●『図で考える人は仕事ができる (ディスカヴァーebook選書)』(久恒啓一 著)
思考力や構想力が強く問われるものに囲碁があります。
将棋と囲碁では囲碁の方が、より大局的な見方が必要だといわれています。
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天才棋士といわれた将棋の升田幸三も『勝負』(成甲書房刊)のなかで、次のように述べています。
将棋では感じることはできるが確認できない真理があるので、それを確かめるために弱いながらも自分は好んで碁を打つ。
その真理とは、下手な者ほど
「局部の利益に非常にとらわれる」
「全体利益を忘れて、部分だけにとらわれる」
「ヘタは、わずかな損でもいかんといちずに思いこんで、そしてもっと大きいところがあるんだからそれを捨て石にすりゃいいのに、へばりついて、それでダメにしてしまう」
のである、と。
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囲碁は古代中国の戦乱の時代に、大将が戦場全体を見下ろすことのできる山の上に陣取り、眼下で一進一退する戦況を眺めながら采配を振るっている模様をモデルにして作られたのではないかと私は考えています。
遠くから見た大きな着眼で、
「戦いの大局で勝つには、あそこの戦場は捨ててもいい」
「小さな陣地だが高台にあり、そこを取られると全軍に影響が出るから援軍を出そう」
などといったように。
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全体を見ることができれば、戦略が出てきます。
碁のことわざに「着眼大局、着手小局」という言葉があります。
全体を大きくとらえて方向性を定め、その一環として小さな部分から手をつけていくのがよいという意味です。
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将棋にはそれぞれの駒に役割があります。
そのルールを覚え込ませたコンピューターが、現在ではかなり人間に勝てるようになってきています。
しかし、依然として碁ではなかなかそうはならないようです。
コンピューターは左脳型の演算が得意なのですが、イメージ脳ともいわれる右脳で戦局の全体像を把握する力は人間に及ばないとのことです。
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【コメント】
iPadやiPhoneで、情報が表示された画面を指で拡大縮小します。
そういう感覚が、仕事にも必要という感じでしょうか。
「全体を大きくとらえて方向性を定め、その一環として小さな部分から手をつけていく」
これを実際にやろうと思うと、なかなかできないものです。
ゴールを決め、それに到達するために必要なものをピックアップし、そして更にそれらを現実可能な行動に落とし込んでいく。
因数分解っていうやつでしょうか。
不安ばかりでなかなか行動しない人はいるものです。
多分、因数分解せずに、ゴールの大きさにおののいているからなのでしょうね。
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