2009年12月03日

「見えない聞こえないところに」〜フリーアナウンサー加賀美幸子さん

●加賀美幸子 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A0%E8%B3%80%E7%BE%8E%E5%B9%B8%E5%AD%90

加賀美 幸子(かがみ さちこ、旧姓・山田。1940年6月24日 - )は、フリーアナウンサー、千葉市女性センター名誉館長。元NHKのエグゼクティブアナウンサー(理事待遇)でNHKを代表するアナウンサーのひとりであった。

何かで読んだ冊子に、加賀美さんの寄稿が掲載されていました。
これぞお手本みたいな、丁寧で安定性のある書き方に感心をしました。

新聞一面の一番下にあるコラム(朝日新聞は「天声人語」、読売新聞は「編集手帳」、日経新聞は「春秋」)を書かせてもらえるというのは、編集者にとって一種のステータスだそうです。
我々読者が、あのコラムを一字一句ノートに書き写し続けていたら、それだけで自然に相当な筆力になる事でしょうね。

内容は多岐に渡っていても、ああいった文章の書き方やメッセージには流行り廃りがないものですが、ちょうど加賀さんの寄稿もそんな感じの内容でした。
タイトルは「見えない聞こえないところに」。

加賀さんはアナウンサー時代の若かりし頃、上司にこう言われたそうです。

「あなたは今どき流行らない」

今まで順調だった仕事ですが、希望の番組を担当できなかったり、いくらか暇な時期があったそうです。
しかし彼女は落ち込むことはありませんでした。

「流行るということはいずれ廃れることなのだから、流行りたくもない。
流行り廃れのない仕事の仕方をしていこう」

そう自分に言い聞かせて、それ以来、独自の道を歩むことになりました。

彼女がまず、アナウンサーという表現者としての腕を磨く際、外から見えない、聞こえないところこそ深く厚くしていこうと決めました。

仕事への向かい方、アナウンスの在り方、番組への取り組み方など、心深く潜行することを何より大事にしました。
例えば、華やかではありませんが大切な古典や福祉の番組などにも取り組みました。
それが以後、言葉の道を進む上でかけがえのないものになったそうです。

彼女がホリスティック医学の第一人者、帯津良一先生との対談にて、こんな話しを聞いたそうです。

「人間の体は、ボディー・臓器ひとつひとつの働きだけではなく、見えないところに生きてるエネルギーや自然治癒力がある。
だから臓器という見えるものを修復するだけでは、本当に健康にはなれない。
人間はボディー、スピリット、マインド・・・体、心、命で成り立っている。
心や命は目に見えないけれど、そこに大きな自然治癒力、大きな力が潜んでいるのです」

加賀さんは、医学上のことが、そのまま私達の言葉や表現に重なることに心動かされ、嬉しくなったそうです。

話しがうまくて、内容がたっぷりあっても、見えない、聞こえないところの力が無いと、伝わらず、人の心を動かすことはできないと思ったとの事。

最近のエンターテイメント・・・テレビ、雑誌、映画、音楽などは、以前のような勢いがありませんよね。
テレビは低視聴率ですし、放送しているものも質が悪くて、低予算重視。
音楽業界もCDが売れていませんよね。
映画だって、今年大ヒットした作品ってありましたっけ?
多分、これらの低調の理由は、「見えない、聞こえないところの力が無い」からかもしれません。
幾ら機材や技術が向上したところで、それはあくまで手段であって、どんなメッセージを伝えて受け取ってもらえるかが大切ですものね。


●関連記事:帯津良一先生 癒しの力・生命の力 命のエネルギーを高める
http://lwac.jp/vegehealing_interview_02.htm

Posted by kanzaki at 2009年12月03日 19:49