2004年02月03日

ラストサムライ

うちの会社では毎日朝礼があり、みんなの前に一人が立ち、フリートークを5分ほどします。
今年に入ってから何人か、その朝礼で、映画「ラストサムライ」の事を話す人がいました。
それだけ関心が高いものならば見なければと思い、友人と見に行きました。
映画を見る前に、韓国料理屋へ出かけてお腹を満たしました。
石焼ビビンバ、チヂミが美味しゅうございました。
サムライ失格です。

先月半ばあたりに見に行ったのですが、夜9時過ぎの上演にも関わらず、物凄い混みようでした。
年末に見に行った、ブルースウィルス主演「ティアーズ オブ サン」なんて、5人ぐらいしかいなくて、殆ど貸しきり状態。
ホームシアター感覚で見れたというのに・・・・・。
ちなみに、この「ティアーズ〜」は感動もののお話しかと思ったら、「アメリカ マンセー!!」な映画でした。
密林の中で、あんなにもブルースウィルスを苦しめつけていた敵を最後にいきなり現われた米軍戦闘機がミサイルを放ち、敵もろとも辺り一帯をちゅど〜んと一掃して終わるという、物凄い内容でした。
最後に死んでいく敵の姿はある意味、ファミコンのスペランカーの主人公に似たものを感じました。

ラストサムライは、近代化へと向かう混沌とした時代の日本へやって来たアメリカ人を描いたストーリーです。
言ってみれば、日本版「ダンス・ウィズ・ウルブズ」。
主人公にトム・クルーズを配したのは正解ではないでしょうか。
彼自身、日本が好きですし、日本人も彼のファンが多いです。
ブラッド・ピットやレオナルド・ディカプリオ等も人気がありましたが、長期的に安定した人気を持つのは、トムだと思います。
ブラピ、ディカプリオ両人とも、「ブラピ様」「ディカプリオ様」等と王子様扱いをされていましたが、今のその地位は、「ベッカム様」なんでしょうね。
トムは、彼らとはちょっと立ち位置が違うような気がします。
日本だと、織田裕二さんが近いかな?

ラストサムライの内容をネタバレしてしまうと、これから見に行く人がつまらなくなると思うので、そこを考慮して感想を書こうと思います。
字幕の翻訳が、戸田奈津子さんです。
もうこの時点で、それなりに面白い映画だという保証書が付いたようなものです。
昔から自分の中で、この人が翻訳かどうかで見に行くか決めている所がありましたから。
154分もある長編映画なのですが、それを全く感じさせませんでした。
普通ならば、途中に寝落ちしそうな場面があったり、つまらないから下腹部へ神経が行ってしまい、オシッコへ行きたくなったりします。
お尻だって痛くなって、座るポジションをくねくねとしてしまいます。
ところが今回の映画では、そういう事が全くありませんでした。
それだけ映画に集中できる内容だったのでしょう。
私の中でインパクトのあった場面は、江戸(東京)の町並みです。
時代劇に出てくるような町並みなのに、電信柱が無数に立ち並び、電線が張りめぐらされているのです。
そこへ来て、蟻のようにうごめく大量の人々。
とても騒々しい感じが、画面から溢れていました。
旧文化から新文化への移行期間らしい、とてもカオスティックな雰囲気です。
ブレードランナーとかもそうですが、こういう、ちょっと汚い感じの構図って好きです。


映画を観ている私たちは、この当時の人間ではないのですから、その世界の案内役が必要です。
いくら日本人だからと言って、昔の文化を把握している訳ではありませんから。
トムの演じる主人公は、ちょうどその案内役となっていますね。
上手いと思います。
しかもですねぇ、この映画、とても外人が作ったとは思えないほど、史実に近い出来上がりになっています。
勿論、知ったかぶりの歴史マニアから見れば、ちょっとは違うところもあるでしょう。
例えば、オーストラリアで撮影をしたので、画面の中に、日本にはないような植物があったり、その時代にはいないはずの忍者なんかは登場しますが、全体の空気は全く違和感がありません。
これの対極にあるのが「キルビル」でしょうね。
あれは、「間違って覚えてしまった日本」というものを分った上で、パロディにしてくれていますから。
あれはあれでO.K。
ラストサムライは、日本のテレビ局が、開局50周年記念とかで作成した日本人製作映画だと言っても、誰も違和感ないでしょう。
この製作スタッフの研究熱心さ、日本人スタッフ・キャストの意見をちゃんと組み入れる姿勢は、正にサムライ!

最初の方で、トムがはじめてサムライに遭遇するところからして、凄まじくかっこいいです。
ちょっと暗めの時間。
密林の中、霧がかった向こうより、馬にまたがり、鎧を着た侍が、大群となって押し寄せてきます。
その殺気せまる姿は、「鬼」といってもいいでしょう。
トムが率いる軍隊が、それに恐れおののくのも無理ないと思いました。

渡辺謙さんと真田広之さんの武士の姿が、とても様になっていますね。
この方達が出演してくれてお陰で、この映画の中の人物達にパワーが封入されたような気がします。
渡辺さんは大きくて外国人と並んでも全くひけをとらない姿だし、真田さんはアクションで対等に渡り合える。
渡部さんは、いろんな人と交渉事をする立場として活躍し(後半のアクションも凄いのですが)、真田さんは剣術などのアクションに徹していました。
真田さんは、さすがJACですねぇ。
高校教師みたいな「静」の演技も好きですが、こういう熱い活躍も様になります。
渡辺さんは、トムや天皇など、いろんな人に昔からの伝統みたいなものを訴えかけます。
その話す様は、相手に対して低い物腰ではありません。
サラリーマン的なへこへこした姿じゃない。
自分の信じるものを貫き通す信念が表情に滲み出ています。
渡辺さんは、トムとの会話は英語で行っています。
吹き替え無しで、ちゃんと喋っているのには驚きました。
どこまで正しい発音なのか分りませんが、外国の人と対等に話し合うには、母国語だけでなく、相手の言葉を知っているのも大切なんでしょうね。
そうする事で、相手と対等以上に話し合える。

昔、高倉健さんの映画を観た後、劇場から出てくる男の人たちは、あたかも自分が健さんになったが如く立ち振る舞いをして歩いたものです。
ラストサムライも、見た後で、何故か侍魂みたいなものが湧き上がり、侍のような感じで歩いている自分がいました。

あんまり細かいことは書かず、勢いだけでここまで書いてきました。
まだ見ていない方に、是非とも劇場へ足を運んでもらいたいからです。
さて今月、渡辺さんは、アカデミー賞にて表彰されるかな?
期待したいところです。

Posted by kanzaki at 2004年02月03日 11:41
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