2024年03月31日

映画『四月になれば彼女は』〜「不健康な物語」は感情移入できません

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●映画『四月になれば彼女は』公式サイト

監督:山田智和
原作:川村元気
出演:佐藤健、長澤まさみ、森七菜

【あらすじ】

45万部突破のベストセラー恋愛小説「四月になれば彼女は」(川村元気 著/文春文庫 刊)の映画化。


精神科医の藤代俊のもとに、かつての恋人である伊予田春から手紙が届く。
「天空の鏡」と呼ばれるボリビアのウユニ塩湖から出されたその手紙には、10年前の初恋の記憶がつづられていた。
その後も春は、プラハやアイスランドなど世界各地から手紙を送ってくる。
その一方で藤代は現在の恋人・坂本弥生との結婚の準備を進めていたが、ある日突然、弥生は姿を消してしまう。
春はなぜ手紙を送ってきたのか、そして弥生はどこへ消えたのか、ふたつの謎はやがてつながっていく。



映画『四月になれば彼女は』予告


※※※※※


【感想】


これまた酷い出来の恋愛映画だ・・・。
こんな今どき、「ケータイ小説(死語)」でもやらないようなプロットの小説が45万部も売れるとは・・・。


観客はかなり大勢いました(前3列以外は殆ど埋まってました)。
10億程度の興行収入にはなるのかな?
しかし、若い人は殆どいませんでした。


なんだか、「不健康な物語」だなあと思いました。
みんな発言する言葉が、精神的に不健康な思考。
誰一人、希望とかの内面が描かれていませんでした。
出来事を描いてるだけ。
まともなキャラは、主人公(佐藤健さん)の学生時代の仲間「ペンタックス(中島歩さん)」だけです。(単に、出演時間が短いからかもしれません)


宣伝やポスターに使われている海外ロケは劇中、たったあれだけ?
単なる綺麗な映像が欲しいだけで、なんら物語が動かないのが不満でした。
単なるロケ番組レベル。


これ、誰がヒロインなのかボヤけてましたね。
長澤まさみさん、森七菜さんどちらも描こうとして、どちらつかずになっていました。


婚約者役の長澤まさみさんの部分を無くして、森七菜さんが演じた女性の不治の病、そしてそのお父さんとの歪んだ関係とか、そちらを深く描いた方が良かったかなと。


森七菜さんの父親役の竹野内豊さんが非常に勿体無い。
この父親、劇中だと奥さんを亡くした後、自分の娘へ病んだ愛情を向けていました。
昔、「高校教師」というテレビドラマがありましたが、あのヒロインと父親の近親相姦にも似た感じ。
そういう直接的な描写はないけれど、そう受け取れるちょっと気持ち悪いものがありました。


森七菜さん演じるヒロインの「突然の不治の病」設定は駄目でしょ。
学生時代から病気と付き合い、普通の生活に憧れて大学へ入学したとかあれば良いのですが、大学時代に全くそういうのを描いてないのも残念でした。
その大学も医学系なのに、写真部のサークル活動以外、医療系というメリットが何もない。


精神科医(佐藤健さん)と獣医(長澤まさみさん)の話しは、それはそれで面白いので、別作品でやって欲しいなあと。
そういうのは、深夜30分ドラマでコメディタッチが似合う。


「世界の中心で愛を叫ぶ」のように、最後はベタでも佐藤健さんが、死んだヒロインが訪れた海外へ行けばまだ良かったのですが……。
とても消化不良。


映画鑑賞後、リア充の人達同士で、自分の恋愛を語る為の作品という感じでした。
伸びしろが無く、リピーターもいないでしょうから、上映期間は短いかも。

Posted by kanzaki at 2024年03月31日 12:53