●『わたしのマトカ』(片桐はいり 著)より
台湾では、乗り物を乗りこなすために小さいメモ帳を買った。
あらかじめその紙に、行きたい場所の地名と、そこについたら教えてください、という北京語を漢字で書いておき、バスなどに乗る時に定期のように提示した。
その場所に行かないバスならば、乗るな、と言われるし、行くバスなら運転手さんのそばに座っていれば、目的地についたら合図をしてもらえる。
混んでいる時などは、地図を開いて必死に停留所の数を数えた。
何番目で降りる、ということさえわかれば、なんとか目的地にたどりつくことができる。
たまにバスが停留所を飛ばしたりすると、大あわてだった。
でもわたしとしては、迷えば迷うほど心ときめくのである。
地図を見る範囲が広がる。予想外の町を知ることができる。
なによりとてもスリルだ。
目的地につかなければ、また別のプランを考えれば良い。
今までにもそうやって、偶然に発見したすてきな場所がたくさんあったから。
同行の友人は、そんなわたしの方針を嫌って、途中から別行動をすることになった。
旅をともにする人を選ぶのは難しい。
それ以来、小さな冒険はひとりで楽しむことにしている。
人にはおのおのの、町とのつきあい方がある。
※※※
【コメント】
私の住むこんな田舎でも、コロナ感染者が激増しています。
遠出どころか、ちょっとした外出すら躊躇する状態です。
他県もそうなのでしょうか?
早朝から、子供たちが外でラジオ体操をしていました(2日間だけですが)。
その音が外から聞こえるだけで「夏休み感」がありますね。
夏休みといえば旅行やらレジャーを連想したものですが、ここ数年のコロナ禍で、そういう感覚も薄れ気味です。
せめて、お盆休みぐらい「小さな旅」をしてみたいものです。
オープンしたばかりのパン屋さん情報を聞き、地図で調べて自転車で訪れてみる。
実際に買って、食べて満足してみる。
そういうので、良いのですよ。
私の「小さな旅」って。
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