監督:中村和宏
原案:中村和宏
脚本:西井史子
出演:江口のりこ、中条あやみ、笑福亭鶴瓶
【あらすじ】
通称「尼ロック」と呼ばれる「尼崎閘門(こうもん)」によって水害から守られている兵庫県尼崎市を舞台に、年齢も価値観もバラバラな家族が、さまざまな現実に立ち向かうなかで次第にひとつになっていく姿を描いた人生喜劇。
理不尽なリストラにより尼崎の実家に戻ってきた39歳の近松優子は、定職に就くことなくニートのような毎日を送っていた。
ある日、「人生に起こることはなんでも楽しまな」が信条の能天気な父が再婚相手として20歳の早希を連れてくる。
ある悲劇が近松家を襲ったことをきっかけに、優子は家族の本当の姿に気づいていく。
2024年製作/119分/G/日本
配給:ハピネットファントム・スタジオ
劇場公開日:2024年4月19日
ご実家ムービー!『あまろっく』60秒予告【4月12日兵庫県先行・4月19日全国公開!
4月公開 映画「あまろっく」 製作・宣伝活動の舞台裏
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【コメント】
地方を舞台にして、そのご当地の各企業から協賛してもらい作られた所謂「ご当地もの映画」。
数多くある中で、本作は傑作中の傑作と言ってよいです。
4月に公開されましたが、新潟市はやっと7月に上映されました。
「ご当地もの映画」は、全国各地での公開がバラバラなのですが、4月のうちに観たかったですよ。
※
「人生に起こることは何でも楽しまな!」
「食って寝れば、たいていのことは何とかなる」
これは劇中で、主人公の父親役・笑福亭鶴瓶さんがよく言う台詞。
本作は、笑福亭鶴瓶さん、中条あやみさんの人柄が100%全開で描かれており、こんなにも清々しい気持ちの良作品は、そうそうありません。
前向きで明るいキャラは、やはり観ていて良いものですよ。
そういうキャラは過去に色々と辛いことがあったからこそ、そういう表情ができるわけでして。
その辺の描きかたとかもうまいなあと。
そんな2人に影響されるキャラが必要なわけですが、それを主人公・江口のりこさんが引き受けています。
協調性もなく、いつもふてくされているキャラ。
冒頭、有名企業でのリストラ→ニートへの転落。
そんな主人公がいつしか、「家庭の尼ロック」として家族たちを守る存在となっていく。
王道中の王道で、誰もが喜べる展開です。
※
「人生に起こることは何でも楽しまな!」の台詞は実は、脚本家・西井史子さんの伯母さんがモデル。
西井さんが離婚して実家に戻ってきた時、伯母さんが「ケーキ買うてあるで、ケーキ好きやろ。ケーキ食べたらましになる」と出迎えてくれて、最悪な気分の時にちょっと元気になれたのだとか。
本作では、江口のりこさんがリストラされて実家に戻ってきた時、父親の笑福亭鶴瓶さんがニコニコと出迎えた時、同じシチュエーションで描いていました。
脚本家・西井史子さんの伯母さんはとても明るい人だったそうです。
実は、脊椎カリエスで10歳から29歳までギプスに固定されて入院していたとか。
ギプスをはめたまま毎日病院の天井見て、ここから出たらこういう風に生きようとずっと考えていた。
だから、「人生に起こることは何でも楽しまな!」という言葉に説得力がある。
劇中、笑福亭鶴瓶さん演じる鉄工場の社長は、仕事はしないで町のみんなと明るく喋っているだけ。
けれど、その明るい性格で、町のみんなに慕われている。
実は、阪神・淡路大震災の時、多くの命を助けられなかった無念から、亡くなった人たちの分まで生きる決意をしたからこそなのです。
普通、20歳の美人さん(中条あやみさん)が、おっさんに恋するなんてありえません。
けれど、中条あやみさんが演じるキャラは、家庭不和でつらい思いをした過去がある。
だから、笑福亭鶴瓶さん演じる人物に魅力を感じ、家族になりたいと思う。
観ていてすごく納得できたし、この2人が家で笑って過ごしている姿は、観客の心を癒やしてくれますよ。
●ご当地ものを書く時の参考に_『あまろっく』脚本家 西井史子さん _ シナリオ・脚本、小説も!プロの技術が学べる学校|シナリオ・センター
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最近、「性被害」描くも監督の発言によって、あれこれ話題になっている映画がありますね。
ここ数年、性暴力とか、バッドエンドな犯罪ものとか、暗い気持ちになる邦画が多いです。
あんなんに金出して、なんで観るんだろう。
そもそも、なんでそんな作品作るんだろう。
「人間の奥底に眠る邪悪なものを描けば本格派」という風潮があります。
そういうのが、どうにも好きになれないです。
「あまろっく」は私が観たかった作品そのものでした。
おすすめです。
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