2023年12月30日

映画『ほかげ』の感想〜『ゴジラ-1.0』と同じ時代背景と登場人物たち

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●映画「ほかげ」公式サイト
https://hokage-movie.com/

監督・脚本・撮影:塚本晋也
出演:趣里、塚尾桜雅、森山未來

【あらすじ】

「野火」「斬、」の塚本晋也監督が、終戦直後の闇市を舞台に絶望と闇を抱えながら生きる人々の姿を描いたドラマ。


焼け残った小さな居酒屋に1人で住む女は、体を売ることを斡旋され、絶望から抗うこともできずに日々をやり過ごしていた。
そんなある日、空襲で家族を失った子どもが、女の暮らす居酒屋へ食べ物を盗みに入り込む。
それ以来、子どもはそこに入り浸るようになり、女は子どもとの交流を通してほのかな光を見いだしていく。

2023年製作/95分/日本


映画「ほかげ」予告編


※※※※


【感想】

随分前に観たのですが、感想を書いていなかったので書きます。


先にご覧になった方から、「ゴジラ-1.0」と共通した部分があることを聞いていました。


・終戦直後の全てがゼロになった日本が舞台

・血縁関係の無い子供と暮らす(育てる)女性
(趣里←→浜辺美波)

・戦地から帰還したが、自分の心の中では戦争が終わっていない男性
(森山未來←→神木隆之介)


確かにその通りでした。
大きな違いは、「ゴジラ」は"一応"ハッピーエンド、「ほかげ」はバッドエンド。
ほかげは主要人物の全員が、誰も幸せにならないのが嫌だなあ。
個人的には、少年が大人に暴力をふるわれて痛めつけられるシーンは観たくないです。

ーーーーー

映画「ほかげ」は、少年が主人公と言ってもいい。
前半は、少年が女性(趣里)のお店に転がり込んで生活する話し。
後半は、少年が男性(森山未來)と一緒に旅に出て、とある仕事をする話し。


前半は、女性のお店の中だけでお話しが進みます。
舞台は一箇所だけで、そこに人が出入りして話しが進みます。
こういう構成、好きです。


雰囲気が、昭和の怪談話のような、底深く暗い、おどろおどろした感じを醸し出しています。
なかなか昨今には無い映像、空気ですよ。
後半はロケが多いからか、そういう感じは無くなります・・・。


正直、後半の森山未來さんのエピソードは無くして、前半の話しを深掘りした方が良いのではないだろうかと・・・。
森山未來さんのキャラは、別の独立した作品でやった方がいい。
前半と後半では、戦争に対する視点が異なりすぎて別作品だからです。


前半も後半も、そこまでお話しに複雑さはありません。
出てくる役者がみんな達者なので、この作品内で自由に演技している感じでした。
そういう役者の技量のおかげで、最後まで飽きずに鑑賞できました。


ちょうど、ゴジラと似たような時期に、似たような題材(終戦直後)だったのは、偶然なのかな?
閉鎖的な時期に人の思考は似たようなものになると思うのですが、ゴジラは「強力な異物」のおかげで、むしろ力強く生きていきます。


アフターコロナのこの現代、終戦直後のお話しはいろいろ考えさせられます。

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Posted by kanzaki at 08:53
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