2022年10月02日

映画『マイ・ブロークン・マリコ』の感想〜舞台の独り芝居を観ているかのような印象

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●映画『マイ・ブロークン・マリコ』公式サイト
https://happinet-phantom.com/mariko/


監督:タナダユキ
出演:永野芽郁、奈緒、窪田正孝

【あらすじ】
鬱屈した日々を送っていた会社員・シイノトモヨは、親友のイカガワマリコが亡くなったことをテレビのニュースで知る。
マリコは幼い頃から、実の父親にひどい虐待を受けていた。
そんなマリコの魂を救うため、シイノはマリコの父親のもとから遺骨を奪うことを決意。
マリコの父親と再婚相手が暮らす家を訪れ、遺骨を強奪し逃亡する。
マリコの遺骨を抱き、マリコとの思い出を胸に旅に出るシイノ。

2022年製作/85分


映画『マイ・ブロークン・マリコ』予告編



【感想】


85分と短いのであっという間です。
基本、永野芽衣さんの独り芝居です。


親友を失った自分の感情を表情と言葉(主に"怒り")で表現しています。
自分の感情を台詞で言う量が多いので、映画作品というより、舞台作品を観ているかのような印象です。


一年前に主演された映画「そして、バトンは渡された」と同様、キーアイテムは「手紙」です。


死んだ親友から自分宛に送られた手紙を受けて、主人公はどう感じ、どう進むのか。
「バトン〜」との違いを楽しんでもらえればと思います。



映画『そして、バトンは渡された』本予告


「そして、バトンは渡された」みたいなキラキラしたシーンは一切ありません!
なんたって、見るからに低予算!!


私達が普段生活しているような環境。
自宅も会社も、飲食店だって物凄く地味。
(こんな環境に、こんな美人さんがいるわけがない)
主人公は、高貴な心があるわけでもないし、特別な能力があるわけでもない。


けれど、それがいい。


限られた設定環境(予算)の中で、永野芽郁さんの独り芝居をたくさん鑑賞できたように思います。
意外にコメディタッチな部分もあるし、永野さんだからこそ観ていて飽きないようにも思います。
殆ど、永野芽衣さんのシーンだけなので、ファンにはありがたい作品です。


「ユニコーンに乗って」のような単なるキラキラしたノーマルお嬢さんより、「半分、青い」や「ハコヅメ」のような、「美人なのに残念なキャラ」の方がイキイキして似合います。


今回のキャラもはガサツな部分が多いのですが、不快感が無いのは、やはり永野芽衣さんだからでしょう。


原作(第一話だけ読みました)のイメージだと、池田エライザさんあたりの方が適任かも。
けれど実際、池田さんが演じたら、同じ内容でもハマり過ぎ、ガチ過ぎてつまらないかも。


主軸になる、八戸の旅のストーリー自体はシンプルでした。
けれど、それがかえって現実的、リアルなように思いました。
何度も同じ人に会う確率が高すぎで、そこは出来過ぎではあるのですが、ベタベタした感じじゃないので良いかなと。


ラストに救いがあります。
生きていくことでしか、死んだ仲間を供養できないのです。


低予算作品に、あえて永野芽郁さんが出るメリットなんて全く無いのですが、そういうのにも出てくれるのが嬉しいです。
次の作品「母性」も楽しみです。



映画『母性』本予告 2022年11月23日(水・祝)公開

Posted by kanzaki at 2022年10月02日 14:02