●映画『かがみの孤城』公式サイト
https://movies.shochiku.co.jp/kagaminokojo/
監督:原恵一
原作:辻村深月
声:當真あみ、北村匠海、芦田愛菜、宮崎あおい
【あらすじ】
中学生のこころは学校に居場所をなくし、部屋に閉じこもる日々を送っていた。
そんなある日、部屋の鏡が突如として光を放ち始める。
鏡の中に吸い込まれるように入っていくと、そこにはおとぎ話に出てくる城のような建物と、6人の見知らぬ中学生がいた。
そこへ狼のお面をかぶった少女「オオカミさま」が姿を現し、ここにいる7人は選ばれた存在であること、そして城のどこかに秘密の鍵が1つだけ隠されており、見つけた者はどんな願いでもかなえてもらえると話す。
映画『かがみの孤城』予告編
※※※
【感想】
今年最後の映画鑑賞。
ラストがこの作品で本当に良かったです。
これは、毎日学校で辛い思いをしている(戦っている)子供たちに観てもらいたいですよ。
客席は、小学校高学年〜中学生の女の子と、そのお母さんとで鑑賞している姿を多く見かけました。
「すずめの戸締り」ではなく、こちらを親子で鑑賞するというのは、おそらく自分たちと作品に何かしら重なるものがあると感じたからではないでしょうか。
なんていうか、子供達に「覚悟」がいる作品(そして鑑賞後に「救い」がある作品)。
この作品は、小学校や中学校で上映会してもらいたいと思いましたよ。
キャラクターのデザイン等が幼くて癖が無い感じだし、そういう意図もあるのじゃないかなと。
子供たち、親御さん、先生それぞれが、自分の立場と照らし合わせて真剣に鑑賞できる作品です。
「すずめの戸締り」と同時期の公開ゆえ、地味な扱いになっているように思います。
確かに、エンタメ要素は少ないし、派手な演出もない。
学校でいじめ等、人間関係に悩んでいる子供には辛い部分も描かれています。
けれどね、そういう現実に辛い思いをしている子供たちに、とても救いになる作品なのです。
そして、それは子供だけじゃなく、会社で辛い思いをしている大人にも突き刺さる内容なのです。
観る人が、劇中のキャラクターと自分を重ねて、勇気をもらえる作品って少なくなりました。
大抵は、異世界でチート性能の主人公が暴れる感じの作品ばかり。
(ここでいう異世界は、ファンタジー世界だけではなく、刑事・医者・弁護士等の特別な世界も含んでいます)
きっとそれは、現実社会での辛さから逃避するためなんじゃないかなと。
だからこそ本作品のように、学校に居場所が無くて辛い思いをしている子供たちが、それでも前進しようとしている姿に好感が持てます。
客席にて、女の子とその母親を多く見かけたと書きました。
そう。
作品内でも、子供と母親(大人の女性)の絆が重要になっています。
この作品では、父親の存在感はあまりなく、母親との絆を描いていました。
フリースクールにて、子供たちを相手に親身になってくれる先生も女性。
劇中、大人の男性は、存在感がないか、とんでもない馬鹿野郎です。
※
限られた時間内で描かなければいけないので、城に集められた中学生7人全員をしっかり描くのは難しかったように思いました。
尺のせいで、肝心の主人公"こころ"とサッカー少年"リオン"との交流シーンが少なかったです。
設定上7人が必要なのはわかりますが、尺から考えれば4人が上限。
女の子3人はかなり辛い現実をしっかり描いているので、女の子3人とリオンだけで良かったように思います。
※
令和という時代は、本当に厳しいです。
大人ですらそう思っているのですから、子供はもっと大変です。
子供達には、この世の中には学校以外にもたくさんの居場所があることを知ってもらいたいです。
そう思わせる作品でした。
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