2023年07月12日

「ラララ」と口ずさむ心の余裕

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●『超老人の壁』(養老 猛司, 南 伸坊 著)より

養老 
そうそう、このまえ僕よりも年上の谷川俊太郎さんに会ったんだけど、あの、面白かったの、「鉄腕アトム」ね、歌詞、谷川さんでしょ?

南  
あ、そうなんですか。

養老 
そうなんですよ。
歌詞の中に、「ラララ」ってあるじゃないですか。
「谷川さん、あのラララって、あれ、何ですか?」って聞いたら、いや、あれはね、曲が先にあって後から詞を付けたんだよ。
そしたらね、字余りになっちゃって、字余りっていうか曲余りになっちゃうので、そこをラララにしたって(笑)。

南  
ああ、そうなんですか。


養老 
当時は珍しかったんだって。
曲が先にあって、歌詞を後から作るのは。

※※※

【コメント】

その曲が使われた鉄腕アトムは、さすがにリアルタイムでは観ていません。
けれどその後のリメイクかなにかで観たからでしょうか、記憶にあります。


言葉が不足したらから「ラララ」を加えたとは!
プロでもそういう緩い部分があるのだと思いつつも、プロだからこそ、そういうさり気なく、そして誰もが当たり前に受け入れられる言葉を加えることが出来てしまうのでしょうね。


曲が先にあって、後から詞を付ける。
なんだか人の人生もそんな感じですよね。


自分の意思で生まれたのではないけれど、この世に出てきた。
そして、その時代・国・地域のルールに沿って生活し成長していく。


親に育てられた時間だけではなく、社会人になって自活できるようになってもそう。
やはり社会の規範や人間同士の関係の中、そのレールの上を走っていきます。


そうは言っても人生、アトムの歌のように、曲に対し文字が足りないこともあります。
心と、社会での自分の立ち位置に、少しズレが出てしまう。
若しくは、社会での立ち位置に、自分の心が少し追いつかない。
1年単位みたいな長くはなくても、それこそ1日単位、数時間単位で。


そんな時は焦るよりも、「ラララ」と口ずさむ心の余裕が欲しいものですよね。

Posted by kanzaki at 06:54
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