2023年04月23日

映画『ヴィレッジ』の感想〜映像の雰囲気は最高。ミステリー部分は雑

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●映画『ヴィレッジ』公式サイト
https://village-movie.jp/

監督.脚本:藤井道人
出演:横浜流星、黒木華、中村獅童、古田新太

【あらすじ】

映画『ヴィレッジ』は、日本人の「村」、自然美しくも、閉ざされた世界を舞台に、現代社会の闇を投影したサスペンス・エンタテインメント。

過去のある事件により“血縁”“地縁”で村にとどめ置かれ、憎むべき相手の下、ゴミ処理施設で不法な労働に手を染めていく主人公・片山優を中心に物語は展開される。

行き場のない苦悩、落胆、そして怒り。
そんな中、片山はあるきっかけで“覚醒”していき...村は予想外の事態を迎える。
同調圧力、格差社会、貧困。現代社会が抱える多くの問題の、きれいごとではない本質を投影し、そこに生きる人間たちのリアルに迫る。

美しい村の風景と神秘的な「薪能(たきぎのう)」の儀式、そして大自然を切り裂いてそびえたつ巨大なゴミの最終処分場。
「伝統」と「実利」の間で揺れ動く人々の姿を、圧倒的映像美と世界観によってミステリアスに描き出している。

2023年製作/120分


映画『ヴィレッジ』本予告

※※※※※

【感想】

日曜朝一番の上映回を鑑賞しました。
三分の二以上、席が埋まっていました。
年齢層は幅広いです。
かなりの人がエンドロール前に帰ってしまいました。
あの後にも、映像があったのに・・・。


閉鎖的な「村」を舞台にしたダークヒーロー的なものを期待していました。
ダークヒーローというより、ボタンの掛け違い、誤った操作で回り始めた歯車。
巻き込まれ型主人公のバッドエンドルート。
あの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」的な感じかな。
けれど案外、全体としてはあっさりしているという。


横浜流星さんは、村の悪い部分を解決してヒーローになってほしかったなあと。
その役割は、はからずもヒロインの弟(知的障がい者?)がしていましたが、あの立場こそ本当は横浜流星さんなのかなあと。


主人公が主人公らしくないです。
正義感があるわけでもないし、なにかを改革しようという感じでもない。
ちょっと状況がよくなって調子こいていたら、また悪い状況になって犯罪を犯す。
横浜流星さんが好感を持てる俳優さんだから、まだ最後まで観られたけれど、他の俳優さんだったら不快感によって、途中で劇場を去ったかも。


主人公にとって最悪な展開も、集落独特の閉鎖感を利用して、すべての犯罪を村人全員でもみ消して終わるのかと思ってましたよ。
そうじゃないと主人公とヒロインが報われないからです。


案外、村人の結束力とかそういう部分は無かったですね。
映画「イチケイのカラス」みたいに、村独特の事情があるから村民が全員で結束して過ちを起こす、そのことは部外秘みたいなものはありません。
今回は、古田新太さん演じる悪い村長の周辺だけが潤っている感じ。


●映画『イチケイのカラス』の感想〜フジテレビのドラマの映画化なのに面白い
http://kanzaki.sub.jp/archives/005342.html


それと、犯罪方法が雑に感じました。
ミステリーとしては、TV版「名探偵コナン」の脚本にも採用されないかなと。


なんで主人公は、殺した相手のスマホを回収しなかったのだろうかと。
そもそも、殺した相手は、本作ヒロインのエロ動画を撮影するためにスマホをテーブルに置いていたのだから、わざわざ死体と一緒に埋める理由はないかなと。


殺した相手のスマホの写真・動画が、事件解決に結びつきます。
今のスマホって設定すれば、写真・動画は、ユーザーアカウントに紐づけされたクラウドにもあります。
通信会社やGoogle(殺された男のスマホはiPhoneじゃなかったと思う)とかに協力要請すれば、行方不明の時点で、写真・動画・位置情報含めてあっさり分かったのでは?


また、殺された男は、ヒロインの自宅で殺されましたが、そこまでクルマで来ていると思うのです。
あんな移動手段が不便な田舎ですからね。
そのクルマって、そのあと、どこに処分したのだろうか?
なにも語られていません。


最初の方、主人公が産廃処分場にある謎の小さな穴に耳をあてて、なにか聞いていたけれど、あれって話しに関係あったのだろうか?


村長のお母さんである長老は、意識はあるけれど全身がガンで何も動けない。
ものすごく思わせぶりな演出をしていたのに、ストーリー展開に全く生かされていなかったのが残念です。
あのおばあちゃんこそ、村独特の雰囲気・象徴でもあったので、ストーリー・犯罪に絡めて欲しかったなあ。


映像の雰囲気はとても良かったです。
昔からある日本の建物、自然、能という芸能。
あの映像描写は良かったです。
だからこそ、とても勿体ないなあと思いました。

Posted by kanzaki at 21:11
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