(この作品で、ファミレスは重要な場所。特殊な場所じゃないところが、今っぽい)
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●映画『花束みたいな恋をした』公式サイト
https://hana-koi.jp/
映画『花束みたいな恋をした』140秒予告【2021年1月29日(金)公開】
1月からロングラン上映している恋愛映画をついこの前、観てきました。
菅田将暉さん、有村架純さんダブル主演。
脚本は、話題のドラマを常に世に出し続ける坂元裕二さんです。
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特別な事件も起きなければ、不治の病で誰かが死ぬわけでもない。
現代の東京で生きる、ごく普通の若者の5年間の恋愛を描きます。
菅田将暉さん演じる「麦」、有村架純さん演じる「絹」の2人が主人公。
殆ど、この2人の目線だけで描かれています。
他の登場人物は、名前すらなんだっけと思うぐらいモブキャラです。
同じ場面を男女それぞれの視点、心の動きで描写します。
同じ場面でも、考えていることが違います。
2人のそれぞれ、一人称の私小説という感じで表現します。
うん。映画やドラマというより、映像なんだけれど小説を読んでいる感じがします。
出会い→恋をして→そして別れるまでのシンプルなお話し。
共通の趣味嗜好で意気投合し、好きになって同棲を始める。
女性はいつまでもちゃんと楽しく生きたいと願うけれど、男はお金を稼ぐために夢を捨て仕事中心になる。
夢と現実のはざまで、互いの心がすれ違い別れる。
とてもシンプルな展開だからこそ、出会いから別れの、その折々のエピソードをとても丁寧に描けています。
実際に、本当にあった出来事なんじゃないかと思うぐらい。
出会った頃の明るさ、やがて心が離れてしまってからの暗さ。
会話も、出来事も、本当にありそうだからこそ、我々が暮らす日常と地続きな感じです。
この脚本家さん、東京ラブストーリーからずっと現役。
第一線で活躍(視聴率とは別で、きちんと内容で評価される)。
常にその時代をうまく表現していますね。
54歳とまだまだ若いので、世の中にアンテナをちゃんとはっているのだろうなあ。
すごいです。
昔のトレンディドラマや少女漫画のようなキラキラ感はありません。
共感は出来るけれど、憧れ感はゼロです。
そこがまた、この令和という今の時代性なのかなあとも思います。
デートムービーじゃありません。
むしろ、観た2人が別れてしまうきっかけになりそう・・・。
それぐらい、若い子にはリアルです。
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消費型コンテンツ(音楽・小説・マンガ・アニメ・舞台・ゲーム・エンタメ)をディープに楽しんでいる若い男女が、それをきっかけに恋をして同棲をします。
2015年〜2020年迄に流行ったものの固有名詞がどんどん出てきます。
この映画を20年後にはじめて観る人は、なんのことかさっぱり分からないかもしれませんね。
逆に言えば、「2021年」という「今」を生きている人たちにとっては、リアルタイムで生々しい内容です。
共通の趣味嗜好で惹かれた2人ですが、そのスタンスが違います。
菅田将暉さん演じる「麦」にとって趣味嗜好・恋愛・仕事は、部屋の壁に飾る「絵」のようなもの。
有村架純さん演じる「絹」にとっての趣味嗜好・恋愛・仕事は、部屋の中に鳴り響く「音楽」のようなもの。
部屋に飾る「絵」は、視線を逸らせば、自分の意識から消すことができます。
この男の子は、別の壁にある「仕事」へ視線を向けていきます。
彼女との生活を続けたいためです。
一方、「音楽」は、視線をどこに逸らそうが、どこに座っていようが聞こえてきます。
この女の子は、常にその「音楽(楽しいこと、やりたいこと)」の中で生きたいのです。
そりゃあどこかで、考えに食い違いが出てくるってものです。
その食い違いまでの流れや考え、言動が自然なんですよ。
さすが、一線で活躍されてきた脚本家さんだと思いました。
台詞に角が無く、本当に日常で使っているような言葉だけで展開します。
主人公2人を演じる役者さんにとっても面白かったんじゃないでしょうか。
演じるというより、自分の素をさらけ出すような感じではないかと。
菅田将暉さんはラジオ番組も持っているから、役者以外の顔をファンに見せる機会は多いです。
しかし、有村架純さんの場合はそういうのはあまりありません。
だから、恋愛したての頃、彼氏に見せる愛くるしい表情と、家族に見せるそっけない表情の違いにドキッとします。
二人の主人公が別れ、それぞれ次の彼氏彼女が、全然自分と趣味嗜好が違うところが興味深いです。
相手がまったくマニアックなことや、偏ったこだわりとか無い人たちなのです。
マニアックな事を語っても、全く興味を持ってもらえない。
けれど、あまりにも同じ趣味嗜好の人同士でぶつかり合うよりいいのかもとも思いました。
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菅田将暉さん演じる「麦」は、新潟県長岡市出身という設定に驚き。
地元新潟かよと、びっくり。
お父さんが上京してきたり、スマホかなにかで長岡花火の映像が映し出されていました。
昔から、新潟は思いっきり、東京大好き人間ばかり。
多くが、上京します。
主人公に、あまり地方出身者的なキャラや言動はありませんでした。
高橋留美子先生をはじめ、有名な漫画家がたくさんが生まれた新潟県。
主人公がイラストを描くのが好きなのは、そういう地元要素からなのかな?
なぜか、「攻殻機動隊」などで有名な押井守監督本人が出演しています。
しかも、二人の主人公が引き合うきっかけともいえる重要な役。
押井監督が出演を承諾した理由とか知りたいなあ。
朝ドラ「おかえりモネ」の主人公・百音を演じる清原果耶さんが、重要な役で出演しています。
起用したいと思わせる何かがありますよね。
二人の主人公が、出会った頃の自分たちを投影する役。
初々しさ全開です。
ロングラン上映しているこの映画。
必ずどこかしら、自分の生活に似た部分を感じられると思うので、おススメです。
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