●『図で考える人は仕事ができる (ディスカヴァーebook選書)』(久恒啓一 著)より
「(難しい書籍を他者へ解説・講義する際、)自分にわかったこと、わからないことを、きちんと書いてあげれば、十分解説になるのではないか」といったスタンスで取り組んでいます。
そして、その仕掛けとは「図解」なのです。
まず、読むべき文章と一緒に、A4サイズの紙を用意します。
それと書きやすいペンと、蛍光色などのマーカーをそろえます。
道具立てはこんなところです。
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手順ですが、初めにマーカーを片手に文章を一度読み通してみます。
あくまで自然なスピードで読み進み、ポイントと思える個所、重要と思う部分、面白い表現などがあれば、印をつけていきます。
もちろんわからないところも出てきますが、そういった場所にも印をつけておき、とりあえず全体像をつかむために読んでみます。
いったん最後まで読み通したら、印をつけたところをヒントに、おおまかに内容全体を図にする努力をしてみます。
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特に決まった方法があるわけではなく、先ほどマーキングしたキーワードをA4の紙に書き出し、マル印で囲み、他のキーワードとの間に線や矢印を引いたりしながら、
「これとこれはどういう関係かな?」
「これが展開していくと、そうか、こっちと結びついていくのか」
などと考えながら、図にしていくわけです。
いわばラフなデッサンとして、とにかく頭のなかを整理してみるつもりで図解を描いてみます。
私はこれを「仮図解」と呼んでいます。
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この仮図解を見ながら、もう一度文章に戻り、最初の読書ではわからなかった部分、もっと詳しく知りたい部分を意識して読んでいきます。
そして、新しく発見したキーワードや、気づいた関係をさらに仮図解のなかに書き込んでいきます。
その後、この仮図解に追加した情報も含めて、あらためてすっきりとした形に描き直してみます。
仮図解のときには混沌としていても、この段階で全体に整合性がとれていれば、図解はバランスのよい、安定した形をとり始めます。
すると、頭のなかがだいぶ整理されて、文章の内容が自分のものとして把握できた気持ちになってくるでしょう。
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もとの文章には書かれていなかった新たな関係を発見し、感動を覚えることもあります。
そして雑誌などで解説する場合は、こうして完成した図解にそって素直に文章を書いてしまえばいいわけです。
図解を見ながら書いていると、高い見晴台に立って全体を見渡しているようで、本質的な粗筋もよく把握できていますから、自分自身でも強い納得感があり、不安を感じることがありません。
図解のなかで納得のいかない部分があるとすれば、それは「何がわからないかが、わかる」ということになります。
私は、この図解しながら文章を読む読解法を「図読」と呼んでいるのですが、分厚い経済白書や大部の論文でも、新聞の社説や数ページ程度の論文やエッセイと同様に読みこなしてしまうことができます。
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【コメント】
見知らぬ町で道に迷った際、地元の人に行き方を尋ねる。
その際、口頭で教えてもらうより、ラフな図で教えてもらう方が理解しやすいです。
ものごとを一から順番にきちんと理解するやり方は挫折しやすい。
全体をざっと通しで理解し、「大きな器」を作ってから、つまみ食い的にぽんぽん放り込んでいく方が理解しやすいし、挫折しにくいです。
図読とは俯瞰する方法であり、俯瞰した先に深い理解へいざなってくれる方法。
会議や打ち合わせもそういうやり方の方がスムーズにいきますよね。
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