし、聞きたいものです。
時と場合によっては、なかなか勇気が必要ですけれどね。
日々を穏やかに過ごすというのは、防御の為に口をつむぐことではないと思います。
むしろ口を開いて、相手との交流を深めることでしょう。
怖いと思う事もありますが、そこからが幸せの一歩です。
Posted by kanzaki at
06:57