監督:月川翔
原作:清武英利
脚本:林民夫
出演:大泉洋、菅野美穂
【あらすじ】
世界で17万人の命を救ったIABP(大動脈内バルーンパンピング)バルーンカテーテルの誕生にまつわる実話を映画化したヒューマンドラマ。
小さな町工場を経営する坪井宣政は、生まれつき心臓疾患のある幼い娘・佳美の余命が10年と宣告されてしまう。
理不尽な現実に絶望した彼は、誰にも頼れないならと自分の手で人工心臓を作ることを決意する。
2024年製作/116分/G/日本
配給:東宝
劇場公開日:2024年6月14日
<本予告>映画『ディア・ファミリー』【6/14(金)公開】主題歌:Mrs. GREEN APPLE「Dear」
ーーーーーーーーーー
【感想】
久々にまともな邦画、「これぞ邦画!」というものを観たなあと思いました。
老若男女、幅広い世代に観てもらえる作品です。
心臓を患う娘の為に、医学に全くの素人が「人工心臓」を作ろうと挑む実際にあったお話し。
ある意味、「プロジェクトX」的なドキュメンタリー映画でした。
人工心臓の作成には失敗したし、娘を助けることは出来なかった。
けれど、その経験が世界で17万人の命を救った「IABP(大動脈内バルーンパンピング)バルーンカテーテル」の完成につながりました。
個人的な理由で挑み失敗したけれど、それは無駄にならず、結果的には多くの人を救うことが出来ました。
開発までの長い道のりを時系列で丁寧に描いているので、とても観やすかったです。
全然、観ていて疲れません。
本作で描く人間模様は、クリーンで性善説に基づいたものです。
ものすごく善良な人が多い。
それぞれが抱える心の中の「闇」とか「悪」というのはあえて描いていません。
きっと実際は、もっと大変だったのだと思います。
23年間という長い年月ですからね。
そういう部分は外し、相手を思う優しさを全面に出しています。
それで正解だったと思います。
脚本のバランス感覚がうまいのでしょうね。
開発話しも家族愛も、お互いが邪魔にならない分量。
ここ数年、「心の闇や悪を描けば本格派作品」と思っているようなものが称賛されて嫌気がさしていました。
そんな中だからこそ、本作みたいな作風は大切だし、家族で観てほしいと思いました。
客席は案外、若い人が多かったです。
みんなやはり、そういうものを求めているのかもしれません。
ーーーーー
「世の中にないのなら自分で作ればいい」と行動派な主人公。
演じる大泉洋さんは、私の中で「令和の渥美清」だと思っています。
人情噺にもってこいの方です。
理解力ある奥さんを演じる菅野美穂さんもいい。
「次は何をすればいいのか?」と2人で考え進んでいきます。
医学に無知な主人公。
最初は医者たちからも馬鹿にされていたけれど、一生懸命独学をし、世の中に無い機材も作ってしまう。
そういう行動力のおかげで味方が増えていきます。
ベタですがやはり良いですね、こういう展開。
そういう姿勢の主人公を観ていると、こちらも元気が出ますよ。
本作は決して、お涙頂戴話しではありません。
難題を絶対に克服しようというパワーあふれるお話しなんです。
観て損はありません。
また、1970年代の日本の風景再現にも、かなり力を入れてます。
多分、制作費用の殆どはそこかと思います。
(そこに力を入れなければ、テレビの2時間ドラマ程度の予算で済みそう。
殆ど、研究室とか部屋の中だけだから)
懐かしい風景、懐かしい乗り物・・・その辺も見どころですよ。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |
28 | 29 | 30 | 31 |