2024年06月06日

介護離職をしないためには、まず介護サービスを知ること

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●『ビジネスケアラー 働きながら親の介護をする人たち (ディスカヴァー携書)』(酒井穣 著)より


仕事を辞めず、仕事と介護を両立させているビジネスケアラーは、「親不孝」ということにはなりません。
同様に、介護に専念したからといって、それが「親孝行」になるわけではありません。

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介護においては、主役となる親にとって、心身になんらかの障害があったとしても、少しでも明るく楽しく生きるための必要なことを、親を中心として(可能な範囲で)実現するための支援を心がけるべきだと思います。
こうした前提があったうえで、あらためてビジネスケアラーの道を選ぶ意味を考えてみましょう。


まず、子どもの介護離職は、親のニーズではありません。
むしろ、自分のせいで子どものキャリアをダメにしてしまったという罪悪感を押し付けられてしまう、困った事態にもなってしまいます。介護を必要とする親としては、子どものキャリアを犠牲にすることなく、同時に、自分の人生もダメにしたくないのです。

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非常に重い決断なのですから、決断をしてしまう前に、周囲の誰か、特に介護に詳しい人に相談すべきことです。

ここに関して、毎日新聞の報道10があったので、そこから一部引用します。
介護を理由に正社員から離職した人に「離職直前に介護と仕事の両立について誰かに相談しましたか」と聞いたところ、「誰にも相談しなかった」が47・8%に上ることがみずほ情報総研(東京)の調査で分かった。

(中略)

離職の理由(複数回答)は「体力的に難しい」が39・6%で最多。
「介護は先が読めず見通しが困難」が31・6%、「自分以外に介護を担う家族がいなかった」の29・3%が続いた。
あれば仕事を続けられたと思う支援策(複数回答)は、「介護休業を取りやすくする」27・0%、「上司や人事部門の理解と支援」25・5%、「有給休暇を取りやすくする」24・3%、「残業が少ない」21・7%などが挙がった。


約半数の人が、誰にも相談せずに、離職する決断をしているというのは、非常にショックなことです。
しかも、ここで離職の理由とされていることは、介護サービスに関する知識があれば、かなりの程度、解決できてしまうことです。

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「介護で仕事を辞める」という、自分自身が生活保護の受給者になってしまうかもしれないような決断は、可能なかぎり回避すべきことです。
そのための努力には、当然、介護に詳しい人の意見を聞くということがあってしかるべきでしょう。
しかし、介護離職をしてしまう人は、そうした行動を取っていないのです。
これは、大きな問題でしょう。

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別の調査では、自治体(市区町村)の介護窓口(地域包括支援センターなど)に介護の相談をしている介護者は20%にも満たない状況であることがわかっています。
これを逆から読めば、8割を超える介護の素人たちが、介護のプロに相談をしていないということです。


しかし実は、自治体にこそ、介護のおトク情報が集約されています。
自治体ならではの各種介護サービスについての情報や介護状態が悪化しないための予防支援などがあり、そうした情報は、自治体の介護窓口を訪れないと(なかなか)わかりません。

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また、どこの自治体にも、「地域包括支援センター」という介護や医療福祉について相談できる総合相談窓口があります。
だいたい人口2〜3万人に1カ所(一般的に中学校区域)程度設置されています。
自治体の介護窓口だけでなく、地域包括支援センターにも足を運んでみることも強くオススメします。
「えっ、そんなサービスがあったの?」「えっ、そんな支援があったの?」という発見が、きっとあると思います。


この背景には、自治体の相談窓口は、数年で部署異動をすることの多い公務員によって運営されているのに対して、地域包括支援センターの多くは、民間の信頼できる介護事業者に委託されていることが多い(約8割が民間委託)ことがあります。

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介護による離職を避けるには、とにかく早く「介護パニック期」を抜け出す必要があります。
そのために打てる手立ては2つしかありません。


1つは、介護が始まる前から介護サービスに関する勉強を進めることです。


もう1つは、介護サービスに詳しい人(介護のプロ)に助けてもらうことです。


そうした人に「介護離職を避けるためには、どのような介護サービスを利用すればよいのか」を相談すれば、かなりの確率で介護離職を避けることに成功できます。具体的には、優秀なケアマネジャーや、地域包括支援センターに相談することが必須となります。


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【コメント】


厚生労働省は6月5日、2023年の日本人の人口動態統計(概数)を発表しました。
1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」は、1947年以降過去最低の1・20で、8年連続で低下。
人口の一極集中が進む東京都は、なんと0・99と「1」を割り込んだそうです。


今後ますます、1人の人を介護する人数が、ますます減ることを意味しますよね。
それだけ、介護負担は増すということ。
1人の子供が働きながら、1人の親を介護するのは大変なことです。


私も危機感を覚えており、こういう本を読み出しました。
やはり、知識は武器ですから。


まずは地元の「地域包括支援センター」を調べてみようと思います。

Posted by kanzaki at 2024年06月06日 07:03