2007年04月08日

宮崎駿監督 in プロフェッショナル【8・最終回】

●前回の記事:宮崎駿監督 in プロフェッショナル【7】
http://kanzaki.sub.jp/archives/001374.html

いよいよ最終回です。
では、どうぞ。

********************

7月17日
東京は小金井にある映画制作スタジオ。

ナレーション:
夏がやってきた。
新作映画は新たなる局面を迎えた。

映画制作スタッフおよび宮崎監督(タバコを口に加えている)は、スタジオ内に備品・画材などを搬入したり掃除をしている。

ナレーション:
この日を境に宮崎はスタジオに移り、本格的なアニメーション作りに入る。
アニメーターの数は100人以上。
全員で完成へにじり寄る果てしない道のりが始まった。

宮崎監督、壁に大量に貼られたイメージボードを指し示し、スタッフと打ち合わせしている。
イメージボードには・・・
宗介が手のひらにすくい上げたポニョの姿、
ポニョの父親が、手から小さな水魚を放つシーン、
などがある。

ナレーション:
準備期間に宮崎が描き上げたイメージボードはおよそ50枚。
ここから、映画がつむぎだされてゆく。

宮崎監督、机に座って絵コンテ執筆の作業にとりかかる。

ナレーション:
宮崎は、ただ朴年と机に向い始めた。
絵コンテを切り、映画の場面を1カット、1カット描いてゆく。
頼れるのは己のみ。

メガネを額にまであげると、スケッチブックを目の高さまで持ち上げ、鋭いまなざしでそれを見つめる。

ナレーション:
宮崎の顔つきは・・・変わった。
そこには、自らを極限まで追い込んで映画を生み出す、監督・宮崎駿の姿があった。

何枚もの絵をパラパラとめくった後、小さく呟く。

宮崎駿監督:
違う・・・(首をかしげる)。

そう云うや、再びペンを手にする。

しばらくして席から立ち上がる。
カメラの前を通り過ぎる際、「うまくいかん」と漏らす。

********************

プロデューサー 鈴木敏夫へのインタビュー。

鈴木プロデューサー:
やっぱり・・・・なんて云ったらいいかなあ。
表現上、新しいことにチャレンジしようとしている。
その為に、いつもより緊張していますよね。
でも、それだけにやりがいがあると思うので。
だから普段より、それが完成するまでは、不機嫌な顔になるのは当たり前でしょうね。
そう思います。

色彩設定 保田道世へのインタビュー:

保田:
ますます・・・なんか違う形で・・・・うん、煮えたぎっているものがあるなって。
あの頭の中に長所も含めて、物凄く違うものに出会えるような感じは・・・私はしている。

********************

宮崎監督、席から立ち上がって腕時計を見る。

宮崎駿監督:
それじゃあね。

ディレクター:
はい、お疲れ様でした。

宮崎監督、スタジオを後にする。

********************

テロップ:
プロフェッショナルとは、

宮崎監督へのインタビュー。

宮崎駿監督:
・・・いや、半分素人の方がいいんです。
だから、それは自分が選択して、自分がプロだからやるんじゃなくて、自分はこれをやりたいと思うからやっているんだと。
やっぱり、精神の方が大事なんですよ。

********************

今年に入って3月8日。
映画制作スタジオ。
色彩設定担当の保田、コンピュータの画面の前に座っている。
その横でタバコをくわえて椅子に座る宮崎監督。

ナレーション:
準備作業から11か月。
一つのカットが生まれようとしている。

宮崎駿監督:
これ、いいじゃん。

ナレーション:
(画面に映し出されているのは)クラゲに乗っているポニョ。
宮崎が最初に描いたイメージボードのシーンだった。

その後、宮崎監督は自分の机で作業にとりかかる。

ナレーション:
映画の完成予定は来年夏。

宮崎監督が、絵コンテを切っている。
鉛筆を握っている手には、テーピングがされている。

ナレーション:
魂の孤独な戦いは続く。

<<終わり>>


********************

以上で終了です。
いかがだったでしょうか。

今回の特番ですが、番組HPにも簡単なあらすじなどが出でおります(匿名さんに教えていただきました。感謝です)。

NHK プロフェッショナル 仕事の流儀より
・映画を創る 宮崎駿・創作の秘密
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/070327/index.html

・キャスターコラム
http://www.nhk.or.jp/professional/column/070327/index.html

・スタッフノート
宮崎駿監督取材秘話(1) 「それは1つの出会いから生まれた」
宮崎駿監督取材秘話(2) 「書生になります!」
宮崎駿監督取材秘話(3) 「最後の宣教師」
http://www.nhk.or.jp/professional/note/index.html

番組では以前、鈴木プロデューサーも取り上げておりました。
(↑のスタットノートより、そもそも今回の宮崎監督への取材のきっかけが↓の鈴木プロデューサーへの取材であったとわかります)

・自分は信じない、人を信じる プロデューサー・鈴木敏夫
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/060406/index.html

・プロデューサー・鈴木敏夫の道具
http://www.nhk.or.jp/professional/tool/060406/index.html

世間は4月になりました。
桜の季節。
この時から新たなスタートに立つ人達も多いことでしょう。

宮崎監督は最後に、
「自分がプロだからやるんじゃなくて、自分はこれをやりたいと思うからやっているんだと。やっぱり、精神の方が大事なんですよ」
とありましたね。

そういう心意気みたいなものを持っているからこそ、困難にも立ち向っていけるのでしょう。
年齢は関係ないみたいです。
60を過ぎた宮崎監督ですら、更に新しい事にチャレンジしようとしています。
我々もがんばっていきましょう。

Posted by kanzaki at 2007年04月08日 18:56