●養老孟司の人生論 (著:養老 孟司)より
最後の結論です。
世間で生きようが、個人で生きようが、自分の生き方を根本的に肯定できないのなら、生きてきた意味はないということです。
その点では、私は徹底した楽観主義者です。
それでなけりゃ、努力も辛抱もしないし、根性なんていりませんからね。
楽観的でなけりゃ、六十五歳を過ぎてから、本が売れるわけはないでしょ。
万事おしまいだと思って、本なんか書かずに、自分のお墓を探してますよ。それで済む年齢なんだから。
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(以下、後年になってから再販された際に追加した「あとがき」)
そもそも私は八十歳に近いんですから、かなりボケが入っている可能性があります。
この本をあらためて今書くとしたら、どうするか。
それは考えてみました。
たぶんずいぶん短くなると思います。
どんどん切り詰めちゃう。
それで良くなるかって、それもわかりません。
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この本を書いた当時に比べて、頭の中で万事が簡単になったことは確かだと思います。
ひょっとすると、それは、感情が整理されたからかもしれません。
年齢を重ねると、感情は背景に引いていきます。
同時に行動する動機も弱くなります。
だからこの本をあらためて書けといわれても、書かないでしょうね。
日本語の表現では、右の感情を「思い」とも言いますね。
「思い」が軽くなるんです。
こうして万事が薄れて、やがて消えていく。
それが普通なのだと思います。
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【コメント】
年齢を重ねると、同じことを文章にするにしても短くなるのは分かります。
なるほど、「感情が整理されたから」なんですね。
なにをするにも意欲は減退し、重い腰を上げるのは大変になります。
そんな中、文章にしても軽減化するのは当然でしょう。
ましてや、感情の高ぶりが減ったなら、余計な言葉はつけたりしなくなる。
けれど、そうやって「文章のダイエット」をしますと、読む方は読みやすく、理解しやすくなります。
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