2004年08月13日

実写版映画「サンダーバード」【2】

前回の続き

前回:実写版映画「サンダーバード」【1】
http://kanzaki.sub.jp/archives/000353.html

今回の映画ですが、興行収入としては今ひとつとなっています。
本国では3位でスタート、日本は7位でスタート。
アメリカにいたっては、10位にもランクインしていません。
そんな状況下ですが、まだ日本は救われているかもしれません。
上映のスケジュール等を見ると分かるのですが、一日に上映する回数の3分の2以上が、吹き替え版なのです。
特に夏休みの今は、日中は殆ど吹き替え。
ジャニーズのV6が吹き替えや主題歌を担当しています。
サンダーバードはつい最近まで、NHK教育で再放送されていたとはいえ、若い子達の認知度は低いものです。
けれど内容は、キッズ向け。
そこでテコ入れとして、V6の吹き替えを画策したのではないでしょうか。
私は、何気にV6は嫌いではないし(イノッチ好き)、ジャニーズファンの力というのは相当なものなので、日本での興業収入UPの手としては上手いと思います。
日本は7位でスタートですが、そのランキング表は「8月8日付観客動員数」です。
サンダーバードは8月7日に上映スタートしたのですから、集計上は不利。
夏休みですし、安定した観客動員数は稼ぐかと思います。

この実写版サンダーバードのメカニックについて。
何故か、人形劇版より3号の出番が多く、大気圏突入があったり、公園に着陸する際のギミックが細かったり(着陸の際に、ジェット噴射口にガードが出てくる)、大気圏内で1号みたいに滑空しているシーンもあります。
それらのシーンは、人形劇版では見た記憶が無かったので新鮮でした。
1号、2号と一緒に飛行しているというサービスカットもありました(オールドファンには、ちょっと違和感があるかも)。
私は小さい頃、1号と3号の区別が微妙に付いていなかったところがありました。
どちらもロケットの形をしているからです。
それでも、地球上では1号、宇宙では3号という風に、用途が違うんだなあと思っていました。
けれど今回は、3号まで地球で飛んでいたので、区別が付きにくいですね。
他のマシンも、短時間の上映時間で全て登場していました。
地味な存在の4号(水中用)も登場し、アランが初めて人命救助をする際に活躍していました。
そして私が2号と同じぐらい好きな、「ジェットモグラ」も登場していました。
人形劇版では、そんなに登場回数が多い訳ではなかったのですが、日本ではジェットモグラファンが相当います。
英国より上ではないかと。
どうしてかと云いますと、昔、コミックボンボンにて「プラモ狂四郎」という漫画が連載されていました。
コミックボンボンは、コロコロコミックよりもホビー漫画が多く、私はボンボン派でした。
プラモ狂四郎は、プラモシミュレーションというマシンを使い、自分たちの作ったプラモを仮想現実で戦わせるお話し(ゲームの中でプラモが壊れたら、本物のプラモも壊れてしまいます)。
仮想現実での戦いと、現実世界へのフィードバックというのは、ある意味、映画「マトリックス」の設定を先取りしたものです。
ジャンプ漫画のように、その戦いを通じて、友情とか人としての成長を描いています。
プラモデルの改造が戦いに反映されるのですが、そのテクニックは実際に使えるものばかりで、子供達はプラモを買っては、それをお手本にしたものです。
本編に登場したストリームベースというモデラーチームの小田さんは、当時の私にとっては、ある意味「神」。
プラモ狂四郎で有名なのは、「パーフェクトガンダム vs パーフェクトジオング」「武者ガンダム」あたり
かと思います。
パーフェクトガンダムパーフェクトジオングは最近、バンダイの最新技術でキット化して発売されましたね。
それと同等なぐらい狂四郎が使ったプラモで有名なのが、ジェットモグラなのです。
汚い手を使ってくる蔵井明市郎らとの戦いによって、狂四郎は負けてしまいます。
しかし、謎の老人(水戸広右衛門:日本最大の模型問屋アオイ模型店店主兼会長)に手渡された「ジェットモグラ」によって勝利を勝ち取るのです。
その連載の時、プラモの「ジェットモグラ」は爆速で売れまくりました。
そんな思い出のある私。
ジェットモグラの登場は嬉しかったですね。
ただ、デザインが変更されていましたね。
人形劇版のドリルの部分は、円錐の形(ソフトクリームみたいな形)をしていて、いかにも「ドリル!」という感じだったのですが、今回のドリル部分は現実的なデザインでして、周辺に刃物が付いた円盤状のものが幾重にも重なってドリルの形を成していまして、先が尖がった形ではありません。
でもまあ、2号から出てきて地下へ潜る際、車輪の付いた台座(?)から本体が切り離されて発進するシーンも再現されていて嬉しかったです。
悪役のフッドが、サンダーバードの兵器を使って銀行強盗をする際に使用していました。
しかし、ふと思ったのですが、ジェットモグラは地面に穴を開けて突き進むのですが、任務が完了したら、その開けた穴を引き返して台座にまで戻ってきます。
警察は、ジェットモグラの台座の所で待機していれば、確実にフッド達を逮捕できるじゃん。
フッドは、そこまで考えてなかったのかな?
そもそも、せっかくサンダーバードのスーパーマシンを手に入れたんだから、銀行強盗なんてみみっちい事では無く、もっと他の悪さに使えば良かったのに。
フッドは阿保ですねぇ。
私の好きな2号の演出がイマイチでした。
記憶が曖昧なのですが、実写版の2号は、本体中央部のコンテナが外れませんでした。
2号の一番のウリである部分をオミットした演出は萎えますね。
基地の中から出てから飛び立つシーンは再現されていましたが、コンテナ部分の設定が無くなったせいで(今回は演出の都合で描写しなかっただけかも)、救助内容に合わせてコンテナ装着をするという2号の一番最高のシーンが無いのは非常に残念でした。
メカニックや発進シーンの再現は、まあそれでも、なんだかんだでワクワクさせてくれたのですが、スーパーマシンの運用の仕方をもうちょっと何とかして欲しかったです。
実写版は、災害救助のお話しがメインではないせいかもしれませんが(子供達が操縦しているし)。

人形劇版の救助活動の基本パターンは、

1.宇宙にある5号が、SOS信号キャッチ
2.1号が現場に急行
3.1号状況把握
4.状況に合わせて必要物資を2号が積む(コンテナ換装)
5.2号到着
6.救出

だと思います。
是非、パート2があるのならば、救出劇を中心として、ちゃんと各マシンの特性を出した演出をして欲しいですね。
もし、この定番パターンを使うと、今回みたいなキッズ向けな内容ではなく、かなり社会性のあるドキュメンタリードラマになってしまいそう。
その方がアメリカでは受け入れられると思いますが。

今回のエピソードはキッズ向けにしてますが、実は隠された重要なメッセージがあります。
それは、「サンダーバード無敵説」への否定。
人形劇版は、必ず救助活動が成功するようになっています。
それは、製作側も視聴者側も疑わないこと。
必ず成功させる、ある意味、仮面ライダーやウルトラマンと同じ神がかりのヒーローですよ。
しかし今回は、「救いたくても救えない命がある」という事を伝えています。
何でも成功できるスーパーヒーローじゃない、失敗することもある人間。
けれど、自分の能力で出来る限りのことをして任務をまっとうするというのが、実写版のスタンスです。
人形から人間へ出演者達が変わって、そういう事が可能になったんでしょうね。

さて、見ていて気になった事を二つ。

後半、ソーレンとアランが1号で発進するシーン。
コックピット内のスロットルを手前へスライドさせる二人の手がアップになるのですが、人間の手ではなく、人形の手になっていました!!
ピアノ線まで見えたような・・・。
これはきっと、人形劇版へのセルフパロディではないかと。
人形劇版は、手のアップになると、本物の人間の手を映し出していました。
今回は実写版なので、その逆をやってみたのではないかと。
これから観に行く人は、要チェック!

キッズ3人組の一人 ティン ティンですが、河の中へダイブするシーンとか、いろんな所で、服の上から乳首が浮いて見えてませんか??
あちらの女の子は、ブラジャーをしないのでしょうか?
スパイダーマン2の時も、ヒロインがそうでしたよね。
これから観に行く人(の中の一部)は、要チェック!

何だかんだで楽しめた映画でした。
案外、オールドファンでも肯定派が多いような気がします。
そこが、今作の不思議なところ。
ペネロープやティン ティンのようなキュートな女の子、パーカーのようなお茶目な老人等、登場人物に愛嬌がある人たちが多いからかもしれません。
毛嫌いする人もいるかもしれませんが、こうして久々にサンダーバードの新作を見る事が出来たのは、素直に嬉しい事ではないでしょうか。
親子二世代で楽しめる作品というのは、なかなかありませんから(日本だと、ガンダム、仮面ライダーとかありますが)。

そんな訳で、興味のある方は是非とも劇場へ。

Posted by kanzaki at 2004年08月13日 07:33 | トラックバック (0)
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