●『別冊NHK100分de名著 読書の学校 出口治明 特別授業『西遊記』』(出口 治明 著)より
カルヴァンは「予定説」で、人間は生まれたときから天国に行くか地獄に行くかを神さまによって既に決められているという考え方を示しました。
すると、教会でどれだけお布施を積んだとしても、神さまがはじめから決めているのですから、全く意味がないということになります。
生まれる前から神さまが決めているのなら、自分がやりたいように生きればいいし、悪いことをしてもどうってことはない、という考えに陥りそうです。
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ところが実際はそうはなりませんでした。
カルヴァン派の人々は、「神さまは私がもう天国に行くことを決めているに違いないから、神さまの期待に応えるよう一所懸命に勉強して立派な人にならなければならない。さらに頑張らなくてはいけない」と考えたのです。
これが、マックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』という名著につながっていきます。
「神に選ばれた」という自覚を持つ人たちが一所懸命働いて近代社会を築いてきたというのです。
つまり、運や偶然を認めた上で、チャンスが訪れたときに頑張れるために、十分事前の準備をしておこうと考えて、人間は生きてきたのです。
マックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』は、そういう考え方を記した本です。
まだ中学生のみなさんには難しいかもしれませんが、ぜひいつかは読んでみてください。
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【コメント】
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で彼が特に強調するのは、二重予定説という「恐るべき教説」の心理的影響。
これがために、信徒は、「救いの確かさ」の確証を、神から課せられた「使命」(ベルーフ)としての世俗内職業労働への専心のうちに自ら求め、非合理的衝動や欲求を厳しく自己統制し、生活を徹底して合理化するに至った(現世内禁欲)。
これが経営および労働の組織的合理化をもたらしたというのである。
・・・使命を感じ、日々ストイックに生きることが、この現代社会を作り上げる基礎になったようです。
確かに人間、普通は自堕落になりますよね。
それを禁欲的労働という考え一つでガラリと変わってしまいます。
この論文によると、禁欲的労働によって蓄えられた金は、消費によって浪費されることなく貯蓄されるそうです。
私もあまりお金は使わない(そもそも収入が少ない)のですが、ある意味、禁欲生活です。
今の時代、そうやって自分を守るしかありません。
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