2015年02月08日

いいかい学生さん、トンカツをな、トンカツをいつでも食えるくらいになりなよ。それが、人間えら過ぎもしない貧乏過ぎもしない、ちょうどいいくらいってとこなんだ。〜マンガ「美味しんぼ」の11巻・第5話「トンカツ慕情」

マンガ「美味しんぼ」の11巻・第5話「トンカツ慕情」に、こんなセリフがあります。

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なあに人間そんなにえらくなるこたあねえ、ちょうどいいってものがあらあ。 いいかい学生さん、トンカツをな、トンカツをいつでも食えるくらいになりなよ。 それが、人間えら過ぎもしない貧乏過ぎもしない、ちょうどいいくらいってとこなんだ。


この回の主人公は、里井さん。
幼いころ両親を亡くし、中学を卒業をしてから日雇い労働で真面目に働いていました。
ある日、不良におそわれてお金を全部とられてしまいます。
打ちのめされた里井さんに、「トンカツ大王」の中橋夫妻が、トンカツをごちそうしてくれました。
里井さんは、生きる希望をもらったのです。
その後、アメリカで大成功をおさめ、スーパーマーケットチェーンのオーナーになりました。
30年を経て、里井さんが中橋夫妻と再会する為、東西新聞の山岡士郎たちが奔走します。


(良い話は、色褪せませんね)


※※※


【中庸な心を維持するのは大変】


このエピソードが掲載された時代は、随分前のことです。
現在とは社会情勢も、人々の暮らしも大分違います。
上記のセリフは、それを読んだ人の立場、時期によってとらえ方が違うかもしれません。


しかし、「人間えら過ぎもしない貧乏過ぎもしない、ちょうどいいくらい」という立ち位置というのは、どの時代でも良い立ち位置ではないかと思います。


それは、金銭的なものだけではなく、精神的にも良い立ち位置だからです。
貧乏すぎると、心がすさみやすい。
金持ち過ぎると、心が横柄になりやすい。


中庸な心というのは、社会で生きていく上で大切です。
中庸とは、物事を判断する上でどちらにも偏らず、かつ平凡な感覚でも理解できる事です。
心をコントロール出来なければ、そういう考えは出来ません。
そういう事が出来るには、自身が置かれた生活状況というものが、大きく影響しますよね。


「衣食足りて礼節を知る」という言葉があります。
衣服と食物は、生活をする上での根本であるから、それらが満たされることによって心にもゆとりができ、礼儀を知ることができるものだということ。
しかし満たされすぎて、今度は他人を見下したりしないよう、自制が必要ですね。


たった2コマのセリフながら、奥深いものを感じさせます。



【サラリーマンの小遣いは、月額平均39,572円】


「トンカツ」を例えにして、自身が所有する資産を表現したのが秀逸ですね。


以前よりは、トンカツ定食などの料金は下がっています。
しかし、少しまともなものを食べようと思ったら、そこそこします。
トンカツ定食の料金って、地域や店によって様々でしょうが、イメージとしては1000円前後でしょうか。
サラリーマンをしていて、平日の昼食にこの値段を毎日出すのは辛いです。


トンカツは、ご飯のおかずとしてはヘビーな方ですから、さすがに大人になったら毎日は食べきれません。
ふとある瞬間、「トンカツを食べたいなあ」と思った際、それを食べる料金を気にせず店へ入ることが出来る稼ぎ(お小遣い)というのが、ちょうどよいです。


新生銀行が、「2014年サラリーマンのお小遣い調査」の結果を発表しました。

平均お小遣いは月額39,572円(前年比1,115円増加)で2年ぶりに上昇したが、リーマンショック前の水準(2008年の45,825円)にはおよばず。 調査開始以来、過去4番目に低い金額。 昼食代は前年比23円増の541円。ワンコイン(500円)+消費税8%の水準。 1回の飲み代は前年比9円増の3,483円、回数も微増し、1ヵ月の飲み代は770円増加の8,459円で2年連続上昇。 女性会社員のお小遣い額は男性会社員より2,860円低い36,712円。


●調査結果(PDF)
http://www.shinseibank.com/corporate/news/pdf/pdf2014/140626okozukai_j.pdf


家族を持つと、家のローン、養育費などが発生し、収入がそれなりにあっても、お小遣いは少ないものです。
そんな中、思い立った時にトンカツ定食を食べられる・・・こうなりたいものです。

Posted by kanzaki at 2015年02月08日 14:28