2010年06月14日

「1Q84 a novel BOOK 1」〜「1Q84 a novel BOOK 3」まで一気に読んだ感想(ネタバレ注意)

●1Q84 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/1Q84
『1Q84』(いちきゅうはちよん)は、村上春樹の長編小説。

村上春樹先生の小説を読むのは、はじめてでした。
現在、発刊されている全3巻とも貸していただいたので、一気に読みました。
1、2巻は各3時間程度、3巻は少しページ数が多いので4時間ぐらいかかりました。

平易な文章で書いているので、スラスラとページをめくって読めます。
やはり売れる文章というのは、誰でもストーリーに没頭出来るように、読みやすいものなんだなあと思いました。

青豆という女性の主人公(殺し屋)と、天吾という男性の主人公(小説家の卵)の話しが交互に進んで行きます。
3巻では更に、二人の主人公を調査する牛河という男性の話しも加わり、話しが広がっていきます。

彼らがいる場所は、1984年の日本に似ているけれど、月が二つあったりと少し不思議な日本。
青豆はこの1984年の世界を「1Q84」と名付けます。

ベースとなるのは、とある怪しい宗教的集団。
あの地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教を少し感じさせます。

普通だったら、その集団のラスボス(超能力が使える)を殺せば終了。
けれど、そのラスボスも2巻の途中で青豆に殺されてしまいます。
否、彼は殺されるのを望んでいました。

青豆はラスボスを殺して逃亡生活。
とは言っても、とあるマンションの中でひっそり生活しているだけですが。

天吾は、ふかえり(深田絵里子)という、青豆が殺したラスボスの娘と出会い、ゴーストライターとして彼女の書いた小説を完全なものにします。
それがきっかけで、ふかえりと行動を共にするようになり、何やらきな臭いものに巻き込まれて行きます。

「ふかえり」という美少女は、「涼宮ハルヒの憂鬱」というライトノベルやそれを原作にしたアニメに登場する長門 有希(ながと ゆき)そのまんまなキャラですね。
喋り方もそうだし、性格や不思議な力を持っているところもそう。

そういや、ごく普通の世界なのだけれど、自分が知っている世界と少し違っていて、その世界から脱出を試みるというのは、「涼宮ハルヒの消失」というエピソードに似ていなくもない(こちらは映画化もしました)。

●神崎のナナメ読み: 劇場版「涼宮ハルヒの消失」の感想
http://kanzaki.sub.jp/archives/002094.html

この「1Q84」を読んで一番印象に残っているのは、30歳の男性の主人公・青豆と、17歳の美少女ふかえりとのセックスシーンです(お
この小説、官能小説並に、やけにセックスシーンやそれに準じるシーンの描写が細かいんですよね。
全体としてはファンタジー系の不思議な設定なのに、勃起とか射精とか陰毛とか、エロシーンだけがやけにリアル。

エロシーンの他に、青豆と父親とのやりとりもヤケにリアルでした。
父親は昏睡状態で施設にいます。
その父親を見舞いに行き、聞いているのか分からない父親に本を読んであげたりします。
そして、その父親が死んだ後の相続等の手続き。
その一連の行動描写が、必要以上に細かいものでした。

これだけ長い話しですが、主人公の青豆と天吾は、そんなにアクティブに活躍する訳ではありません。
3巻なんて二人が出会うまで、殆ど活躍らしい活躍が無いと言ってもいい。
この不思議な「1Q84」から脱出するのだって、知恵をめぐらし、あっと驚く行動をする訳でもない。
全体的には淡々として、時にセックスやドラッグ等のリアルな描写をアクセントにする。
多分、ドラマ化、映画化しても、それほど映像作品としては客を呼び込めるほど派手さはありません。

他の人が書いたら、多分、出来損ないのライトノベルになってしまうでしょう。
そうならないのは、やはり有名作家ならではなのかもしれません。

今のところ3巻まで発刊されました。
3巻の後半でようやく、二人の主人公・青豆と天吾が出逢い、1Q84の世界から脱出する。
けれど辿り着いた場所は、どうやら1984年の世界とも少し違うようです。
果たして、彼らは本当に元の世界に戻れたのか?
それとも、また別の世界でトラブルに巻き込まれるのか?
青豆のお腹の中の赤ちゃんはどうなるのか?
そして、もう一人の主人公・牛河は殺されてしまいましたが、小人達によって変な形にさせられてしまい、その途中で3巻は終わっています。
この小説で重要なキャラであるふかえりは、3巻ではあまり登場していません。
彼女は再び登場するのか?

どう考えても、3巻で終わったとは思えない内容です。
きっと続編があるのでしょう。
今のところ3巻で、1Q84の3月から12月までを描きました。
1巻が4月から始まっているせいで、1月から3月がありません。
ひょっとして4巻というのは、1巻よりも少し前の世界に降り立った主人公達の話しなのでしょうか?
それとも、1Q85という新しい世界での話しなのでしょうかね。

やはり何だかんだで、続きが読みたいです。
楽しみですよ。

Posted by kanzaki at 2010年06月14日 22:02