2011年01月04日

映画「仮面ライダー×仮面ライダー オーズ&ダブル feat. スカル MOVIE 大戦 CORE」の感想(ネタバレ注意)

昨年最後に観た映画が「相棒」という東映作品ならば、新年一発目に観た映画も東映作品でした。

●公式サイト「仮面ライダー×仮面ライダー オーズ&ダブル feat. スカル MOVIE 大戦 CORE」
http://ooo-w.com/story/index.html


観てきた感想を書きたいと思いますが、ネタバレもありますのでご注意ください。

この映画は、三つの短編エピソードからなる作品となっています。


(1)「仮面ライダーダブル」のエピソード「仮面ライダースカル メッセージforダブル」

(2)「仮面ライダーオーズ」のエピソード「仮面ライダーオーズ ノブナガの欲望」

(3)ダブルとオーズの二人の仮面ライダーが共闘する最終エピソード「MOVIE大戦CORE」


(1)の脚本は三条陸先生、(2)の脚本は井上敏樹先生が担当しています。
(3)については詳細は分かりませんが共作なのでしょう。


※※※


(1)と(3)の仮面ライダーダブル関連は面白かったです。
ダブルのメイン脚本家が担当しているので、世界観やキャラクターに違和感を感じさせません。
今回、ダブルの主人公ではなく、その主人公の師匠(探偵事務所の初代所長)がメインです。
いわば、スピンオフ作品。
主人公そのものは、テレビドラマ版によって今年8月までの一年間で描ききりました。
ですから、主人公仮面ライダー以外に焦点をあてるのはアリだと思います。
三条陸先生の脚本は複線をばらまき、丁寧に回収してくれます。
今回の映画では、

・仮面ライダーダブルの決め台詞「さぁ、お前の罪を数えろ!」の誕生秘話

・何故、鳴海荘吉(仮面ライダースカル)が生前、最愛の娘(ヒロイン・亜樹子)と顔を合わせようとしなかったのか

・仮面ライダースカルの変身アイテム「ロストドライバー」と「スカルメモリ」の製作者

そういった、仮面ライダーダブルという作品のコアなファンならば知りたい理由を解いてくれます。
お祭り映画作品でさえも、こういった細かい配慮がされており、本当に良かったですよ。
主人公が小学生時代のエピソードですから、時代も一昔前。
ちょっと昭和風味なセットがたまりません。

鳴海荘吉(仮面ライダースカル)を演じた吉川晃司さんの立ち姿がこれまたかっこいい。
今風のイケメン俳優とは違い、骨太で力強いです。
モノの考え方にブレがないキャラクターにぴったりでした。

テレビドラマ版に登場するシュラウドという女性キャラクターがいます。
主人公の一人フィリップの実母でして、顔を包帯で隠しています。
10年前の若いときなので、アクションに向いた衣装です。

鳴海荘吉とシュラウドのコンビは、別の仮面ライダー作品が作れそうなぐらいキャラクターが濃くてマッチしています。
寺沢武一先生の漫画作品「コブラ」に登場する主人公コブラとレディみたいでした。
そして、なんとも不思議な空気が流れています。
鳴海荘吉とシュラウドは、共に結婚もしているし子供もいます。
ちびっ子も観る特撮番組ですから、不倫なんてものはありません。
恋愛感情は無いだろうけれど、別の形で強い絆を感じます。
またこのコンビで、その後のエピソードもやって欲しいと思いましたよ。

仮面ライダーダブルという作品は、非常に人気があった作品なので、スピンオフ作品が作られることになりました。

●仮面ライダーW再び!TV放映終了後も続く人気に応え2つのVシネマが誕生!! | 東映[DVD・ビデオ]
http://www.toei.co.jp/release/dvd/1194115_965.html

Vシネマ「仮面ライダーW RETURNS 仮面ライダーアクセル」
2011年4月8日(金)DVDレンタル開始
2011年4月21日(木)DVD&Blu-ray発売(DVD:税込4,725円 BD:税込5,775円)

Vシネマ「仮面ライダーW RETURNS 仮面ライダーエターナル」
2011年7月8日(金)DVDレンタル開始
2011年7月21日(木)DVD&Blu-ray発売 (DVD:税込4,725円 BD:税込5,775円)

今回のスカル同様、主人公以外の仮面ライダーを中心にしたスピンオフ作品です。
ファンならば必見でしょう。


※※※


(2)の仮面ライダーオーズのエピソードですが、これは正直、面白くなかったです。
テレビドラマ版のストーリーの流れ方、展開方法と全く違うんですよ。
もの凄く違和感を感じながら観ていました。
何でだろうと思ったら、テレビドラマ版の脚本家・小林靖子先生じゃないからなんですね。

また、テレビドラマ版には出ず、このエピソードのみに登場する人物に「必然性」をまったく感じませんでした。
仮面ライダーダブルの方は、この作品を語るのに必要な鳴海荘吉(仮面ライダースカル)をクローズアップしていますので、ファンは必見。
しかし、仮面ライダーオーズに登場するノブナガ(織田信長のミイラから作った人造人間)、明智光秀の子孫の女性・明智よしのは、オーズファンには必要性がありません。

また、この二人に感情移入できないんですよね。

・よしのとノブナガの間に、殆ど接点、やりとりが無い。

・ノブナガが悪の心から、よしのを愛するようになる心情の移りが突然すぎる。

・よしのという、この作品のみのヒロインに魅力がない

感情の移り変わりを表現するシーンをはしょりすぎているので、ノブナガがよしのを愛おしく感じながら死ぬシーンに、観客は全く感情移入できません。
必要なシーンをはしょっておきながら、ノブナガの空想上にて、よしのがバレエのダンスをするシーンが必要以上に長い。
同じ監督が撮影したのに、ダブルとオーズのクオリティに差がありすきです。

一つの映画で三本分美味しいのが、この映画の特徴ですが、逆にそれがあだになったように思います。
これだったら、仮面ライダーオーズのエピソードを全部カットして、最後の共闘シーンだけオーズを登場させても良かったのではないかと思いました。

もし、オーズのエピソードをやるにしても、ノブナガと主人公との交流をもっと掘り下げた方が、観客は感情移入できたのではないかとも思いました。
主人公もテレビ版とちょっとキャラが違うし、すべての人物がストーリーを進めるための人形にしかなっていないのが残念でした。

あと、主人公がメダルを収納していたブック型のケースはなんでしょうか?
テレビドラマ版には出てこないのですが・・・。
後日、メダルコレクションケースとして、バンダイから発売されるのでしょうかね。
(→追記:年明け2011年1月9日のテレビ放送分で登場。ヒロイン泉 比奈が、助けてもらったお礼にアンクへプレゼントしたものでした。比奈の友人にこういうのを作るのが得意な子がいるらしい))


※※※


(3)の最終エピソード「MOVIE大戦CORE」は、CGのみで描かれた巨大な仮面ライダー(仮面ライダーコア)が暴れまわるのが見せ場。
ストーリーよりも戦闘シーン重視の話しです。
正直、この仮面ライダーコアが生まれる必然性がはっきりしていません。
一応、劇中で語られてはいるものの、登場させる事がありきなので、観客はあっけに取られている間に登場した感じです。
しかし、映画ならではの派手な映像を楽しめましたので、これは良かったと思います。

昨年夏に公開された劇場版に登場した仮面ライダーW サイクロンジョーカーゴールドエクストリームという最強フォームが再登場。
また、仮面ライダーオーズは、近々テレビでも登場する仮面ライダーオーズ タジャドルコンボが登場。
真っ赤なスーツで、背中に孔雀の羽が生えており、空を舞います。
仮面ライダーW サイクロンジョーカーゴールドエクストリームと、上と下からの挟み撃ちでライダーキックを仮面ライダーコアへお見舞いするシーンはかっこよかったですよ。
オーズはライダーキックを殆どしませんから、やはり観ていてスカッとします。

また、戦闘後のエピローグですが、仮面ライダーダブルのパートは必要性があるけれど、仮面ライダーダブルの方はオマケ的な感じでした。


※※※


4月1日には再び、仮面ライダーの映画があります。

●仮面ライダー生誕40周年記念映画 オフィシャルサイト
http://www.all-rider.jp/index.html

過去の仮面ライダーが総登場する話しです。
それって二年前に「仮面ライダーディケイド」で既にやっていますよね。
今回は、仮面ライダー電王に登場する時を越える電車デンライナーで、各仮面ライダーに出会うようですね。
ディケイドの企画当初の案を映画で復活させるとは!
映画は脚本で決まるようなものですので、出来たら小林靖子先生にやってほしいものです(オーズのテレビドラマ版、夏の映画版の担当をしているから無理か??)。

Posted by kanzaki at 2011年01月04日 20:59