2015年05月29日

なぜ、NGT48の劇場は、万代「ラブラ2」に開設に決まったのか?〜モノやファッションではなく、人(アイドル)で街が活性化する姿に期待

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(新潟日報より。クリックで拡大。スマホだと上手く表示できるかは端末次第)


人気アイドルグループ「AKB48」の姉妹グループの新潟版「NGT48」。
その専用劇場が、新潟市中央区万代地区の商業施設「ラブラ2」4階に決まりました。


・ラブラ2の1、2階は、ファストファッション「H&M」・「ZAHARA」が入る若者向けのファッションビルです。
2013年11月、三井不動産(東京)が開業しました。


・周辺エリアの歩行者通行量は、開業前の2013年春と比べ、2014年、2015年の春はいずれも25%以上増えました。


・2014年4月、消費税増税による消費の落ち込みは、ラブラ2を直撃。
三井不動産と、万代地区で商業施設を運営する新潟交通(新潟市中央区)は打開策を検討。
三井不動産が、劇場側に誘致を打診しました。



三井不動産

「これまで以上に多くのお客さんが来るきっかけになる。現在の業績が悪いからではない」


万代シテイ関係者

「ラブラ2のテナント店が、想定の客数に届いていない」

「集客の核がなかったのだろう。テナントの入れ替えをやらざるを得なかった側面があったはずだ」


ラブラ2のテナント関係者

「3階以上は客が少ない。売り上げは想定を下回っている」

「劇場の影響は未知数。人気が継続し、経済効果がどれぐらい波及していくのか注目している」


万代シテイの買い物客

「安くて落ち着ける飲食店が少ない」

「以前、この場所にあったファストフード店(マック、ミスド、ケンタ、不二家など)のように、用事がなくてもふらっと立ち寄れるお店があれば、ラブラ2にもたくさんの人が来ると思う」


新潟経済社会リサーチセンターの神田恵主管研究員

「県内初出店の目玉店舗と同様のコンセプトの店が郊外に出てきたため競争になり、うまく展開できない面があるのでは」

「本州の日本海側初となるNGTの劇場は集客力がある。
県外からの交流人口の増加に伴い、宿泊や飲食、買い回りの経済効果が期待できる」


新潟交通の竹内正喜事業部長

「三井不動産とは飲食やエンターテイメントといった体験型の施設が必要だと話し合ってきた」

「万代シテイや新潟が全国に知られる情報発信力と、NGTが万代にいるというアイデンティティーに期待している。
それが街全体の活性化につながる」

(以上、新潟日報より)


※※※


【「新潟ジョイポリス」、「プラーカ新潟」の失敗という悪夢】


万代シティを運営する新潟交通。
こちらは、新潟市内の路線バスを運行する他、万代シティという中心部施設の運営などをおこなっています。


残念ながら、新潟交通は毎年、株式配当金が0円です。
株主優待は、路線バスのパスカード等です。
1万6,000株以上で、全路線パスだったかと思います(それ以下は、1〜3路線のパス)。


株主総会に出席したことがあるのですが、配当が0円なので、毎回、暇な爺さん、婆さんが会場にて、質問ではなく愚痴&ヤジばかりこぼし、開催時間が長いです。
議長も運営側も大変だわと同情しました。
それにうんざりして、行かなくなりました。
確かに実際、運営手腕はよくありませんが・・・。


新潟交通の部長が言う、「体験型の施設」というと、セガの運営する「新潟ジョイポリス」の悪夢を思い出します。


●新潟ジョイポリス:
所在地:新潟県新潟市八千代2-5-7(現中央区) 万代シテイ内
1995年12月:開業。
1998年4月18日:カナダのインターナショナル・レジャーシステムズ(ILS)系の法人「マジックシティ」に運営を委託し「マジックシティ@新潟ジョイポリス」に改称。
2000年:業績不振の為閉鎖。


ラブラ2のすぐ近くに、「万代シテイビルボードプレイス2(BP2)」があります。
この建物はもともと、ジョイポリスでした。
オープン当初、1ヶ月で9万人の入場者を記録する盛況ぶりでしたが、それ以降は減少し経営不振。


今は、ガタケットSHOP、新潟市マンガ・アニメ情報館など、ヲタ寄りな傾向の店が入り安定しています。
(シネマコンプレックス「T・ジョイ新潟万代」や、コジャレた飲食店などもあります)


●新潟市マンガ・アニメ情報館
http://museum.nmam.jp/


新潟市民は、東京への憧れが半端ない。
その癖、その憧れを少し体験すると、自分はやはり地方人だと痛感し、すぐに冷める。
ジョイポリスはまさに、新潟人の気質の犠牲者でした。


新潟駅南(通称、駅南(えきなん))にある商業施設「プラーカ新潟」。
専門店のみでキーテナントが存在せず、セゾングループの業績不振から西友の出店中止。
慢性的な赤字から、商業テナントはほぼ壊滅。
以降、大きな廃墟です(オフィスフロアとしては存続しているが・・・)。
今じゃ、一般のお客さまが利用するのは、「ジュンク堂書店 新潟店」ぐらいです。


もし、NGT48の件が無ければ、ラブラ2は、プラーカの二の舞いになるところだったと思います。


閉鎖したジョイポリスとの違いは、「アトラクション」ではなく「人(アイドル)」だということ。
今回の場合、キーテナントが、H&Mのような「ファッション」からNGT48という「人(アイドル)」へ移行しようとしている。
人が人を応援する。
建物は同じでも、中で頑張る人は成長できる。
そして、お客さまを魅了する。
ファンが集まる、増えていく。


新潟人は、他県と較べてダントツに給料が少ない貧乏県です。
ましてや、若い人は更に貧乏。
ファッションで経済が潤うところではないのです。


一方、マンガやアニメ関係のヲタ関係は、昔から地方なのに充実。
そちらへお金を支出している人は多い。
(大人になってもそちらへ支出している人は、お金に余裕がある人が多い。実際、聞いてみると良い身分だし)


AKB48というブランドを活用し、全国から注目を集めることに成功しました。
AKBの大きなイベントで最初の発表をして、今は総選挙のまっただ中で劇場の場所を発表。
過去のSKE、NMB、HKTの開設時よりも、メディアでの取り上げが大きいと感じます。


更に、ちょうど地元アイドルNegiccoが、オリコンチャート上位に食い込んで注目を浴び始めたところだったので、「NGT48 VS Negicco」なんていうメディアやネットでの盛り上がりも見せました。


モノやファッションではなく、人(アイドル)で街が活性化するのは、これからの時代に合っていると思います。
ジョイポリスやプラーカのような失敗をせず、成功してもらいたいですね。



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●NGT48の劇場は新潟市万代「ラブラ2」の4階に決定〜三井不動産と新潟交通がNGT48劇場を誘致。第1期生応募総数が5850人
http://kanzaki.sub.jp/archives/003347.html

Posted by kanzaki at 2015年05月29日 23:09