●外資系コンサルの知的生産術〜プロだけが知る「99の心得」〜 (著:山口 周)より
【「よい質問=よいインプット」と知る 】
前節において、情報収集では、もっとも時間のかかる外部関係者へのインタビューこそ早めに仕込むべきということを述べました。
この際、もっとも重要なポイントになるのが、 事前に「これだけははっきりさせたい」という問いを明確化しておく、 ということです。
これはいわれてみれば当たり前に思われるかも知れませんが、多くの場合、インタビュアーはその場に臨む
まで問いを明確化するという知的努力を怠ってしまいがちなのです。
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インタビューは情報収集のボトルネックになるわけですから、得られた貴重な機会を最大限に有効活用するためにも細心の準備をして臨むべきです。
明らかにするべき問いをはっきりさせたら、インタビューガイドを作成します。
インタビューガイドとは、インタビューの流れと質問項目を記載した一種の備忘録のことで、通常はインタビュアーが参照するだけでインタビューの対象者に見せることはありません。
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インタビューガイドを作成する際、質問はできる限り具体化する、 という点です。
先ほどのゲーム市場の例を用いれば、
×=「ゲーム市場の競争状況は、どうなっていますか?」
という質問は、受け手によってどう捉えることもできる非常に悪い質問の典型例といえます。
このような質問をされても、受け手側は何を答えたらいいのかよくわからず、戸惑ってしまうでしょう。
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ここでの、正しい質問の出し方は、例えば、
○=「ゲーム市場はどのようなセグメントに分かれるのですか?」
あるいは、
○=「各セグメントにおいて勝つための鍵になるのはどのような要件ですか?」
あるいは、
○=「各セグメントの主要プレイヤーはどのような会社ですか?」
あるいは、
○=「プレイヤー間では棲み分けができていますか?」
といったものです。
このような質問であれば、聞き手を戸惑わせることはないでしょう。
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つまり「これだけははっきりさせたいというポイント」について、はるかに具体的で明確な回答が得られることが期待できます。
よい質問は、よいインプットに直結する ということです。
インタビューによって「よいインプット」を得るためには、何よりも「よい質問」が必要となります。
これは知的生産に従事する人にとってはとても重要なスキルなので絶対に忘れないでほしいと思います。
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【コメント】
これはインタビューに限らず、社内の打ち合わせや会議、外部との打ち合わせや交渉にも通ずるものです。
日常会話は意外と曖昧です。
最後まで言い切らないうちに、相手は言葉を被せてきます。
言い切らなくても内容が分かるからです。
しかし、仕事の場合は、曖昧にしておくことでトラブルが起きます。
特に外部との意思疎通を誤ってしまうと、莫大な金銭的損失となります。
だから「これだけははっきりさせたいというポイント」を事前に考えておくことです。
それも具体的に、きちんと最後まで言いきれる言葉(文章)で。
自分自身、曖昧なままにしておかない。
私の場合、大きな真四角のポストイット(なるべく黄色とか目立つ奴)に、「はっきりさせときたいポイント・質問」を一項目ずつ書いておきます。
こうやっておくと、聞き忘れが減ります。
そうすれば、会話の流れの中で異なる方向へ向かいそうになっても軌道修正しやすいです。
そしてなるべくですが、事前に「はっきりさせときたいポイント・質問」を相手に投げかけておいて、当日はその回答をもらう場にしてしまうことです。
これにより、相手へ説明する時間が無くなり、討論に時間をかけられます。
事前に伝えておけば、相手はその後ろにいる上司や関係者と話し合っておくこともできます。