2022年08月25日

自分につながれた様々な鎖を上手に外していくこと

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●『ひとり、家で穏やかに死ぬ方法』(川越厚 著)より


※在宅医療を専門に行っている先生が書いた本です。


病気になると、鎖の向こうには点滴瓶、心電計、呼吸器、抗がん剤、蓄尿バッグなど、普段の生活には見られないものがあります。


生きとし生けるもの、いずれ時が来ればお迎えを受けることになります。
そのお迎えを受ける準備とは犲分につながれた様々な鎖を上手に外していくこと瓩世塙佑┐討い泙后


これらの鎖をつけたままお迎えを受けようとすれば、人はこの世からうまく離れることができません。


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(病で長くない独り身の人が、主治医に話した言葉)
「今日、これまで書き溜めた絵を処分しました。
家具も整理し、絵も捨て、寂しくなって一日中ひとりで泣いていました」


彼女のこのつらい告白を聞きながら、私は人間につながれた様々な鎖について思いを馳せました。


考えてみると、私たちは実に多くの鎖につながれた生活を送っています。
その鎖の向こうにあるものは家族、知人、友人や恋人、やりかけている仕事、懐かしい思い出をぎっしりと詰めた過去、お金、地位、身分など枚挙に暇がありません。


これらの鎖は例外なく、狎犬ていくために必要なもの瓩鉢犹笋燭銑瓩魴襪鵑任い泙后


その鎖を自らにつなぐことによって、人は安心感、希望、誇り、幸福感、充実感、愛情などを得ることができます。


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いわゆるスピリチュアルな痛みを彼女は経験していました。
様子を拝見していてそのことがわかったので、私はいつもカバンにしまって持ち歩いている「ホイヴェルス師の祈り」を取り出し、友恵さんと集まっていた妹さんたちのために、それを朗読することにしました。
この祈りの詩の中に、私の好きな一節があります。


老いの重荷は神の賜物
古びた心に自分で最後の磨きをかける
まことの故郷へ行くために
おのれをこの世につなぐ鎖を
少しずつはずしていくのは
真にえらい仕事
(ヘルマン・ホイヴェルス著『人生の秋に』春秋社刊、76ページより)


ホイヴェルス師が、老いて死を間近に控えた時に行わなければならないこととして「自分とこの世をつなぐ鎖を外すこと」と詠っている箇所です。
がんで亡くなる方に関わるとき、私はいつもこの「鎖を外す」ということを意識しています。


※※※


【コメント】


気付いたら随分と長く生きてこれました。
まだこの先もありますが、周りでは親御さんが亡くなったとか、私と同年代の旦那さんが亡くなったとか、そういう話しを聞くようになってきました。


人生の終わりが見えてきた際、この「鎖を外す」という行為の必要性についてはじめて知りました。


最近、ミニマリストなんて言葉もありますが、この「鎖を外す」という行為と関係があるかもしれませんね。


私自身、同年代の人に比べたら、「持っているモノ」や「いろんな関係性」は少ない方です。
けれど、これからの人生を考えたら、まだ多い方なのかなあ。


いきなり高齢になってからでは「鎖を外す」は難しいです。
少しずつ、外していきたいと思います。

Posted by kanzaki at 06:51
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