●『NHK「100分de名著」ブックス 三木清 人生論ノート 孤独は知性である』(岸見 一郎 著)より)
人が旅に出る理由は様々です。
商用、休養、あるいは誰かに会うためです。
しかし、旅の理由が何であれ、すべての旅には共通の感情、相似た感懐があると三木はいいます。
それは解放、ないしは脱出の感情です。
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ことさら解放を求める旅でなくても、ひとたび旅に出ると何かから解放されたような気持ちになるものです。
それは旅が「日常の習慣的な、従って安定した関係を脱すること」であり、そのために生じる不安から、旅はすべての人に「漂泊の感情」を抱かせると三木はいいます。
旅は「つねに遠くて、しかもつねにあわただしい」ものであり、だからこそ漂泊の感情が湧くのだとも書いています。
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日常生活では絶えず到達点、あるいは結果、結論が問題になります。
しかし旅は「絶えず過程」が重要であり、目的地に着くことばかりを気にしたり、急いだりして途中を味わえない人は「旅の真の面白さ」を知らないと指摘しています。
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習慣的な行為・思考から脱却すること、到達点ではなく過程を大切にすること。
三木がいいたかったのは、この二つが人生においても重要だということです。
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【コメント】
私は習慣化しているからこそ、微細なことに気づけるのではないかと思っています。
「時折の旅」より「日常の習慣」を大切にしています。
頻繁に県外出張をしている私だからこそ、そう考えるのかもしれません。
仕事での旅の場合、結局、過程より結果が全てなので、精神の脱出も開放もありません。
戻る所、戻れる日常があるから、非日常なことを耐えられるのです。
非日常が日常になったら、おそらく人は思考を停止してしまうでしょう。
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