2015年09月22日

「浅草演芸ホール」で落語を堪能しました〜真打・柳家さん喬による噺「ちりとてちん」を生で聞けて大感激

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(CANON PowerShot S120で撮影)


ふらっと、「浅草演芸ホール」に立ち寄りました。


●浅草演芸ホール
http://www.asakusaengei.com/


浅草唯一の寄席で、落語から漫談、奇術、ものまね等、バラエティ豊か。
昼の部(11:40〜16:30)、夜の部(16:40〜21:00)で、出演する人達がかわります。


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代金は、大人1名で2800円。
入れ替え制ではないので、一日好きなだけ楽しめます。
ちょっと観たら帰ろうと思っていたのですが、結局、昼の部を全て観てしまいました。
約5時間、笑いっぱなしで飽きません。


昨日は、超満員。
1階・2階とも、団体客がいないのに満席。
立ち見は、1列目の横までびっしりでした。
意外に、女性や若い人も大勢いました。
こんなに大入りは珍しいそうで、今年の正月以来だと、噺家さんが言っていました。



「桂 文楽(かつら ぶんらく)」さんは、本当は夜の部なのですが、昼の部に登場。
噺家どうしで話すと、やはりお酒が話題になるとか。


いろいろな酒の名前が出てきましたが、やはり最後は、新潟の酒。
八海山、久保田 萬寿などの有名どころが名を連ねます。
まさか東京の寄席で、新潟の名前を聞くとは思いもしませんでした。


昔の噺家といえば、「飲む」「打つ」「買う」が当たり前でした。
大酒を飲み、ばくちを打ち、女を買うことです。


ところが最近は高齢化などによって、
「飲む」といえば「薬(高血圧などの薬)」、
「打つ」といえば「針(針治療)」、
「買う」といえば「宝くじ(買っても数千円、当たっても数百円)」
だそうです。



「柳亭 市馬(りゅうてい いちば)」さんの噺は、秋だからでしょうか「目黒のさんま」でした。


さんまという下魚(低級な魚)を庶民的な流儀で無造作に調理したら美味かったが、丁寧に調理したら不味かったというお話し。


市馬さんの知的な美声は、噺に出てくる殿様の役柄にぴったりでした。
大声を荒げたりせず、一定の抑揚の中で、知的に古典・王道な笑いを目指している感じ。


噺家さんによって、いろんな声質と話し方がありますが、市馬さんのようなタイプが一番好きです。



「林家 しん平(はやしや しんぺい)」さんは、特撮ファンの方ならご存知のかた。
平成ガメラ三部作に感動し、大映の許可を得て独自の続編「ガメラ4 真実」を制作するほどのマニアです。


創作落語をやられたのですが、とても現代コント的で面白かったです。


家に、幽霊やお化けの出る物件というものが多々あります。
破格の賃貸でも、そういったところは、お客がとびつきません。
霊感にどんかんな大山さん家族が、そんな物件に住むお話し。
幽霊が、大山さん一家を脅かしたり、殺そうとするのですが、どんかんなので、次々とそれをかわします。
ついには、幽霊もお手上げというお話し。


現代的なお笑いセンスを持ち合わせ、大きい声も使い、コント・マンガ的で、とてもコミカル。


しん平さんをはじめ、多くの人が創作落語をやっていました。
テレビでコントをやろうと思ったら、セットや衣装、演者、費用など、たくさん必要です。
それらを自分ひとりで、上半身だけで全てを表現するのですから、大したものです。



真打(トリ)は、「柳家 さん喬(やなぎや さんきょう)」さん。
やわらかい口調で語りかける感じです。


噺は、上方落語の「ちりとてちん」でしたよ。
いや〜、NHK連続テレビ小説「ちりとてちん」の大ファンなので、ドラマのタイトルにもなり、当然、劇中でも取り扱う噺を生で聞けて、本当に嬉しかったです。


●酢豆腐 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%85%A2%E8%B1%86%E8%85%90

原話は、1763年(宝暦13年)に発行された『軽口太平楽』の一遍である「酢豆腐」。 これを、初代柳家小せんが落語として完成させた。 8代目桂文楽が十八番にした。 さらに、3代目柳家小さんの門下生だった初代柳家小はんが改作した物が「ちりとてちん」で、これは後に大阪へ「輸入」され、初代桂春団治が得意とした。 この「ちりとてちん」は後にもう一度東京へ「逆輸入」され、桂文朝等が使っていたのをはじめ、現在では、柳家さん喬や柳家花緑らも演じており、東京の寄席でもなじみのある噺となっている。


今回の噺は、元になった江戸版の「酢豆腐(すどうふ)」ではなく、上方バージョン「ちりとてちん」でした。
また、「ちりとてちん」を「長崎名物」ではなく「台湾名物」とする演出の方でした。


好きな「ちりとてちん」を本物の噺家さんの腕前で語られ、それを大勢の客が一斉に笑う。
その一体となったホールに、自分もいるのですよ。
こんなに幸せなことはありません。


そういや昼の部、一番最初の落語は、「寿限無」の噺でした。
これは、ドラマ「ちりとてちん」に出てくる徒然亭小草若(つれづれてい こそうじゃく)が、唯一出来る噺という設定。
最初と最後が、ドラマ「ちりとてちん」つながりなのも、私には嬉しい構成でした。


ドラマ「ちりとてちん」は、ある意味、日本版「レ・ミゼラブル」だと思うのです。
是非、機会がありましたらご覧ください。


●「ちりとてちん」オンデマンド放送
http://www.nhk-ondemand.jp/program/P201000065400000/index.html?capid=noldrama000654



(「孤独のグルメ」の主人公・井之頭五郎を演じている松重豊さんは、主人公の父親役で出演。
おっかなそう見かけとは裏腹に、実に的確な面白いツッコミをします。
まさか、こんな形で大ブレイクするとは!!)



落語、漫才、曲芸、マジック、どれも楽しかったです。
しかも、テレビなどで観たことのある人ばかりです。


まさか、昭和こいる・あした順子のお二人を生で観ることができるとは!!
順子さんは83歳ですが、テレビのとおり、ド派手な衣装です。
順子さんは、AKB48ネタを幾つかやってました。
AKBの歌で「♪会いたかった〜、会いたかった〜」とあるのですが、順子さんは背中をさすりながら「♪あいたったった〜、あいたったった〜」とやってました。


やはり、ライブというのは、テレビとは全く違いますね。
同じ内容でも、お客の受け止め方が違います。


こんなに面白いものを2800円で、丸一日楽しめるのですから、なんと贅沢。
また立ち寄って、楽しんでこようと思います。


※※※


【浅草 尾張屋で蕎麦を食べる】


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(上天せいろ(1,500円))


5時間、なにも食べないで笑い疲れたので、何か食べようと思いました。
浅草といえば、蕎麦かなあと思い、ベタですが「尾張屋」の本店へ行きました。


●尾張屋 本店 (おわりや) - 浅草_そば [食べログ]
http://tabelog.com/tokyo/A1311/A131102/13003714/


明治3年(1870)創業。
文豪・永井荷風のお気に入りだったお店。
お店自体は、それほど大きくもないし、敷居が低いのがありがたいです。


上天せいろ(1,500円)を注文しました。
そばの他に、とても大きな車海老の天ぷらがついてきます。


麺がとても細く、白いのが印象的でした。
容器に、ぼんっと麺が盛られているのですね。
新潟人がこれを見ると、「そうめん」を連想します。


新潟の蕎麦は「へぎそば」と言いまして、一口分ずつ蕎麦を丸めて盛りつける事が多いです。
つなぎには、布海苔(ふのり)という海藻を使っています。
つるつるしこしこした食感が味わえます。
そのつなぎのおかげで、色が緑色や灰色っぽいのです。


男は大抵、呑みに行った後、最後の締めで、この蕎麦を食べます。
締めのラーメンも良いのですが、蕎麦の方が体に優しいので、帰りのタクシーの中でも、苦しい思いをしません。


●地元民が教える!新潟で「へぎそば」を食べるならこのお店【10選】 - NAVER まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2141418690689318601


普段、異常につるつるした食感の蕎麦を食べ慣れているので、若干、のどごしの引っ掛かりを感じました。
粉を感じるというのでしょうか。
しかし、へぎそばより細身なので、同様にささっと食べきりました。


他の人の食べ方は知りませんが、私は4口ぐらいで食べきりました。
麺を持ち上げ、少しツユに付け、一気に吸い込むように食べます。
ちまちました食べ方は、江戸っ子じゃねえ(あっ、越後っ子だった)。


車海老の天ぷらはものすごく大きいのですが、一口大ごとにカットされているので、食べやすいですね。
蕎麦同様に、優しい味わいと食感。


老舗なのに気軽さがあり、そして誰が食べても完食しやすいメニューでした。
江戸の蕎麦は、もっと全体的に濃い感じかと思っていたので、嬉しい誤算。


店を入ってすぐのレジは小さなお座敷になっており、お婆様が座っていました(お店の偉い人なのかな?)。
古い大きなソロバンを使っていて、カッコ良かったです。
江戸の人って感じ。
これから行く場所に、どうやって乗り継げば良いかわからなかったので尋ねたところ、気さくに、そして丁寧に教えてくれました。


この方もそうですが、タクシー、ホテル、飲食店、その他どこへ行っても、優しい人当たりの良い人ばかりだと感じます。
新潟の人より、かえって都会ぶってないです。
来るたびに、良い印象が積み重なります。

Posted by kanzaki at 2015年09月22日 19:36