【ストーリー】
日本中を震撼させた凶悪な殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けた鏑木(横浜流星)が脱走した。
潜伏し逃走を続ける鏑木と日本各地で出会った沙耶香(吉岡里帆)、和也(森本慎太郎)、舞(山田杏奈)そして彼を追う刑事・又貫(山田孝之)。
又貫は沙耶香らを取り調べるが、それぞれ出会った鏑木はまったく別人のような姿だった。
間一髪の逃走を繰り返す343日間。
彼の正体とは?
そして顔を変えながら日本を縦断する鏑木の【真の目的】とは。
その真相が明らかになったとき、信じる想いに心震える、感動のサスペンス。
原作:染井為人『正体』(光文社文庫)
監督:藤井道人
脚本:小寺和久 藤井道人
出演:横浜流星、吉岡里帆、森本慎太郎、山田杏奈、山田孝之
2024年製作/120分/PG12/日本
配給:松竹
劇場公開日:2024年11月29日
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【コメント】
これ、本当に良かったですよ。
主人公の人柄の良さが沢山の味方を作り、冤罪に立ち向かう人間讃歌です。
横浜流星さんの、良い代表作になったと思いますよ。
客席も5分の4は埋まっていました。
殺人犯と間違われ逮捕された主人公が脱走し、真相を求める。
過去にもそういう作品はたくさんありました。
本作が過去作と違うのは、主人公が逮捕されたのが高校生の時だったということ。
社会もなにも分からない子。
しかも、身寄りのない子。
脱走したのが21歳。
脱走したことではじめて働いたり、美味しいものを食べたり、お酒を飲んだり、人を好きになったり、親友ができたり、尊敬してもらえたり・・・わずか1年弱の間にさまざまな経験をします。
そういう若者が社会で経験することを極限状態の中、短期間で経験していきます。
そういう経験ができたのも、主人公が真面目で優しい人物だから。
見た目だけではなく、その誠実な振る舞いに、接した人々は好感を持ち、協力していく。
各登場人物たちとの出会いを短時間でテンポよく展開。
そして、観ている私達も、主人公が好きになっていくようにうまく話しが進んでいきます。
これは脚本も良いのですが、横浜流星さんだからそう思えるのかも。
若手の中でもストイックで真面目な印象を受ける俳優さん。
強い肉体と、優しいが故に苦悩する繊細さを体現できています。
昨今、頭のおかしい登場人物、救いのない展開が多い邦画。
そんな中、本作はまともな登場人物・・・しかも、敵対する警察の人物すらまともな人物がいる。
そんな彼らが、主人公の無罪を世に伝えようと懸命に動きます。
山田孝之さん演じる警察が、主人公を追う中で、無罪を信じるようになる。
そして記者会見で、警察の捜査に誤りがあったことを認め、それがビルの大型モニターに映されたシーンで、私は泣きました。
主人公が無罪になってほしいことを観客の私も願っていました。
そしてその後のラストは、本当に感動。
多くを語らず、静か。
若き主人公の今後の未来を心底私も願いましたよ。
原作は救いようが無い展開。
けれど映画は改変してでも、大いなる人間讃歌にしてくれた。
真面目に誠実に生きる。
そうすれば必ず味方は現れる。
だから、決して諦めないでほしい。
そういう事が画面からひしひしと感じられました。
本当、久々にまともな映画を観ることができました。
やはりわざわざ映画館へ来たのですから、世の中を肯定できるような内容を観たいものですよ。
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